KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百弐拾七・・・冬の挑戦者

「なかなか山頂にたどり着けません。
 しかし、ここで引き返すわけにはまいりません」

ざざざざざ

「見えてまいりました。
 あそこが山頂に違いありません。
 ついにやりました!

 むっ、大きな穴が開いておりますね。
 この穴は、ケツの穴に違いありません!」

ずるっ

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
 はっ。夢でございましたか」

師走というのに、
くだらなすぎる夢を見ていたのは、
弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「なぜあのような夢を。
 そうでございます!
 今日は我が町の英雄が、
 パレードをするのでございました。
 すぐに家を出なければ」

英雄は、この町出身の
楚々理辰夫(そそりたつお)という男。
エベレスト山の登頂に成功。
弟子がしょうもない山の夢を見たのは、
彼に会う興奮のためであった。

北小岩 「この道を通って、
 それから広場で講演をするのですね。
 あっ、もう講演が始まっております」
小林 「お前も来たんか」
北小岩 「先生もでございましたか」
小林 「俺と並ぶ英雄の登場やからな。
 始まるで」
司会 「エベレストは楚々理さんにとって、
 難攻不落の地だったのですか」
楚々理 「いやぁ、山は山でも、
 べっぴんさんのおっぱいの方が、
 よっぽど険しいねえ。
 登ろうとして、
 何度なだれにやられたか。
 もうよだれたらたらだよ」
北小岩 「・・・」
司会 「楚々理さんは最高の挑戦者と言っても
 過言ではないと思いますが、
 日本に挑戦者と思う方は
 いらっしゃいますか」
楚々理 「俺より凄い奴が二人いるよ。
 冬になると湖が凍るだろ。
 そこでスケートをすることがあるよな。
 たまにスカートで滑る女がいるんだよ。
 それを下から眺めるために、
 褌一丁で氷の下に
 潜り込んでる奴がいるんだよ。
 パンツを見るために、命懸けなんだぜ。
 かなわねえよ」

司会 「それはある意味、
 とてつもない男ですね。
 もう一人は?」
楚々理 「雪国で出歯亀するために、
 褌一丁で長時間
 雪だるまの中に入っている奴が
 いるんだよ。
 カップルが乳くりあっていたら、
 そいつらに気づかれないように、
 ほんの少しづつ近づいてのぞくんだよ。
 のぞきのために、命懸けなんだぜ。
 かなわねえよ」

この楚々理という男、
英雄なのか、ただのアホなのか。
所詮、先生の町の英雄など、
こんなものなのかもしれないが。

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2012-12-09-SUN

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