KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百九拾八・・・合法

ちゃら

北小岩 「先生、
 ポケットからお金が落ちました」
小林 「虎の子の大金や」
それを
見ていた
ガキ
「おっさんたち、
 お金っていっても
 一円玉一個じゃん」
北小岩 「何をおっしゃいますか。
 一円を笑う者は
 一円に泣くと申します。
 あなた様もいつか
 一円に泣くことになりますよ」
それを
見ていた
ガキ
「一円に泣く?
 泣くわけないだろ。
 俺今、一万円持ってるんだよ。
 ほら」

ひらひら

小林&
北小岩
「うわ〜〜〜!」

どたっ

師弟は久しぶりに高額紙幣を見て、
その場に倒れこんでしまった。

それを
見ていた
ガキ
「あげないよ〜〜〜」

どこかに消えてしまった。
北小岩 「巨額のお金に慣れていないため、
 めまいがしてしまいました」
小林 「実をいうと俺もや。
 俺たちはある意味
 ストイックに生きてきたんやが、
 ストイックの方向を
 変えた方がええかもしれんな」
北小岩 「わたくしの友人で、
 信じられないほど
 ストイックな生き方をしている方が
 三人いらっしゃいます。
 『ストイックな三本の矢』と
 呼ばれております」
小林 「凄そうな男たちやな」
北小岩 「彼らを訪ねてみましょうか」
小林 「そやな」

弟子をナビゲーターに、
先生はあほ面下げてついていった。
北小岩 「ストイックな三本の矢の方々は、
 それぞれ特長がございます。
 一本目の矢の方は、
 あの上にいらっしゃると思います」

北小岩くんが指差す方向には、
粗末な火の見櫓があった。
二人は梯子をのぼりながら。

北小岩 「彼は幼少のころより
 ストイックに遠くばかりを眺め、
 視力を鍛え上げてまいりました。
 そのため、近くは
 あまり見えなくなり、
 歩いている時にポールがあると、
 ポールを打ってしまいます」
小林 「己を犠牲にしてまで、
 いち早く火事を発見して
 町に貢献しようとしてるんやな。
 火の見櫓だけに、見上げたもんや」

名台詞をはいたと悦に入る先生を無視し、
櫓に這い上がり。

北小岩 「お久しぶりでございます。
 いかがですか」
スト
イックな
一本目の
「やあ、北小岩くんか。
 今ね、
 4キロ先のマンション6階に
 住んでいるOLさんが
 着替えているんだけど、
 ノーパンで町に
 出ていくみたいなんだよね」
小林 「なにっ!
 お前もしかすると、
 4キロ離れたところにいる
 女のそんなところまで
 見えるんかい!」
スト
イックな
一本目の
「そうですよ。
 そんなところどころか、
 もっと奥の、
 奥ひだまで見えますよ」
小林 「なんと!」

北小岩 「それほどまでに、
 ストイックに目の修行を
 つまれてきたのですね」
スト
イックな
一本目の
「そういえば、
 もうすぐ二本目の矢が
 来るんだけど」
スト
イックな
二本目の
「やあ!」
スト
イックな
一本目の
「おっ、来た来た。
 調子はどうだい?」
スト
イックな
二本目の
「川の向こうを歩いている
 米粒ぐらいに見える
 ケバめの女がいるじゃない。
 あの人、
 パンティを二日間、
 履き替えてないよ。
 コクがあるもん」
小林 「お前はあんなに遠くの女の
 パンティの匂いを
 嗅げるんかい!」
北小岩 「それほどストイックな鍛え方を
 してきたのでございますね」


ここにはいないが、
ストイックな三本目の矢と呼ばれる男は、
おそろしく遠くにいる男女が
いやらしいことをしている音を聞けるという。
ストイックな三本の矢の方々・・・。
凄まじいともいえますが、
単に合法的なデバ亀な気もします。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2014-04-20-SUN

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