KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百参拾九・・・ドライブスルー

ぽかんぽかん

北小岩 「早いものでございます。
 もう4月でございますね」

ちかんちかん

北小岩 「エイプリルフールの日、
 『今日は干してあるパンティは
  取り放題ですよ』と
 馬鹿でもわかる嘘を申し上げたところ、
 先生は真に受けてしまいました。
 エッチな二宮金次郎さまのように、
 エロ本を読みながら
 大量のパンティを背負っているところを
 女性たちに見つかり、
 股間にキックを
 108発あびたのでございました。
 4月馬鹿を見事に体現しておりました」

ぷっぷ〜

北小岩 「屁のようなクラクションで
 登場したのは、
 わたくしの友人の中でも最も裕福な
 屁車次郎さんでございますね。
 ついに車を買ったのでございますか」
屁車 「叔父から2円50銭で、
 中古を譲り受けたんだ」

今どき2円50銭で車を買う男が、
最も裕福なのであろうか。

屁車 「隣町に万能型ドライブスルーが
 できたんだよ。行ってみよう」

ぷ〜ぷ〜ぷぷぷ〜

世にもなさけない排気音を残し、車は走り去った。

北小岩 「凄いネオンでございますね。
 まるでベガスでございます」

この男、もちろんベガスに行ったことはなく、
実際に見たことがあるのは
チンカスが関の山である。

「いらっしゃいませ」

ミニスカートの股間部分に
スルーという文字が書かれたスレンダーな女性が、
笑顔で迎えてくれる。

「何にいたしますか。
 フランス料理のフルコースなどいかがですか」

北小岩 「屁車さんは大金持ちなので、
 そういたしましょう。
 では、よっちゃんイカと
 こぶ茶をお願いいたします」

弟子にとってのフルコースは、それなのである。

屁車 「食べ終わったらもう一周して、
 クリーニングをしてもらおうか」
北小岩 「わたくし、ここ何日も
 服を着替えておりません。
 洗濯していただけるのは
 ありがたいですね」

再び車を進めると、両側のドアが開かれ、
桶と特殊なイスを持ったお姉さんが。

お姉さん 「大切なとこ、洗ってあげるね」
北小岩 「きっ、気持ちよすぎでございます!
 クリーニングとは、
 このことでございましたか!!」

その時、後部座席から聞きなれた卑しい声がした。

「お前、俺を差し置いて
 いい思いをしたな!!」

北小岩 「はっ、先生!
 なぜそこに。
 わたくしはただクリーニングを」
小林 「うるさい!
 屁車、すぐにもう一周回せ!
 俺だけが、
 この『金玉むせび泣き』という
 至福のメニューを味わうんや!」

ぐるっと回して車を止めると、後部のドアが開けられ。

小林 「待ってたで〜!」

ボスッ!

小林 「うぐ!」

ボスッボスッ!

小林 「うぐ! うぐ!」

先生の玉をめがけて飛んできたのは、
表面が剣山状の砲丸であった。

小林 「やばい!
 砕ける!!
 はよ車を出さんか!」
屁車 「ポンコツなので、エンストして
 エンジンがかからなくなって
 しまいました!」

ボスッボスッボスッボスッボスッボスッ
ボスッボスッボスッボスッボスッボスッ!

金玉むせび泣きとは、
好意を持っていない男と
車に乗るはめになった女性が、
いやらしいちょっかいを出された時に
反撃するためのメニューであった。
そのまま先生の玉は、
木っ端微塵になりました。
めでたしめでたし。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2011-04-03-SUN

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