いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

本当はどう接すれば
良いのかが
わからない
だけだったんです。
(投稿者・ZC1000)

  どうしても、
逢いたくなって、
お弁当を作って、
列車に飛び乗った。
(投稿者・は〜ちゃん。)
『時をかける少女』
 歌/原田知世
 1983年(昭和58年)

My恋歌ポイント

 あなた 私のもとから
 突然消えたりしないでね

部活で自主映画に
夢中になっていた高校時代、
私のことが好きなのかな? 
と思える後輩がいました。
わかりやすく「まちぶせ」的な
アプローチをされていたし、
友人たちからもひやかされる日々。
でも私は彼らに
「映画で忙しいから」と言って
あえて興味無い様な
態度をとっていました。

・・・ごめんなさい。
本当はどう接すれば良いのかが
わからないだけだったんです。
はっきり「好きです」と
言われたわけでもなく、
こっちから告白して
「そんなつもりありません」
なんて言われた日にゃ
ダメージ大きすぎるし。

そんな夏休みのある日、
皆で観に行った「時をかける少女」。
突然彼女は
私の自転車の後ろに
乗せて欲しいと言いました。
少し驚いたけど、
映画館までの道のりを二人乗り。
緊張した私は
何を話せばよいのかわからず
ひたすらペダルを漕ぎ、
彼女も黙ったままでした。

休みだというのに
お互い白い夏服のワイシャツと
いつもより重いペダル、
映画のエンディングでふと目に入った
スクリーンに照らされた
彼女の横顔・・・・・
今でも夏になると
この曲と共に思い出します。

その後も学校で彼女と
一緒にいる時間はあったものの
結局どちらも
決定的なセリフを言うことなく
私は翌春卒業して故郷を離れ
以来会うことはありません。

昨日まで一緒にいたのに
突然会わなくなるって、なんだかすごい。

ああっ!1983年に
タイム・リープできたら
あの時の俺に言いたいことが
山ほどあるっっ!!

 

My恋歌ポイント

 過去も未来も星座も超えるから
 抱きとめて

社内恋愛だった彼に、
突然、下った3ケ月の転勤命令。
毎日、会えていたのに、
寂しくて、寂しくて。

どうしても、逢いたくなって、
お弁当を作って、
列車に飛び乗った。

瀬戸内の町から山陰へ、
列車を乗り継ぎ、
往路5時間半の旅。

列車の中で、会ったら…、
あれも話そう、
これも話そうと思っていたのに。

山陰の小さな駅に迎えに来てるハズの
彼の姿が見えない。

携帯電話もポケットベルもなかった時代。

心細くて、泣きそうになりながら、
うろうろしてたら、隠れていた彼が、
バァ〜って出てきて、
嬉しくて、涙が溢れて泣き笑い。

当時は、まだ親が怖くて、
お泊りなんて絶対に出来なくて、
滞在時間2時間、
一緒にお弁当を食べて、
笑って、泣いた。

初めての一人旅でした。

男子と女子から同じ歌に届いた投稿を
読んでいただきました。
はじめてのこころみ、
「同じ曲でいちどにお便り2通紹介」です。

男子の(ZC1000)さんからは、
学生時代の想い出が。
「自主映画に夢中」
「自転車の後ろに乗せて欲しい」
「休みだというのにお互い白い夏服のワイシャツ」
「いつもより重いペダル」
「スクリーンに照らされた彼女の横顔」
‥‥ああ、みずみずしい!

女子の(は〜ちゃん。)さんからは、
社会人になってからの遠恋が。
「お弁当を作って、列車に飛び乗った」
「往路五時間半」
「携帯電話もポケットベルもなかった」
「隠れていた彼が、バァ〜」
「まだ親が怖くて」
‥‥ああ、きゅんきゅん!!

どちらの恋も、乗り物が出てくるんですね。

ボーイズ・サイドと、ガールズ・サイド。
ひとつの恋歌をテーマにした
オムニバス映画を観ているような、
そんな気分で2通のメールを読み終えました。
ありがとうございます、
今回もすばらしい投稿です。

どちらも、もどかしさがたまりません。
あれですね、
昭和の恋って「もどかしい」ものでしたよね。
いまよりずっと、
気持ちを伝える機会はすくなくて、
気持ちを確かめてからでさえも
簡単に想いは届きませんでした。
だからこそ、
うまくいったときは、きらっきらにうれしい。

今回の恋歌とは別曲ですが、
「♪会えない時間が 愛育てるのさ」
っていうのは、
それはほんとうに、そうだったのだと思います。

恋歌世代、
どちらサイドのもどかしさも
よくわかるようになりますね。

あなたを想う気持ちは
過去も未来も星座も超えます。
だけど突然消えたりしますね。
大ショック。
ユーミン、やっぱりすごいなぁ。
(作詞作曲は松任谷由実さんです)

映画はたしか、
薬師丸ひろ子さんの「探偵物語」と
同時上映でしたよね?
ほっぺにスミがつくのがかわいかった。

そのかわいさにやられまして
一時期、美容院で、
「原田知世ちゃんカットにしてください」と
小声でオーダーしていた時期がありました‥‥。

久々に話を広げてしまうんですが、
ボーイズサイドの投稿にある
はじめての「自転車二人乗り」。

交通違反です、という話はさておき、
高校時代くらいの
はじめての二人乗りって
めちゃくちゃ緊張するんですよ。
しませんでしたか、男子諸君。

だってね、まずね、そもそもね、
けっこう、危ない。ハンドルふらふら。
だって、高校生ともなれば、
失礼ながらある程度の体重あるでしょ。
いかに可憐な女子といえど。
そんで、制服だと横座りでしょ。
ハンドルふらふらですよ。

おまけにどうやっても
人の目に触れるから、超緊張。
それが意中の子であろうとなかろうと。
さらにいうと、黙ってるのも変だから
しゃべるでしょ、無理して。
でも、前向いてるから、
しゃべりにくいでしょ。
後ろからなんか言われて
聞き取れなくて、振り返ったりすると
超危ない。ハンドルふらふら。

歩行者もいるし、道もでこぼこだし、
彼女の手は腰にあるし、
誰かに見られたら面倒だなあ
みたい気持ちもありつつ、
やっぱり、うれしいし、照れるし、
そうはいっても体重あるし、
もう、ハンドルも俺もふらふらですよ。

そういうことをテーマにした
『ハンドルふらふら』という歌を
星野源さんとかにつくってもらいたい。

ひとりで話を広げて
ひとりで話をたたむ。
また、次回。

2011-09-03-SAT
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