KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百弐拾・・・文房具

北小岩 「これでは字が
 書けないでございます」

シュッシュッ

北小岩 「こうすればなんとか」

シュッシュッ シャッ

北小岩 「痛っ!
 指先に割れ目が
 できてしまいました!!」
小林 「お前、昼間っから
 割れ目がどうしたとか、
 エロにもほどがあるやろ!」
北小岩 「申し訳ございません。
 同じ鉛筆をずっと
 使い続けていたために、
 長さが5ミリになってしまったのです。
 まだまだ使えると思い、
 公園で拾ってきた安全カミソリで
 削っていたところ、
 指先を切り、
 そこが割れ目のように
 なったのでございます。
 痛たたっ。
 割れ目を舐めないと、
 出血が激しくなります!」
小林 「ものを大切にする心は
 エラいと思うが、
 その後の言動は
 エロいといった方がええな。
 ともかく、
 5ミリの鉛筆を削るのは
 危険かもしれん。
 文房具屋に行ってみるか」

小林先生は、
割れ目を舐め続ける北小岩くんに浣腸しながら、
歩を進めた。

小林 「ここで買い物をするのも
 久しぶりやな」
北小岩 「そうでございますね」

買い物が久しぶりというのは、正しくない。
所持金は常に、先生が2円、弟子が2円、
計4円なのである。
以前、ここを訪れた際には、
長い期間陳列されていて
損傷の激しくなった文具を、
拝み倒して店員からもらったというだけの
話である。ものもらいというべきであろう。

小林 「だいぶ風景がかわったな」
北小岩 「フィッティングルームの
 ようなものがあります。
 男女が入っていきました」
中の男 「どれどれ、えへへへ」

キュッキュッ

中の女 「あっ、ほんとに消えたわ。
 今度は私の番ね」
中の男 「おほほっ〜!」
北小岩 「いやらしさの予感に
 満ちておりますが、
 何をしているのでございましょうか」
店員 「革命的な商品が出ましてね。
 こすると陰毛を
 消すことができる
 消しゴムなんですよ」
北小岩 「なんと!」

小林 「それに何の意味があるのかは
 わからんが、
 画期的であることだけは確かやな」

中からまた奇妙な会話が聞こえてきた。

中の女 「ひとまずどれぐらいの
 期間にしとく?」
中の男 「そうだな、
 一年ぐらいにしとこうか」

ビュッ ペタッ

中の男 「くすぐったいな」
小林 「今度は何をしとるんや」
店員 「それもまた革命的な商品なんです。
 おちんちん用の印鑑なんですよ。
 つきあっている女性の名前を
 捺印するんです。
 期間が選べ、
 その間は絶対に落ちません。
 女性にとっては、
 このおちんちんは私のものという
 主張になるのですね」
小林 「・・・」

今、文房具屋さんの商品ラインナップが、
劇的に変わりつつあるようだ。
これからどのような展開を見せるのか、
予断を許さない。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2014-09-21-SUN

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