KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百参拾弐・・・行く年来る年

小林 「う〜ん。おかしい」
北小岩 「へっ?」
小林 「どう考えてもおかしい」
北小岩 「なにがでございますか」
小林 「いやな。
 年が明けたのはええが、
 何かが足らん気がするのや」
北小岩 「何かが足りないのではなく、
 すべてが足りないのでは
 ありませんか」
小林 「それも一理あるかもしれん。
 何が足りん?」
北小岩 「そうでございますね。
 先生の場合、
 例えばぽこちんの長さが
 足りないのではございませんか。
 はっ、申し訳ございません」
小林 「まあええ。
 今年は巳年や。
 俺の股間の大蛇に免じて
 許してやろう。
 むっ、そうや!」

グギッ

小林 「うう〜!」
北小岩 「大丈夫でございますか。
 今、男にとって、
 耐えられないぐらい嫌な音が
 いたしました。
 正座からいきなり立ち上がった時に、
 金玉をくじいたのではございませんか」
小林 「そうや。
 それはともかく、
 足りないのが何かわかったで。
 行く年来る年という言い方があるが、
 確かに年が行ったのはわかった。
 しかし、お前に来る年は来たか?」
北小岩 「来ておりません。
 わたくしも実は、
 何かが足りないと
 うすうす感じていたのでございますが、
 そのような理由だったのですね」
小林 「もしかしたら、
 各々の来る年が
 自分のとこまで来ていなくて、
 町のどこかで滞っているのかもしれん。
 来る年の中には、
 いい思いをして気持ちよくなることが
 入っていることもあるやろ」
北小岩 「そうでございます。
 探しに行きましょう!」

勇んで飛び出した二人。来る年やいかに。

北小岩 「あそこをご覧ください」
小林 「町一番のかっこ悪いやつがおるな。
 むっ。
 赤いバラがあるところで、
 何かを見つけた。
 やつの来る年に違いない」
北小岩 「情熱の赤いバラでございます。
 きっと、今年ウハウハな思いを
 するのでございましょう。
 あれ?
 魚屋さんのアワビのところに、
 わたくしの来る年がございます」

ダダダダッ

北小岩 「やっぱりそうでございます」
小林 「なに! アワビやと」
北小岩 「でへへへ」

小林 「生々しくええ思いができるな。
 ところで俺の来る年はどこや」
北小岩 「ございました。
 ゴミ箱の中に、
 エログラビアに包まれて落ちております」
小林 「そうか!
 幸先ええな」
北小岩 「むっ、グラビアには
 犬の糞がべったりくっついております」
小林 「・・・」

来る年は目には見えないのだが、
なんとなく気配でわかるものなのである。
先生の来る年にはウンがついていたが、
運がついたと見るべきか、
運のつきと見るべきか。
後者であることは、間違いないであろう。

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2013-01-13-SUN

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