いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

なぜか出てきたこの歌によって
数々の片思いを乗り越えたのでした。
(投稿者・さくぴぴ)

『北の宿から』
 歌/都はるみ
 
1975年(昭和50年)
 

My恋歌ポイント

 着てはもらえぬセーターを
 寒さこらえて編んでます

わたしの恋歌は
都はるみさんの「北の宿から」です。
(あーもっとかわいい歌を送りたかった‥‥)

当時小学生だった私は
テレビの歌番組で流れる曲を、
弟とふたり、大声で
片っ端から歌っていたものでした。
そんな時出会った「北の宿から」。
「着てはもらえぬセーターを
 寒さこらえて編んでます」
という歌詞には、ただならぬ大人の世界を感じて、
小学生としては精一杯の感情を込めて
(寒さこらえてる風など)歌っていました。
いま思えば、最後の
「あなた死んでもいいですか
 胸がしんしん泣いてます」
のほうが衝撃的だと思うんですけど、
こちらは難しすぎたのでしょうか、
あまり記憶にありません。

思春期になって好きな人ができて、
夜、その人のことを想うときに
この歌が出てきて、
一気に未練にまみれる女心へ。
まだなんにもはじまってもいないのに、
ひとりこらえる女となって、
数々の片思いを乗り越えたのでした。
自分でも
「なんで『北の宿から』やねん」
と突っ込まざるをえない、
残念なわたしの青春の恋歌です。

思い返せば、子どものときに
よくあんなの歌ってたな、
よく親は止めなかったな、
という内容のものが
「くちずさみ歌」には、ありますよね。
私もこの曲、歌ってました。
父といっしょにお風呂に入って
背中流しながら、歌ってました‥‥。

たしかに「着てはもらえぬセーター」は
こども心に衝撃でしたよ!
クラスで妙に流行ったもの。

セーターが出てくる歌では
中島みゆきさんの
「ALONE, PLEASE」っていうのも好きです。
街で「あなたに似合うセーター」を
見つけるんだけど
「もう私が贈るなんてできない」って
気づく歌です。

着てもらえないことがわかっているのに、
セーターを、編む。
セーターを編むのは、たいへんな作業です。
マフラーとかじゃないですよ?
セーターですよ?
時間だってかかります。
しかも、しかもです、
「寒さこらえて編んでます」
っていうことは、どうやらこの女性、
自分はセーター着てないですよ。
暖房のきいてない部屋で、かじかむ手で‥‥。

なのに、それは着てもらえない。
着てもらえないことを重々承知の上で、
黙々と、編む‥‥。
これは、すごいです、怖いです。

‥‥深く考えずにくちずさんでいましたが、
今回はじめて、
この歌詞のものすごさを知りました。

ていうか、この投稿、
読めば読むほどおもしろーい。

「自分でも
 なんで『北の宿から』やねん
 と突っ込まざるをえない、
 残念なわたしの青春の恋歌」
っていう冷め具合が最高です。

そう、思えば「恋歌」って、
自分で選べないものだもんね。
どうしてか、それが、
思い出の曲になってしまうという
言ってみれば「受け身」の
動きのなかにあるもので。

だからといって
なんで『北の宿から』やねん、
というのはあるよなぁ‥‥。

2011-08-18-THU
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