KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百参拾八・・・階段

チンリーン チンリーン

北小岩 「郵便屋さんでございますね」

チンリーン チンリーン

北小岩 「むっ!
 目の錯覚でございましょうか。
 郵便屋さんは、
 上下とも何もつけておりません。
 おにいさ〜ん、ブラブラですよ〜!」
郵便屋
さん
「しまった!
 公園のトイレの個室で用を足した時だ。
 僕はズボンもパンツも脱ぎ、
 全裸になって事にあたる癖が
 あるのですが、
 急いでいたので
 そのまま配達に戻ってしまったのです。
 とってきますね。
 ありがとう!」
北小岩 「仕事熱心な方でございますね」

少し違う気もするが・・・。
ともかく戻った郵便屋さんは。

郵便屋
さん
「先ほどは失礼しました。
 小さめに見えたかもしれませんが、
 ベッドの上で見ると
 かなりの上物なんですよ。
 それはそうとして、
 北小岩さんに郵便です」
北小岩 「ありがとうございます。
 え〜と、
 小学校時代の友だちからですね。
 そういえば彼から手紙を頂戴したのは、
 4年前でございます。
 ついに!」
小林 「ついにどうした。
 さては俺に隠れて、
 いい思いをしようと
 企てとるんやないか」
北小岩 「あっ、先生。
 めっそうもございません。
 わたくしの竹馬の友が、
 4年間の旅から
 帰ってきたのでございます」
小林 「4年もどこをほっつき歩いてたんや」
北小岩 「最初の2年間は、
 階段をずっとのぼっておりました。
 その後の2年間は、
 階段をずっとおりておりました」
小林 「なんやそれは?」
北小岩 「わたくしも彼に話を聞くまで
 知らなかったのですが、
 世界の秘境には
 とてつもない階段文明があるそうです。
 そこには何千、何万という階段があり、
 のぼり終えるのに
 短くて1年、長いものでは
 数十年というものがあるらしいのです」

小林 「それほどの期間をかけるんやから、
 相当ええことが待ってるんやろな」
北小岩 「噂では数本当たりがあり、
 この世のものとは思えないほど
 気持ちのいい思いができるそうです」
小林 「なるほどな。
 そいつは片道2年の階段を
 選択したんやから、
 相当破廉恥な思いを
 しているのかもしれんな」
北小岩 「そうでございますね。
 今からそのくだりに入ります。
 え〜と、
 『僕はついに階段の頂上に到達した。
  そこにあるのは、
  セクシーな竜宮城ではないかと
  想像していた』」
小林 「ええなあ。
 核心に近づいとる。
 それでどした」
北小岩 「『しかし、置かれていたのは、
  何の変哲もない丸椅子であった』」
小林 「そこに座るとスペシャルなサービスでも」
北小岩 「『上には空き缶が置かれていた。
  缶を傾けてみると屁の匂いがした』」
小林 「2年かけたんや。
 人類の歴史に残るほどの
 ごっつい臭さやったんやろな」
北小岩 「『拍子抜けするような、
  何の変哲もない弱い屁であった』」
小林 「そんなものを嗅ぐために往復4年かい!」
北小岩 「『僕は4年の日々を、
  後悔していない』」
小林 「・・・」

世界にはまだまだ知られていない文明が
数多く存在している。
北小岩くんの友のようなものだけが、
秘境の文明について
語る資格を持っているのかもしれない。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2011-03-27-SUN

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