KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の四百参・・・ダイエット

ぷにゅぷにゅ

「う〜む、お腹が出ているような気がいたします」

ぷにゅぷにゅぷ〜

「やはり気のせいではございませんね」

梅雨空のもと、青白いお腹をつまんでいるのは、
弟子の北小岩くんであった。

「なんや、お前腹なんか出して。
 またいやらしいことを考えとったんやろ。
 腹までは許せる。
 が、その下の見苦しいものを出したら
 一巻の終わりやで」

訳の分からないことをのたまいながら登場したのは、
ご存知、恥垢先生であった。
北小岩 「あっ、先生。
 わたくし、昔はガリガリで
 お腹の肉をつかむとあいたたた!
 だったのですが、
 近頃簡単に握れるように
 なってしまったのです」
小林 「そうか。実は俺もや。
 なぜそうなってしまったのか、
 原因究明した方がよさそうやな」
北小岩 「そうでございますね。
 やはり、食べ物でしょうか」
小林 「俺たちの主食と言えば、パンの耳やな」
北小岩 「懇意にしているパン屋のにいさんに、
 極上のエロ本をさしあげたご縁で、
 ただでいただいているのでございますね」
小林 「うむ。
 まあ、パンの耳だけなら
 そんなに太らんと思うが」
北小岩 「やはりあれがいけなかったですかね」
小林 「そやな」

二人はパン屋の他にも精肉店からも
援助を受けていたのであったが、
このところ世知辛くなり、
脂しかもらえなくなっていたのだ。

北小岩 「火を通したとはいえ、
 脂をパンの耳で巻いて
 食べ続けたのは失敗でしたね」
小林 「しゃあない。
 町はずれにダイエット道場が
 できたやろ。
 あそこにもぐりこんでみるか」

師弟は裏口から
こっそり道場に入っていったのだが。

小林 「むっ!」

太った男があんぱんを食べようとすると、
ボンテージファッションの
怖そうなおねえさんが、
すかさず金玉を蹴り上げていた。

北小岩 「玉金ダイエットとでも
 いうのでしょうか」

小林 「あれを続けられたら、
 何か食おうとすると
 股間が勝手に反応して激痛が走るやろな。
 パブロフの金玉や」
北小岩 「向こうの男性は、
 おちんちん型のモノを
 口から入れられました」
小林 「エロ本を無理やり見せられとるな」
北小岩 「わかりました。
 海綿体ダイエットでございましょう」
小林 「特殊な物質でできていて、
 胃の中で、エロ本で
 大きくされてしまうんやな。
 確かに満腹を感じ、
 食欲は失われるかもしれんな」

町に新しく生まれたダイエット道場。
体重や腹まわりを気にする男たちが
集っているようだが、効果があるような、
ないような。
ま、とにかくろくなものでないことだけは、
確かである。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2012-06-24-SUN

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