KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百参拾参・・・境界

ふわちらふわちら

「雪でございます」

ふわちらぱんちら

「幼き頃の雪の朝、
 雪ん子が姿を見せ雪合戦を
 挑まれたのでございました。
 彼女が投げた雪だんごには
 大きな石が入っており、我が金的を直撃。
 わたくしはその場で崩れ落ち、
 雪に埋まった事もありました。
 今では真っ白い思い出でございます」

ぱんちらぱんちら

「おや、こんなところに新聞が。
 穏やかそうな二国の国境付近で
 交戦でございますか。
 何とかならないものでございましょうか。
 うっぷくしょん」

天を仰いだ拍子に、
鼻の穴に雪が入ってしまったのは、
弟子の北小岩くんであった。

「どこの国とどこの国が性交したんや!」

聞くに堪えない台詞とともに登場したのは、
粗大汚物の小林先生であった。

北小岩 「そうではございません。
 心優しきイメージのある二国が
 交戦したと記事にあり、
 わたくし、残念な気持ちで
 いっぱいなのでございます」
小林 「そやな」
北小岩 「難しい問題なのでございましょうか」
小林 「俺もな、小学校の頃、
 境界問題でやりあったな」
北小岩 「先生は国を持っているのでございますか」
小林 「そこまで大げさなもんやない。
 俺が低学年だった時には、
 机が一人ひとり
 セパレートになっとらんで、
 二人で使う木の机やったんや」
北小岩 「ほほう」
小林 「やさしそうなおなごが隣でな。
 しかしや、俺の鉛筆やノート、
 ひじなどが真ん中を越えて侵入すると、
 般若の形相に変わるんや」
北小岩 「それほどまでに
 嫌われていたのでございますか」
小林 「そうやない。
 領地を侵害されると、
 かわいい子でも鬼になるというこっちゃ。
 それで机の真ん中に鉛筆で
 境界線を引かれた。
 だがな、俺は隙をみて一部を消して、
 デベソのように向こうに出っ張らして、
 そのでっぱりに消しゴムを置いたんや」
北小岩 「ほほう」

小林 「すると激怒して消しゴムを投げ、
 俺の金的に当てた。
 さらにコンパスを投げ、
 あろうことか金玉に
 突き刺さってしまったんや」
北小岩 「恐ろしいでございます!」
小林 「それは一例やな。
 境界問題は自分の体でも起きとるで。
 例えばちんぽと陰毛には、
 大昔から諍いがある。
 陰毛はちんぽの先まで侵攻して
 生やそうと企てるのだが、
 それを為しえていない。
 お前、先っぽの方に
 陰毛がごわっと生えとるヤツを
 見たことないやろ」
北小岩 「そういえばそうでございます」
小林 「ちんぽ軍はしたたかに戦って、
 陰毛に領土を拡大されるのを防いどる。
 様々なものと『チン保条約』を結んで
 対抗しとるんや。
 陰毛が攻めてくると、
 尿と組んでアンモニア攻撃を、
 毛を寄せ付けないために
 白濁液を放出することもある。
 毛のヤツらはベトベトが苦手なんや。
 そして、チンポの前方に
 毛が生えそうになると、
 手と条約を締結し、
 上下動による摩擦で毛を蹴散らす」
北小岩 「なるほど。
 陰毛がふもとから先に進軍できない理由が
 よくわかりました」


あらゆる場所で、境界を巡る戦いが
日々繰り広げられている。
私たちの体も同じこと。
それは、頭の片隅においておいた方が
よさそうな気がするし、そうでない気もいたします。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2011-02-20-SUN

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