『人間は何を食べてきたか』は
誰が観るのか?
あ、オレか。
小山薫堂さんと、軽めに食を語る。

第5回 今、自分たちは何を食べているか
 
  (小山薫堂さんプロフィール)
小山 この「人間は何を食べてきたか」にあったんですけど、
ずーっとおんなじパンとベーコンとピクルスしか
食べてないっていう…。
糸井 みんなの話題でしたよ、あれ!
小山 そうですか。
あれ、ショッキングでしたね。
糸井 そうでしょう、ほんとに。
小山 あれはね、僕は毎日
お昼も夜も、
「さー今日は何を食べようかな?」
っていうのがひとつの喜びであり、
苦しみでもありなんですけど、
あれを知らされたときには、
もう、ショッキングでしたね。
糸井 あれ、もう1回ちょっと、
ちょっと引いた目で見ると、
アメリカ人の普通の人って、
ほんっとにマクドナルド(※註1)
通ってますよね。

※註1 マクドナルド
産経新聞によると、「さる調査だと
米国人は週に平均三つのハンバーガーを食べ、
年間四百億ドルを消費する。」とか。
小山 うん(笑)。
糸井 おんなじじゃない?
さらに言うと、
日本人って、旅館のご飯なんか典型だけど、
干物と一汁一菜みたいな?
あの感じっていうのと同じなんですよね。
小山 うん。
糸井 だから、日本人って、
米っていう凄い武器があったおかげで、
あのベーコンとじゃがいもみたいなにはならずに
『じゃがいもVS米(コメ)』で、米の勝ち,
みたいなところで、
勝ってるだけなんじゃないかな。
小山 うんうん。

選べる食事と選べない食事
糸井 色々選べるって思ってるけど、
小山さん、選べるときと、
選べないときと、きっと激しいでしょ?
小山 ええ。
糸井 だから、今、夕食として食べている
このうなぎでも、この近所からとるわけですよね。
これは選べてないわけですよ。
お客さまだから、
何かのそれなりにってことを
これを注文したうちのスタッフは考えたんでしょうけど、
正直言って・・・うまくはない。
小山 (笑)いやいやいや、そんなことないですよ。
糸井 いやいや、お客さまとして言いにくいですけど、
うなぎは美味しいなって思う感動は、
ここにはないけど。
いちおう、「うなぎ」ですから、その事実だけで
三越の包み紙みたいなもんですよね。
近所の中華屋のラーメンをとったのとは違いますよ、
ってだけのことですよね。
これは、それを選択している人たち(※註2)
プロデュース能力の問題なんですけども。

(うつむく、ほぼ日スタッフ。)

※註2 それを選択している人たち
確か、ROCK西本だったはず。
「小山さんの夕飯どうしましょうかね?」
というスタッフの問いに、
「やっぱりさぁ、こういう時は、
 うなぎじゃないの。」
という雑な一言で決定。
確かにプロデュースという概念は
全く無かった。
小山 (笑)
糸井 これは、だから、選べなかった食事。
さらに言うと、自分もそうだけど、
コンビニのおにぎりを食べてるというような、
選べない回数のほうが、圧倒的に多いんですよ。
小山 ええ。
糸井 僕はそうなんです。
ぼくの周りで忙しく働いてる、
「この人はすげーな」って思う人見てると、
お金はあるに決まってるのに、食事を選べてない。
運転手付きのクルマの後ろの座席で、
コンビニのいなりずしかなんか食べている。
まったく、みんなそうなんですよ。
小山 うーん、そうですよね。
糸井 小山さんも多分そのくちだと思うんだけど・・・。
どうしてますか?
小山 僕もほとんどが
選択肢があんまりないことが多いですよね。
糸井 ないでしょうね。
ロケ弁的な食事だったりしますよね。
小山 でも、今ね、うちの事務所に
来てるシェフがいるんですよ。
糸井 はぁー!!
それは乗り越えたな。
小山 これはね、いいですね。
糸井 やったなぁ・・・!!!!
小山 いいですよ。ひとりくらい、
誰か雇うといいですよ。
糸井 はぁー!(感嘆)

小山 シェフが、
「今日、何しましょう?」って訊いてくるんで
「んーと、今日はカレーがいいなぁ」と、
「わかりました、カレーですね」ということになると
事務所のホワイトボードに書いてあるんですよ。
N35
※註2)風オータム・カレー」
なんて書いてあるんですよ(笑)。

※註2 N35
小山さんの事務所の名前のこと。
N35は、食、ファッション、インテリア、
カーライフなど、都市生活者に向けて、
エンターテインメント性あふれる企画や
情報の開発・発信をしています。
代表者・小山薫堂の放送作家としての経験を生かし、
テレビ・ラジオなどの番組企画・制作はもちろんのこと、
執筆活動、舞台劇の構成や演出、CFプランニング、
PRプランニング、ショップ・プロデュース、
ウェブコンテンツ開発など、
さまざまな活動を行っています。
オフィシャルホームページより)
ちなみにN35とは、東京の緯度のことであるとか。
糸井 なんだ!?
小山 なに?それ!って(笑)。
それはきのこと栗が入ったカレーだったりするんですけど。
それがあるから、今は、いいですよね。
糸井 それは、画期的な乗り越え方をしたね!
やろうやろうと思って、やれないことをやったね。
でも、3食は無理ですよね。
小山 3食は無理ですね。1食か2食ですね。
ただ、1食にしても、ま、2食にしても、
意外とコンビニをうまく使ったりも
するわけですよ、できちゃうんですよ、彼は。
糸井 彼は、凄いね(笑)。
彼!すばらしい。
小山 彼はなかなか、いいですよ。
糸井 そこでは、いわゆるフレンチのレストランメニュー
みたいなものよりも、
今ポンとカレーって出たけども、
そのような家庭風のものが多くなるんですか?
小山 いや、そんなことないですよ。
フレンチっぽいのもやりますし、
ゴルゴンゾーラとまぐろのサクを買ってきて、
ゴルゴンゾーラのチーズを付けて食べてみたりとか。
糸井 ってことはなに?
シェフの裁量で、食材をいろいろ用意してくるんだ。
小山 ええ。だから、たまに朝、築地に行きますからね(笑)。
糸井 えーっ!
小山 普通は放送作家事務所で、朝、築地に行くって、
あんまりないですよね(笑)。
糸井 それは、何か、アイデアで乗り越えたねー!
小山 今度ここでも、やりましょうか?
そのシェフをつれて来ますから。


(おおいに湧く、ほぼ日スタッフ。)
糸井 小山さん、
モテた。
小山 モテた、モテた(笑)。
糸井 それ、思いついたときには、やった!と思ったでしょ?
小山 (笑)やった! っていうか、
便利だし、いいなって。

食の行き着くところは…
糸井 その人は、知りあったのが先ですか?
小山 知りあったのが先ですね。
糸井 だんだん、パーソナル化してるね(笑)。
小山 そうですね、なんか(笑)。
糸井 それはさ、芸人さんたちが
テレビに出演してる回数が多くなると、
服を買いきれなくなると
スタイリストと契約した方が
かえって安上がりだっていうかたちで、
借りたものを絶えず着てる状態に
なってったのと似てるね。
あれの食版ですね。
小山 あー、そうですね。
糸井 税金で落ちるし。
小山 税金!(笑)
糸井 つまり、仕事として服を着ているわけだから、
スタイリストと契約して、借り物にしちゃえば、
この服は普段は着られないっていう
突っ込まれかたをしなくていいわけですよね。
小山さん、他にそういう人って世の中にいるのかな?
小山 それはいっぱいいるんじゃないですか?
わかんないですけど。
糸井 前にちょっと思ったのがね、
あるオーナー経営系の会社の
重役用の食堂に行ったことがあるんです。
小山 へぇー。
糸井 そこで、じゃあお昼を、ってなったときに、
何を食べたかというと、
ブリの切り身と味噌汁とお新香と、
せいぜい切り干し大根程度で、ご飯だったんですよ。
それがですね、一個ずつがぜんぶ美味しかったんですよ。
小山 へぇー。
糸井 つまり、ブリの塩焼きも、
たぶん養殖でない、天然ブリだったんでしょうね。
うまいの、あからさまに。
一品ごとの分量は少ないんですよ。
でも、1品ずつがぜんぶ美味しくって、
どこでも食ってるようなものなんだけど、
おそらく干物の日もあるんでしょうね。
それで僕の基準ができたんですよね。
あ、ほんっとに金持っちゃうと、
ここに行くんだって(笑)。
小山 ああ、なるほど。
そんな派手なんじゃなくて、本当に良いものの、
質素なものというか(笑)。


(つづきます。)

ジブリ学術ライブラリー 人間は何を食べてきたか』
「腰を据えて食べることを考える。
 NHKのドキュメンタリー番組が、人々を動かした。」

2003-03-03-MON


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