KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の伍百拾伍・・・流し

チカチカチカ

小林 「繁華街はひさしぶりやな」
北小岩 「目がちかちかいたしますね」
小林 「俺も若い頃は、
 ここいらの酒場でよく飲んだもんや」
北小岩 「先生はその頃、
 お金を持っていたのでございますね」
小林 「いや。
 今と同じや」
北小岩 「ということは、
 所持金が
 2円だったのでございますか」
小林 「そやな」
北小岩 「2円でよく遊べましたね」
小林 「そのことか。
 俺は若い頃、
 エロ本の目利きになるために、
 過酷な修行を積んどった。
 それを目の当たりにして
 感銘を受けた実業家が、
 よく連れて行ってくれてな」

先生がどんな修行に身を置いていたのかは
わからない。
しかし、対象がどのようなものであっても、
懸命に生きる者には、
必ず支援者が現れるものである。

北小岩 「先生が繁華街で
 幅を利かせている時、
 楽しい思い出はございましたか」
小林 「思い出というほどではないが、
 流しで極端に
 イチモツのでかい男がおってな」
北小岩 「?」
小林 「ギターも歌も
 とにかく下手やった」
北小岩 「それと巨根と
 どう関係するのでございますか」
小林 「いつも半ズボンをはいっとってな。
 曲のサビになると
 わきからイチモツが
 だらんと垂れ下がってきて、
 客のグラスに入ってしまうんや」
北小岩 「げげっ!」
小林 「水割りならぬ、
 ウイスキーのちんぽ割りやな。
 何回かそれをやってしまい、
 当然クビになったわな」

北小岩 「今、
 何をしてらっしゃるのでしょうか」
小林 「何をしてるんかな。
 むっ、ヤツや! 後を追うか」

元流しの男は、住宅街へと向かうようだ。
草木も眠る丑三つ時。
どこかの家から声が聞こえる。

どこかの
家の妻
「蚊がいるじゃない!
 あんたとってよ!!」
どこかの
家の夫
「そんなこと言ったって、
 眠くて蚊なんかとれねえよ」
どこかの
家の妻
「蚊取り線香をたくと煙くなるから、
 ちゃんととってよ!」
元流しの
「え〜、
 蚊取りの流しでございます〜。
 一匹千円で蚊を退治しま〜す!」
どこかの
家の夫
「蚊取り屋さん、頼むよ!」
元流しの
「へ〜い!」

先生と弟子は、
数センチ開いた窓から中をのぞいてみた。

北小岩 「ちんちんを出しました。
 確かにかなりデカいです」

ぷ〜〜〜ん!

北小岩 「あっ、
 蚊がブツにとまりました!」

バシッ!

どこかの
家の妻
「ありがとう!
 頼りになるわね。
 でもどうしてすぐに
 蚊がとまったのかしら」
元流しの
「いつもちんちんに
 酒を飲ませてるんですよ。
 そうすると、
 蚊がとまりやすくなるもんでね」

元流しの男は、己のモノを磨いて、
第二の流し人生を歩んでいるようだ。
進もうとした道でつまづいても、
横にチャンスは転がっている。
肝に銘じたいことである。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2014-08-17-SUN

BACK
戻る