KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百参拾四・・・孵化

ブルブルブルッ
北小岩 「う〜、
 寒さのあまり起きてしまいました。
 しまったでございます!
 昨晩友人の家で熱燗をごちそうになり、
 家にたどり着いたとたん、
 三和土で眠ってしまったのでした」

カチン

北小岩 「下半身が重い気がいたします」

コチン

北小岩 「うわ〜!
 大切なところを出したまま
 眠っていたので、
 金玉が凍っております!!」
小林 「お前朝から、金玉がどうのとか、
 どすけべなヤツやな」
北小岩 「あっ、先生。
 実はわたくし、
 チンコがコチンコチン、
 いえ、金玉が凍りついて
 しまったのでございます」
小林 「それは一大事や。
 だが、くれぐれも熱湯をかけるなどの
 愚を犯してはならん」
北小岩 「どうしたらよいので
 ございましょうか」
小林 「そやな。
 こういう時は、
 町に出てみるこっちゃ。
 ヒントがあるかもしれん」

外はみぞれまじりであるが、
二人はおしくらまんじゅうをしながら
公園に向かった。
そこでは男らが、
今年の寒さについて語り合っていた。

男らA 「例年になく冷えるよな」
男らB 「特に金玉が冷えないか」

男らの会話を聞いていた
行商人のような怪しげな男が、近づいていった。

怪しげ
な男
「局部をあたためる
 いいものがございますよ。
 今ならキャンペーン中なので、
 タダでお貸しできます」

怪しげな男はずた袋から
タコ焼き器状の怪しげなものを取り出した。
北小岩くんが「わたくしにも」と
一歩踏み出した刹那、
走り寄ってきた男に路地に連れていかれた。

走り
寄って
きた男
「ダメだよ。
 あれを使っちゃ」

北小岩 「どういうことでございますか」
走り
寄って
きた男
「俺は二日前に金玉が凍ってしまい、
 藁にもすがる思いで
 あいつの機械を使ったんだよ」
北小岩 「効果はございましたか」
走り
寄って
きた男
「効果どころじゃないよ。
 あれは孵化器なんだよ」
北小岩 「どういうことでございますか」
走り
寄って
きた男
「あのタコ焼器みたいなものに
 金玉を入れてあたためるだろ。
 何日かすると、
 金玉が孵化してしまうんだ」
北小岩 「なんと!」
走り
寄って
きた男
「金玉が割れて
 赤ちゃんみたいなヤツが
 出てくるんだけど、
 そんなかわいいもんじゃない。
 金玉おじさんという名がぴったりの
 気持ち悪いヤツなんだよ」

小林 「それは危険な香りがするな」
走り
寄って
きた男
「そうなんだよ。
 あの怪しげな男は、日本中の、
 いや、世界中の金玉を孵化させて
 男を滅ぼそうとしているのかも
 しれないぜ」
小林 「それは一大事や!」

金玉を特殊な方法であたため続けると
孵化してしまうらしい。
金玉おじさんとでも言うべきものが
出てくるという話だが、
それがどういう生き物なのか、
また怪しげな男が何者であるのか。
謎は深まるばかりである。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2013-01-27-SUN

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