21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」34号
 脚本と、脚色と。


ちょっと前の話になりますが、
今年3月に本年度アカデミー賞が発表されました。
もちろんアメリカの、です。
今年のオスカーでは、作品賞はじめ主要な賞を
「アメリカン・ビューティー」が独占。
主演男優部門では、ケビン・スペイシーが
2つ目のオスカーを獲得しました。
先頃話題になったクリントン大統領の
プライベートビデオでも、
ケビンはオスカー像をこれ見よがしに
見せびらかせていましたね。

僕個人的にはぜひ「ストレイト・ストーリー」の
リチャード・ファーンズワースに
獲ってもらいたかったところなのですが……、
しかし彼ならあのクリントンとの
共演は難しかったでしょう。

でも今回ここで取り上げたいのは、
俳優部門ではなくて脚本・脚色部門。
今年の最優秀脚本賞に輝いたのは、
同じく「アメリカン・ビューティー」ですが、
最優秀脚色賞を受賞したのは
「サイダーハウス・ルール」。
まだ日本では公開されていないので、
どんな出来かもわかりませんが、
この映画も作品賞や監督賞にもノミネートされていたし、
マイケル・ケインは2度目の助演男優賞を獲得したし、
なにより原作者が大好きなので、
僕の中ではかなり期待大の作品です。

で、最優秀脚色賞ですが、
めでたく受賞したのはジョン・アーヴィング氏。
この作品の原作者でもあります。
ジョン・アーヴィングといえば、「ガープの世界」や
「ホテル・ニューハンプシャー」などの代表作を持つ
ベストセラー作家で、現代アメリカ文学の旗手
(という紹介のされ方が実に多い)といわれています。

実は僕も「ガープ〜」でハマッてしまい、
以降翻訳されているものはほとんど読んでいます
(「サイダーハウス〜」は映画を見るまではガマン!)。
アーヴィング原作の映画では、
「ガープ〜」や「ホテル〜」のほか、
「オウエンのために祈りを」を映画化した
「サイモン・バーチ」などすべて傑作揃い
(ただし客の入りは別)。
一部の傑作を除いて映画化作品のほとんどが
トホホ作揃いのスティーヴン・キングとは実に対照的。
もっとも今年のオスカーでは両人の原作ものが
揃ってノミネートされていましたが……。

ところで【脚本】と【脚色】はどうちがうのでしょうか?
一般的にいって、
映画のためのオリジナルストーリーは脚本賞に、
小説や舞台劇など、いわゆる原作があるものや
史実を元にしたものは脚色賞にノミネートされます。

だから今年でいえば「アメリカン〜」や、
とっても独創的なストーリーの
「ビーイング・ジョン・マルコビッチ」などは脚本賞に、
「サイダーハウス〜」や
キングの「グリーンマイル」は
脚色賞にノミネートされたんですね。

一からオリジナルなストーリーを捻りだす脚本と、
原作にさまざまな‘色’をまぶせながら
丹念に紡ぎだす脚色。
さて脚本家にとっていったいどちらがムズカシイのか?

オリジナルの脚本作はもちろん、
数々の向田邦子“原作”ものを脚色してこられた
金子成人先生や山元清多先生に、
ぜひそのへんをお聞きしてみたいものです。

それでは。

文責 さとう

★久世塾正式サイトへのアクセスは
 http://www.kanox.co.jp/へ。

2000-05-30-TUE

BACK
戻る