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わたしの母が80代後半のある日、
押し入れの奥にしまってある着物を
処分してほしいと
わたしに頼んできました。
そこには何と
母の独身時代の仕立てとおぼしき
鮮やかな花柄の着物が何枚もありました。
そして、ほとんどの着物の裾の裏に
ぐるりと薄ピンクやクリーム色のリボンが
縫い付けてありました。
わたしは直感的に
祖母が裾の摩りきれ防止に
そんな手仕事をしたのだと察しました。
あれから、ほぼ10年。
つい最近、
わたしはよそ行きのボトムの裾の裏、
恐らくブーツの金具が当たるあたりの生地が
傷んでいるのを発見し、
それ以上ひどくならないように
ショップの黒いリボンを縫い付けました。
75年以上の年月を経て
祖母のSDGsの技の復活です。
裾の裏なので誰にも見られないけれど
何だか秘密裏に
祖母と繋がっているようで
嬉しくて足取りが弾んでしまいます。
(さなげやま)
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