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 『愛をこめて花束を』
 Superfly

 
2008年(平成20年)

「どこが好きか」なんて
そんな大事なことじゃ
なかったのだと、
その時ハッとしました。
(志帆)

ありがとうも言い出せずに甘えていた
今日ここへ来るまでは


私には大学1年の時から
5年間付き合っている彼氏がいます。

彼とは同級生ですが、
付き合おう、と言われたわけでもなく、
なんとなしに付き合い始めました。

それまで何とも思ってなかった彼
(むしろ外見は好みではなかったです‥‥)
を好きだと思ったのは、初めて2人で出かけた時に、
会った瞬間その時の私の服装を
「似合う」と恥ずかしそうに褒めてくれたからでした。

そんなこと言うような人じゃないので
本当に驚きましたが、それ以上に
そんな一瞬で恋に落ちた自分に驚きました。

付き合って数年経って、お互いに甘えも出てきて、
小さなことでイライラするようになっていました。

初めはそんなんじゃなかったのに、と思うと、
どんどん私が苛立つようになり、
彼もそれで苛立つようになり‥‥。
あの時の二人の空気は最悪で、
何度も別れを切り出されたし切り出しました。

そんな時、友人に「どこが好きなの?」と聞かれても、
うまい答えを見つけられませんでした。

それでも、なんのかんのとそばにいましたが、
その時に聞かれた「どこが好きか」に対しては
答えをうまく見つけられず、
なんだかもやもやしていました。

別れたほうがお互いのためになるのでは、
別れたくないと思う気持ちも
愛じゃなくて情なんじゃないか、などと思いながらも、
別れは切り出せないまま、
私の誕生日を迎えることになりました。

泊めてもらった次の日の朝早く、
彼の家のチャイムが鳴り、
戻ってきた彼の手には花束がありました。

「花屋さんが届けてくれた。お誕生日おめでとう」

少し照れて俯く彼を見て、
私は初めて彼と出かけた時のことを思い出しました。

「どこが好きか」なんて
そんな大事なことじゃなかったのだと、
その時ハッとしました。

色んなことがあって嫌な所もたいてい見せたけど
そばに居てくれること、
控えめながら柔らかく大きく支えていてくれること、
感謝ばかりが溢れました。

帰り道、生まれて初めて男性にもらった花束を
嬉し恥ずかし抱えながら、
幸せな気持ちで聴いたのがこの曲でした。

Superflyのこの曲はずっと好きだったけれど、
もっとずっと単純に
「好き好き大好き」の歌だと思っていました。
改めて歌詞を見てみると
思っていたよりずっと深くて、じんと沁みました。

それ以降、彼との関係はそれなりに順調です。

これからどうなるかは分かりません。

ただ、なんでも未来がどうなるかなんて分からないから、
不安になったら花束の優しさを思いだして、
お互いのこれからの幸せを祈るのみです。

彼にもこれを読んでくれた人にも沢山の感謝を込めて。

(志帆)

着ている服を「似合う」なんて
言うようなタイプじゃない人が、
誕生日に、サプライズで花束を!

がんばったなあ、彼氏。
それとも、そういうところは
もともとがんばれる人なのかな。

出会って、好きになって、つき合って、
長い時間を二人が過ごすときに、
ずぅーっと同じテンションのまま
お互いを好きであることって、
やっぱりちょっと無理ですよね。
だから、ある程度、つき合っている二人は、
たいてい、いらいらしたり、もやもやしたり、
どこが好きなんだっけ? と思ったりしながら
それでも、なんのかんのを乗り越えて、
いっしょにいるんだと思うんです。

投稿の終わりにある
「彼との関係はそれなりに順調です」が
とっても幸せな現状であるように思いました。

一瞬で、という恋のはじまり。
その時って、たしかに、
「外見が好みかどうか」みたいなこと、
吹き飛んだ状態になってますよね。
冷静に「外見がちょっとな」って思ったら
それは、恋のはじまりじゃ、ないし。

「どこが好きなの?」
って、お友達は何気なく訊いたんだろうし
(あるいは、もしかしたら、別れたほうがいいよ、
 っていうアドバイスのつもりだったのかもしれないし)
ぼくもそんなふうに訊いちゃう可能性があるけど、
「どこが好きか」ではなく、
「情」でもなく、
あの一瞬の、ほんとうにうれしかった時間が
いつでも思いだせるのならば、
その恋はほんものなんじゃないかなって思います。

言葉じゃなく、花束もまた代弁で、
「そばにいる」っていうのが
彼の最大の愛情表現!

Superflyさん(さん付けで呼ぶのはヘン?)のこの曲、
ぼくも好きです。
歌唱力とメロディの広がりに圧倒されていましたが、
あらためて歌詞を読んでみたら‥‥
ほんとだ沁みますねー。
「キレイなものは遠くにあるからキレイなの」かぁ‥‥。

(志帆)さんの投稿、とてもよかったです。
この投稿そのものが花束のようで。
とくに後半。ぱあっとうれしい気持ちになりました。

花束。
一般的な男性にとっては、
花屋さんに入ること、選ぶこと、渡すこと、
すべてがドキドキ!
ぼく自身にその経験がたくさんあるわけではないですが、
あのドキドキはとても好きです。

これは、愛ではなく情なのかもしれない、
継続でなく惰性なのかもしれない‥‥と思ったときに
よすがになるものが、みなさんにあると思います。
「あのとき、こう言ってくれた彼だ」
「こんなこともしてくれたっけなぁ」
そのエピソードだけで
何年も持たせることができるもの。
それを自分で思い起こせるか、あるいは
思い起こさせてくれることがあるといいですよね。
そのような、心に残る花束みたいな
エピソードのおかげで
長くそばにいられるんだと思います。
この歌の最後のように
「いつまでもそばにいて」って
毎年、誕生日にいっしょにいてくれる人に
言いたいなぁ。

恋のエピソード、投稿受付は
4月26日(土)の午前11時までですよ〜。
花束みたいな恋のエピソード、
駆け込みで送ってくださいね。お待ちしています!

2014-04-23-WED

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