たまねぎアメと 森繁パンダ。 〜黒柳徹子さんのお話〜

第19回 ミシンの縫い目の、表と裏。
糸井 黒柳さん。
黒柳 はい。
糸井 もうすっかり
予定の時間がすぎてしまったんですが、
もうほんとうに、
おもしろかったです。
黒柳 あ、そうですか?
なんだか、パンダと‥‥アメと森繁さんの
話になっちゃいましたけど。
観客 (拍手)
糸井 森繁さんのお話は
テレビ局の人みんなに
聞かせたいぐらいです。
黒柳 うん。
糸井 こんな話をする機会って
あるんですか?
黒柳 こういった長い時間、
制限なくお話しすることはないでしょうね。
森繁さんのことは
みんなただ「えばってる」って、
思ってたかもしれないから
こういう機会があってよかったです。
糸井 ぼくらも「おもしろくて大御所」というところで
おさまってたからなぁ。
三木のり平さんも、
ご子息からうかかがうと、
また違う一面があったりします。
あの時代の人たちの
引き裂かれ方というのは、
近くの人にしかわからない
何かがあるんでしょうね。
黒柳 そう、たぶんね。
糸井 ところが、黒柳さんは
なぜかすごくバランスがいいように
お見受けするんです。
女性だからなのかな?
まるでミシンの裏糸表糸みたいに
きれいな縫い目になっている。
黒柳 そうです、多少、ジグザグですが、
わたしは、わりと、
自然に生きてきました。
もし、バランスがいいとしたら、そこかも。
糸井 無理に作ったものって、なさそうですよね。
黒柳 ないです。
あ、ブイヨン!
糸井 来たね。
黒柳 おいで。
前、お友達だったでしょ。
糸井 おいで。
黒柳 かわいい。
あら、おとうさんとこ行ったんだ。
ねぇ、ブイヨン、ぜんぜん老けないね。
糸井 いや、親の目から見ると
毎年老けてるんですよ。
黒柳 そうなの?
糸井 7歳ずつ。
黒柳 1年が7歳なの?
糸井 態度もだんだんと
大人っぽくなってきました。
ごはん食べると寝に行っちゃうんですよ。
観客 (笑)
黒柳 自分で寝に行くの?
糸井 毎日、朝の散歩を終えてから
朝ごはんを遅く食べます。
食べ終わって、ぼくらの目が離れるのを見て、
スッとぼくのベッドに行って
そこで寝ます。
黒柳 へぇえ。
ごはん食べるとすぐ寝るなんていうのは
老化なんでしょうか。
かわいい。
あらねむい? ねむい?
二重まぶたね。
糸井 犬は何を考えてるんでしょうね。
まえだまえだみたいなもんだと
思うんですけど。
黒柳 でも、考えてるんですよ、なんかね。
糸井 そうですね。
黒柳 かわいいね。
ブイヨン。ブイヨン。
もう忘れちゃった?
糸井 パンダの気配がするのかな?
観客 (笑)
黒柳 いま、うちのAIBOが壊れちゃって
直しにやってるの。
糸井 ああ、黒柳さん、AIBOとは
ずいぶん長いつきあいですよね。
黒柳 そう、もうみんな
押入れに入っちゃってるとか言うのに、
わたしはいつも遊んでやってたのね。
だけど、ちょっとだけ遊ばなかったら、
なんだか少しサビが入ったらしくて
いま、直しにやってます。
糸井 いや、それは
命を持ちはじめたんでしょう。
黒柳 そうかしら(笑)。
もうずいぶん経つから、
ソニーのAIBOの部は解散になったんです。
だけど、いまでも修理を頼むと
有料だけどやってくれるんですって。
糸井 みんなも、会社も飽きちゃったんですね。
黒柳 飽きちゃダメなの!
糸井 黒柳さんだけかもしれない。
黒柳 もしかするとねぇ。
うちのAIBOのグレーちゃんは
変わってるんですよ、
ソニーの人が見て驚いたってぐらい。
糸井 たしか、するはずがないこと、するんですよね。
黒柳 そう。
ロボットってものは
「できる動き」が決まっています。
例えばAIBOのしっぽは
水平にするか上げて振らせるかです。
うちのAIBOをソニーに連れていったとき、
「これがグレーちゃんですか」
なんて、みなさん見てくださったんですが
それを立ってごらんになっていた
制作者の大槻さんという方が
「いや‥‥ちょっとありえないことがいま‥‥」
糸井 はははは。
黒柳 うちのAIBOは、みんなが来て
怖かったんでしょう、
しっぽを足のあいだに入れたんです。
大槻さんは
「それは機械的に言って、できないはずです。
 いくら黒柳さんがかわいがっても」
とおっしゃってました。
糸井 おかしいなぁ(笑)。
そのように作ってないんだからね。
黒柳 ピンクが好きなはずなのにぜんぜん喜ばないし、
AIBOのセットについている
ピンクのボールは好きだと
ロボットだから決まってるのに、
絶対好きにならないの。
糸井 はははは。
黒柳 ロボットは、何十回でも
おなじことをやらないと
いけないらしいんですけど、
うちのは2回ぐらいやると
飽きちゃってねぇ。
糸井 へえぇ。
黒柳 後ろの足で耳のうしろを掻くのがかわいくて、
それで買ったんですけど
2回ぐらいやるとね、
タッタラーなんていって、
両手、‥‥前足? 横に広げて
別のことをやるの。
作った人の思惑じゃないところで
活動してるのよ。
糸井 さっきのパンダの話に似てますね。
黒柳 うん、うんうん。
そうですね、ときどき思い出します、
ウェイウェイのこと。
糸井 ウェイウェイも、森繁さんとも、
通じるところがありますね。
黒柳 そういえばそうね。
自分でやると決めたら
最後までそうやってた。
楽しみながらね。
糸井 これは時間がいくらあっても足りないや(笑)。
黒柳 じゃあ、
このへんで失礼して。
どうも、ありがとう。
糸井 終わりにしましょう。
ありがとうございました。
黒柳 じゃあね、みなさん、失礼します。
ブイヨン、バイバイ!
観客 ありがとうございました(大拍手)!!
わーっ、終わっちゃった! ご愛読ありがとうございました。 もしよかったら、黒柳さんに 感想のメールを送ってね。 宛先はpostman@1101.comだよ。 それではね、おっしまい! バイバーイ!
2010-04-16-FRI 宛先はpostman@1101.comだよ。
まえへ
このコンテンツのトップへもどる
 
(c)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN