遮光土器をさわることができて
頭の中で感触を確認していると、
「縄文土器にもさわれる場所があります」という
学芸員の佐野さんからの素敵なご提案があり、
一行は、つがる市森田歴史民俗資料館へ向かいます。




 
どんな土器があるんだろう
車は、再びりんご林や田畑を抜けて
南へと走りました。

40分ほどですこし緩やかな斜面を
登ったところにその建物がありました。

あ、こういう建物に
実はすごいものがあるんですよー
そんな予感が‥‥。


 
靴をぬいで
スリッパに履き替えようとすると‥‥。

「ちょっと待って!
 声の収録の邪魔になるかもしれないから
 はかないでいてもらえますか?」

「はい!」

元気に返事をしましたが
館内けっこう寒い~~!
床から冷気が伝わってきます。

‥‥むわっ!
あ、つきましたか?
 
ああああ、わたくし、
起きていたつもりがうたた寝していました!
車の振動は心地よいですね。
急ブレーキをかけられると、
自分が粉々になる可能性があるので、
油断は大敵ですが、つい‥‥。
ああっと、申し遅れました。
わたくし、
今日もスソさんのかばんの中にひそむ
土人形のミミズク土偶の健太郎こと、
ミミケンともうします。
一代目は「はにわのみこちゃん」で、
わたくしミミケンが二代目です。




 
手書きマップ
円筒土器下層様式遺跡分布図
円筒土器上層様式遺跡分布図

みごとに漢字が並んでいますが
分割して読むとなんとか理解できそうー

円筒土器 下層様式 遺跡 分布図
円筒土器 上層様式 遺跡 分布図


どちらも赤い四角で囲まれたところが
石神遺跡ですね。

おぼえてますか?
 

亀ヶ岡縄文室で見た表を思い出してね
円筒下層は縄文時代前期、
円筒上層は縄文時代中期 
の土器ですよ。
はい、じゃあミミケンは?
チッ
チッ
チッ
チッ
チッ
チッ
はいっ!

正解は!
縄文時代後期後半から晩期前半です!
ミミケンのこともドント・フォゲット!


 
遺跡全景
右下の黒い◯で囲ったところが
石神遺跡。
奥には岩木山がそびえています。

富士山みたいに
ほぼ左右対称の
きれいな二等辺三角形の山です。

まわりには溜池があるようです。
きっと古代も
水が豊富な場所だったのでしょう。

解説しよう!
 
ミミケンが解説いたします。
黒い囲みがわかりにくいかもしれませんが、
おゆるしあれ。
水辺につきだしている
半島のような形の部分がそれです。

ちなみに、石神遺跡は、
岩木山の北東麓の
津軽平野をのぞむ丘陵の端にあります。
114個の土器類を中心とする
多数の出土品の内容は、
北東北の縄文時代前期・中期の
生活や文化を知るうえで
重要な手がかりとなるものなのでございます。




 
展示室
細長い土器がずらりと並んでいます。
一番奥のケースがひときわ光っていて
気になりますね。








 
ジャーン!
なんだ!これは!
顔?!
顔面つき土器?
もしや、石神さまでしょうか?

かっこいい!
 
非常にかっこいいとおもいませんか?
ミミケンは、この土器についている
顔がたいへん好みですね。
あ‥‥そんなこと聞いていませんって?


 
はーーー!
見よ! この堂々たるお姿を!
円筒土器って煙突のように
長ーい土器なんですね~。

食べ物を煮ると下のほうが
取り出しにくいと思うんだけど
どうしてこんなに長くなったのかな~?






 
それにしても
すごく細かい縄目のバリエーションと
棒でちょいちょいと挿した跡が
きれいに残っています。

上の方はかごを編んだような
組み方にも見えるし、
これだけの細工をよくもまー!
はーー。

この2つの土器は海外の博物館からも
貸し出しを求められる
人気の円筒土器だそうです。

いやー自分で造った物じゃないけど
なんか誇らしいわーー!
すばらしいわーーー!

ながっ!
 
それにしても長い長い土器ですね。
なが〜いおたまを作りたくなります。
こういう土器でスープなどをつくると
結構おいしいのではないかなと
ミミケンは以前より考えています。
きのこときの実のスープを考えています。








 
土偶も
土器だけではありません。
板状土偶(ばんじょうどぐう)もあります。
十字形で板状の土偶は、
立体の土偶が造られる
前の時代に造られていました。
なぜか、首の下に顔があるものも!?

縄文人は自由です!

頭のうえに首でもいい!
顔の横に手があったっていい!




 
その他にも
不思議な形で用途不明の石製品や
石の垂れ飾りもあります。

土偶が素朴なのに対して、
こっちは精錬された
技術を感じます。

土と石
 
土の素材のものと
石の素材のものの技術の対比は
おもしろいポイントですね。
ちなみに、ミミケンの造形は
「素朴で自由」というのがポイントです。
土人形ならではでございますね。










 
収蔵室にも
展示室を出て、
収蔵室にも入らせていただきました。

小さかったり、
欠けている部分が多かったりしますが
面白い土器がいっぱいひしめいています。

ここにある物はどれでも、
さわっていいそうです。

学芸員の佐野さんは、
見学者がなるべく
土器にさわれる機会を増やしたいと
おっしゃっていました。

さわってはじめて感じることや
わかることがたくさんあるから
だそうです。

わたしも、
たくさんさわらせていただきました。

確かに、さわっていると
造っている人の手がわかるというか
ここをこんなふうに持っていたなー
というのがわかるのです。
微妙なへこみとか出っ張りで
落ち着き場所がわかってきます。

持ってじーっとしていると
気持ちが伝わるような気がしてきます。

交信中。
 
スソさん、古代人と交信ですね。
今回の旅は昔のひとと
モノを通じてずいぶん会話をかわした
スソさんです。


 
顔だー
こんなのも!
カエルかな~それともヒト?

カワイイ!
 
ああ、これはカエルじゃないですか?
スソさん!
宇宙人にも見えますが、
ミミケンにはカエルにみえます。
カエルは食べられるのですよね?
たしか。


 
しゃこちゃん!
見学を終え
帰り際に鉛筆立てに気がつきました。

あ、なかなかステキ!




 
さいごのお願い
「さて、これから
 空港へ戻るだけになりましたが
 まだちょっと時間があります。
 どこか1カ所ぐらいなら寄れますけど、
 行きたいところはありますか?」

と聞かれました。

「えーと、実は、
 亀ヶ岡遺跡のそばにあった雷電宮に
 寄りたかったんです。
 さっき、車で通ったとき
 何か気になって‥‥。」

また同じ場所に戻るなんて、
ちょっと無理かなー。

とダメもとで言ってみたら
なんと! 希望がかなって
また40分かけて戻ることになりました。

この鳥居を見て
あ、降りたい! と思ったのでした。


 
石の鳥居
ちょっと右にそれたところ
その先は崖?

そうです。このあたりが
きっと縄文人の居住地ですよね。
崖の下は、きっとずぶずぶです。

ただの原っぱだけど、
なんとも言えないものを感じます。

ふぁごっ。
つきましたか?
 

失礼しました!
失礼しました!
また、車の中でぐっすり寝てしまいました。
危険を感じながら寝るというのは、
妙な気持ちよさがあります。
それはさておき、
スソさんは、
初めての街を歩いているときに、
「ここは、あやしいね。」や
「もしかしたら?」などなど
地形をみつつ、
古代の風景を想像していることがあります。
このあいだ、「ほぼ日」の事務所のある青山でも
「ここが貝塚だったはず‥‥」といって
ちょっと回り道をしていました。









 
お宮
雷電宮はすこし小高い丘に立っていました。

祀り事をするのに
一番良さそうなところです。

そして、ここから見える風景は...。

そう、あの向こうの
田んぼがあるところは、
遠くに見える山並の手前まで
縄文海進で海水が入り込んでいたんですよ。

ちょっと解説!
 

はにわのみこちゃんも
解説していたとおもうので、
繰り返しではございますが。

スソさんは、
「ひとり古墳部」で歩くときに
神社をチェックします。
縄文や古墳が神社と関わりがあるのかな?
と疑問に思われるかもしれません。
じつは、神社は古墳の跡地に
建っていることが多くあります。
神社の境内から遺跡が出土することも
ままあるそうなのです。
なので、スソさんは古代を感じるために
神社に寄るのです。









 
あれ?
丘から降りていくと

おや? 貝塚でしょうか?
いや、田子屋野貝塚は
すこし北に行ったところのはずです。

これは現代の貝塚でしょうーきっと。
それにしてもぎっしりありますねー。


 
夕焼け
時間です!
なんだかんだ言って、
結局最後にうろうろ歩いたところで
一番気持ちが盛り上がりました。

遮光器土偶を造った人たちが
ここにいたんだなーと実感できました。
手でじゃなく肌で。足の裏でかな?

遺跡地が立派すぎる建物で
囲まれてしまわないといいなー
と願いつつ車に乗り込みました。

車で空港に向かう途中、
岩木山のてっぺんが雲の上に
ちょっぴり出ていました。

そう、ここは岩木山に
見守られている場所なんですね。

あるくスソさん。
 

スソさんは、
フィールド派でございます。
歩いて感じる古墳部でございます。

さあ、ではいったん東京にもどりまして、
お次の古墳部をおたのしみに!


 
2015-08-16-SUN
 
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