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 『MY GRADUATION』
 チェッカーズ

 
1987年(昭和62年)
 アルバム『GO』収録

なんだかちょっと出来すぎだよね、
って思いながら。
(しぃ)

ときめきが痛くて Sixteen Date
ふれあいがまぶしいSeventeen Kiss
せつなさがしょっぱい Eighteen Tears


男子が圧倒的に多い高校。
朝礼で隣に並ぶ男子クラスの列の中に彼はいた。
入学してしばらく経つのに、
一向に伸びてこない坊主頭で彼の部活を知った。
彼の名前を、聞こえてくる友達との会話で知った。
部活中の私は、
学校の外周ランニングを誰より楽しみにしていた。
フェンスの横を走りながら、
横目で彼のユニフォーム姿を探した。

2年生になって、同じクラスになった。
彼の書く文字がとても美しいことを知った。
寡黙で芯の強い人だということを知った。
彼のポジションを知った。

彼を好きだという女の子が多いことも知った。

何度目かの席替えで、隣の席になった。
でも、話らしい話はできなかった。
休み時間も恥ずかしさのあまり、
逃げるように席を離れた。
話しかける時は何度も何度もセリフを考えて
シミュレーションした。
一言二言交わすだけで、
耳まで熱くなって全身が鼓動でいっぱいになった。

3年生はまた隣のクラス。
夏。
彼の部が試合に勝ち進み、みんなに混じって応援した。
でも、他の子のように
彼の名前を叫ぶことはできなかった。

秋。彼が部活を引退した。
自分とは別の難関大学を目指していることを知った。
彼が一つ下の女の子と付き合い始めたことを知った。
帰りの電車を待つ彼と彼女の姿を
反対側のホームから見つけた。
驚く私の前に彼らの乗る電車が入ってきて、
ふたりの姿が見えなくなった。


---その時、イヤホンに流れていたのがこの曲。
チェッカーズファンの私が
当時よく聴いていたアルバムの曲。
電車が去った後、この曲とホームに取り残された自分。
なんだかちょっと出来すぎだよね、って思いながら、
涙ををこらえてたのを覚えています。

今思えば、なぜそんなにも消極的だったのか
自分でも不思議なくらいですが、
今もこの曲を聴くたびに、
3年間の幼い片想いと重なって、
照れくさいような懐かしいような気持ちになります。
(しぃ)

たんたんと、過去形でつづられる、
片思いの日々。
ずっと、見ていたんですね。ずっと。
そして「彼の隣席になる」ところまで
運命の采配があったのに、
でも、叶わなかった。
電車のシーン、ぼくの脳内では
マンガの『海街diary』なかんじで
風景がうかびました。

ぼくはじぶんの恋を
こんなふうにくっきりと覚えていないので、
とってもうらやましいです。
なんどもなんども思い出せるものね。
チェッカーズのこの曲は
知らなかったのですが、
聞きながら(しぃ)さんの投稿、
読み返してみたら、
いっしょに照れくさいような気持ちに
なっちゃいました。

片思い中というのは、
自分でも考えられないくらい
引っ込み思案になっちゃいますね。
私も、ずいぶん
わけのわからない行動をしていたと思います。
ひどいときには、好きなのに
ちょっと反抗的な奴になってしまったり。
いったい自分、どうやねん、という感じでしたよ。
自分との闘いでしたわ、ほんとに。

ときめきとふれあいとせつなさを乗り越えて
人は素直に、まっすぐな恋を
できるようになるのかも。

誤解を恐れず言うのですが、
ぼかぁ、片思いの投稿が好きだなぁ。
ことに、ずいぶん昔の、
すっかり過去のものになってしまった、
それでいて、
ありありと思い出せるという類の
片思いの投稿が好きだなぁ。

「すべての恋は片思いである」と
糸井重里は言いました。
(「両思いというのも、
  両方からの片思いでしょう」とも)

いままさに
ひりひりとした片思いを抱えている人は
冗談じゃないぜと言うかもしれませんが、
でも若人よ、よい片思いは、
やはり、ぜひともするべきだと思いますよ。

片思いをしているときって、ものすごく頭を使いますよね。
「どうすれば自然に話せるだろう?」
「どんなセリフがさりげなく相手に響くだろう?」
「あの人は、何を考えている?」
「思いきって告白‥‥いや、だめだめ、まだはやい」
「むしろ逆に、気のないそぶりをする?」
考えて、考え続けて。
もしかして頭が良くなるんじゃないかというほどに考えて。
でも、良い答えにはなかなかたどり着けない。
片思いという状況が、そもそも極めて不利なので、
多くの場合はまちがった判断をするものだと、
ぼくは経験上思っています。
慌ててるし。
わけのわからない言動。しますねー。
どんどん臆病に。なりますねー。

でもその経験はまるごと、
いつか訪れる「大一番」のための練習だったのだな、
と今は思えるようになりました。
(しぃ)さんが3年もひとりの人を想い続けた事実は、
かならず(しぃ)さん自身を豊かにしているはず。
‥‥そう。
やっぱり「片思いで考える期間」って重要な気がします。
頭がよくなるんじゃないでしょうか、
ある意味で、ほんとうに。

さて、
ほぼ日のお正月休みも終了しました。
まだしばらく、このコンテンツは続きますよぉ。
次は土曜日にお会いしましょう!!

2015-01-07-WED

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