KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百四・・・バードウォッチング

グーッ

「うう、お腹が減りましたでございます」

グイッ

「お腹を押しますと、
 一瞬ではございますが、
 空腹の世界から離れられます」

パン屋さんが旅行に出かけてしまったために、
主食であるパンの耳をもらえず、
お腹を鳴らしている弟子の北小岩くんであった。

チッチッチッチ〜

「すずめさんでございます。
 虫さんを捕りましたね。
 すずめさんもしばらく安泰でございましょう」

シュッ ポト

ぐにゅぐにゅ

北小岩 「えっ?もしかすると」

チッチッチッ

すずめはニコッとしながら、飛び立っていった。

北小岩 「わたくしがたまに、
 なけなしのパンの耳を
 差し上げていたことを覚えていて、
 虫さんをくれたのでございますね。
 食べることはできませんが、
 そのお気持ちだけでとても・・・」

弟子の目から熱いものがこぼれた。

「お前、またいやらしいことを考えて、
 目頭を熱くしとったな」

頓珍漢なセリフで登場したのは、
ご存知、恥垢先生であった。

北小岩 「そうではございません。鳥さんが」
小林 「鳥か。
 そういえば、近頃
 バードウォッチングをしとらんな。
 バード業界にも、
 新しい風が吹いとるかもしれん。
 行ってみるか」

二人は羽ばたきながら、山に向かった。

小林 「やっとるな。
 そこの君、何の鳥を見ているのか、
 俺にも見せたまえ」

先生は青年の双眼鏡を無理やり奪い取った。

小林 「むっ!」
北小岩 「いかがいたしましたか」
小林 「若い女がミニスカートをまくり上げとる。
 その秘所の部分に、
 鳥の絵が描かれとるんや。
 何か長い棒のようなものをくわえとるな」

ビュン

青年 「危ない!」
小林 「えっ?」

グサッ

小林 「ううう!」
北小岩 「どうしたのでございますか!」
青年 「ここのバードウォッチングは
 非常に危険なんです。
 パンティバードを見た瞬間、
 こちらの急所に向かって
 毒矢が放たれるのです。
 ですから盾が必携なのです。
 この方は注意する間もなく
 見てしまわれて・・・」

その後先生の急所がどうなったかはわからない。
みなさまも、バードウォッチングする際は、
くれぐれもお気をつけあそばせ。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2012-07-01-SUN

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