いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

高校入学前の春休み、彼を映画に誘いました。
エッチなシーンになるとドギマギしたり‥‥。
(投稿者・むーみん46歳)
 スローなブギにしてくれ
 南佳孝

 1981年(昭和56年)
 
My恋歌ポイント

 Want you
 I want you 俺の肩を抱きしめてくれ
 理由なんかないさ
 おまえが欲しい
彼は中学のクラスメイトでした。
おとなしい人でしたが、お互いに本が好きで
私は彼に星新一を貸し、
彼は私に小松左京を貸してくれたりしていました。
本を返すときに他愛無い手紙をはさんで返したり。

それだけの間柄でしたが
同じ高校を目指していて、一緒の高校に行けば、
あるいは、つきあったりなんかして、、、と
当時中学生の私はぼやーん、と思っていたのです。

が、私は合格。彼は不合格でした。
ちょっとショックでしたが、
子供だから、どうしたらいいのか分からず、
なすすべもなく、何を考えたか、
私は高校入学前の春休み、彼を映画に誘いました。

それがこの映画でした。
なぜこの映画を選んだのか、さっぱり分かりません。
多分、カッコ良かったから?
少し、大人ぶりたかったから?
映画の内容もさっぱり覚えてません。

ただ、ただ、隣に座っている彼の存在が気になり、
大人な映画だったので、
エッチなシーンになるとドギマギしたり。
映画を観た後も、何を喋ることも、お茶することもなく、
黙って別れました。

それが最後でした。
私は新しい高校生活で、彼のことを忘れて行き、
後で聞いた話では、彼は失意の高校生活で、
しばらくは私のことを想っていてくれたそうです。
全然知りませんでした。

今なら、ああもするのに、
こんな風にも言えるのに・・・と思うけど
中学生の悲しさ・・・不器用でした。まっすぐでした。
片思いを抜けて、ひょっとしたら
現実の恋になるかもしれなかった初めての人でした。

この特徴的な歌詞とメロディーを聴くと
当時の自分を思い出して、
なんだかこっ恥ずかしくなります。
それなりに、一生懸命だったんですけどね。

「それなりに、一生懸命だったんですけどね。」
最後の一行に深く共感しました。
若く幼いころの恋なんて、
なにをどうしたらいいのか見当もつきませんから、
あわわわ、あわわわ、ばかりですよ。
あわあわしながら、わからないなりに、
ステキな感じにはしたくって、
一生懸命いろいろやるもんだから、
とうぜんあれこれまちがえちゃうわけで。

彼に対して何かをしたい、何をしよう?
そうだ「スローなブギにしてくれ」を観に行こう、
と「なぜか」そうすることにした
(むーみん46歳)さんの行動にリアルを感じます。
一生懸命です。
近くにいるための理由は、
何でもよかったのかもしれませんね。

あわわわ、あわわわ、
行く学校がいっしょのはずが!
というところで一回あわあわしちゃいますね。
映画に誘ったのは
(むーみん46歳)さんなんですから、
あとは、彼のほうにがんばってほしいところ!
しかし、学校が、俺は、だめだったし、という
あわあわ+しょんぼりがあって、
強気には出られなかったのかな。

映画も、ちょっとドキドキする内容でね、
よけいあわあわしますよね‥‥。
(ちょっと違うかもしれないけど、
 わたしは小学生のときに
 なかよしだった男の子が入院してしまって、
 元気づけようと
 『狼王ロボ』の本をプレゼントしました。
 アニメとかキャラクターの本と勘違いして、
 マジなシートンの本を‥‥あわあわ。
 そこから疎遠に‥‥がっくし‥‥)

南佳孝さんの声は、かっこいいです。
それなのに「こっ恥ずかしく」なる一曲に。

枕に顔をうずめて、ワーーーーーッと
言いたくなる、
そういう思い出をたくさん持っている人が
わたしは好きです。

「枕に顔をうずめて、ワーーーーーッと
 言いたくなる、そういう思い出が青春である」
みたいなこと、
遠藤周作さん(狐狸庵先生)も
書いておられた気がする!
ほんと、そうですよ〜〜。
ああ、はずかちい。
言えないことばっかりだけど。

ぼくは(むーみん46歳)さんとは
完全同世代なので、
「私は彼に星新一を貸し、
 彼は私に小松左京を貸してくれた」
というくだりとか、たまりません。
ぼくの場合そこから
「筒井康隆読む?」
という方向に行ったのが
恋路を逸れる最初の分かれ道でしたよ。

小説や映画の『スローなブギにしてくれ』は
すっごくオトナなものの匂いがしつつ
自分も読んだり見たりしてもいいんじゃないかな?
というような感じがしてました。
主演は浅野温子さん。
ほんとはエッチなシーンが目的で
男子は映画館に行ってたりして‥‥。
おなじ文芸系でも
『限りなく透明に近いブルー』とか
『エーゲ海に捧ぐ』だと
あきらかに目的違うのがばれちゃうんだけど。
(まず親に止められた。)

南佳孝さんの主題歌、
ぼくは映画は観てないんですけど、
大ヒットしました。
どくとくの甘い声と歌い方が
かっこよかったなあ。

‥‥ジャ・ジャ・ジャ、ジャ・ジャ・ジャ!
  ぁ、うぉんちゅぅ──‥‥
(このブレイクがたまらない)
────あ、うぉんちゅぅ、オレの肩を〜♪

三連できざまれるロッカバラード、
井上陽水さんの『クレイジーラブ』、
永ちゃんの『アイ・ラヴ・ユー、OK』、
もとをたどればポールの『Oh! Darling』、
いや、プラターズの『オンリー・ユー』まで
さかのぼるのでしょうか。

それはさておき、いただいた投稿は
すばらしい甘酸っぱさ。
「本を返すときに他愛無い手紙をはさんで」
「何を考えたか、彼を映画に誘いました」
「何を喋ることも、お茶することもなく」
などなど、自分のことでもないのに
読んでるとそわそわしてしまいます。

そう、中学から、高校にかけて、
なにかと、
「子供だから、どうしたらいいのか分からず」
なんですよねぇ。

ぼくは、このコーナーに
寄せられる投稿のなかにしばしば登場する
「お互いに好き合っているんだけど、
 なにをしていいかよくわからない」
という風景の描写がとても好きです。

いまは、そういうことはないのかなぁ。
いや、いまもきっと違うレベルでありますよね。
「なにをしていいかよくわからない」こと。

ただ好きだということは
具体的な目的をともなわないから
どれだけ気持ちが強くても
しばしば、なにをしていいかよくわからない。

それは、ひょっとしたら、
十代の恋に限らないのかもしれない。

今回も、読んでいて、いい気分になる、
なつかしくて、うれしい投稿でした。
それでは最後に、
三連のバラードを歌いながらお別れです。

ジャ・ジャ・ジャ、ジャ・ジャ・ジャ!
 ぁ、うぉんちゅぅ──‥‥
(ためて、ためて)
────あ、うぉんちゅぅ、オレの肩を〜♪

2012-03-24-SAT

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