KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百九拾四・・・巣箱

小林 「今日の俺の予定は、
 どうなっとるんや」
北小岩 「え〜と」

弟子がゴミ箱の中から、
くしゃくしゃな紙を拾いあげた。

小林 「俺の予定は、ゴミ箱の中かい」
北小岩 「申し訳ございません。
 先生の予定といえば、
 どう考えても
 イカ臭いものが多かったので、
 腐臭がするといけませんので
 ゴミ箱に入れておきました」
小林 「相変わらずわけのわからん奴やな。
 それでどうなんや」
北小岩 「はい。
 お昼に町の巣箱づくり名人さんに
 お呼ばれしております。
 今回はイカ臭くないようです」
小林 「ほほう。
 彼の家で豪勢なランチやな」

なぜ、先生のようなエロ人が、
巣箱づくり名人という爽やかな方に
招かれているのだろう。

小林 「名人のところで
 インコを飼っとってな。
 数日前に、元気をなくしていると
 相談を受けたんや。
 そやから俺の直感で、
 インコが好きそうなエログラビアを
 持ってったんやが、
 くちばしで紙を破っとったら、
 案の定元気になってな。
 それでたいそう気をよくして、
 今回どうしてもということで
 呼ばれたわけや」
北小岩 「そうでございましたか。
 さすが先生でございます」

ともかく阿呆師弟は、
昼飯にありつくために名人宅を訪れた。

巣箱
づくり
名人
「よくいらっしゃいました。
 お腹がすいているでしょう。
 昼食はあそこに用意しています。
 さっ、どうぞ」

指差された方を見ると、
人の顔がやっと入るぐらいの
穴が開いている巣箱が二つ並んでいた。

小林 「鳥になった気分やが、
 まあええ」

穴に顔を突っ込んでみると、
中には口の高さに台があり、
その上に千切ったコッペパンなどが置いてある。

北小岩 「久しぶりの
 きちんとした食事でございますね」

二人が食べ終えた頃、
名人が双眼鏡を片手に戻ってきた。

名人 「腹ごなしに余興をご覧ください」

名人宅の裏は木が茂っており、
外部の者が自由に出入りできるように
なっている。
木には様々な巣箱がかけられ。

名人 「巣箱といっても、
 鳥用ばかりではありません。
 この林には、
 人間用の巣箱も用意してあります」
北小岩 「わたくしたちが
 ランチをいただきましたのも、
 人間用の巣箱と
 いえなくもありませんが、
 そのようなものなのでございますか」
名人 「若干異なりますね。
 女用の巣箱と男用の巣箱があります。
 男用は撲滅用、女用は観賞用です。
 この双眼鏡でご覧ください」
北小岩 「あっ、
 パンツが見えるミニスカートを
 はいた女性が、
 バストの高さの二つの穴に、
 おっぱいを入れました」
名人 「女にも男にも、
 帰巣本能があるんですね。
 巣箱の裏の木が外されているので、
 この角度からよく見えるでしょう」
北小岩 「うへ。
 でへへへ」
小林 「こら、双眼鏡を貸さんかい!
 むっ、
 イチモツの高さに穴の開いた巣箱に、
 巨根を出した野郎が
 帰巣しようとしてるで」
名人 「では退治しましょう!」

ぴゅ〜

名人が指笛を吹くと鷹が飛んできた。

名人 「ヘイ、ゴー!
 チン、ポー!!」

鷹は巨根野郎が帰巣した巣箱の裏面を破り、
イチモツを鋭い爪でとらえた。

巨根野郎 「うぎょ〜〜〜!」

野郎は断末魔の叫びをあげたのだが、
いったい何なのだろう、この名人って。

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2014-03-23-SUN

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