KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の参百拾・・・香水

クンクンクン

「何か匂います」

クンクンクククン

「一言で表現するならば、
 エッチ一直線の香りとでも申しましょうか」

クンクンクククンクククのクン

「ウハウハを招きそうです」

「どうしたんや。
 犬並の嗅覚を身につけて、
 居ながらにしてパンティの匂いでも
 嗅ぎ取ろうとしとるんかい」

わけの分からない台詞で登場したのは金玉先生。
辺りを嗅ぎまわっているのは陰毛弟子であった。

北小岩 「先ほどから
 フェロモンのような香りが。
 あっ」

弟子の「あっ」の方向を凝視した先生は、
早くも般若の形相になっている。

小林 「あそこにいるヤツは、
 便器の黄ばみのような男。
 町で一番モテないはずや。
 なのに、なぜマシュマロのように
 可愛いおなごとデートしとるんや」
北小岩 「ははあ。
 疑問が氷解いたしました。
 先ほどからわたくしの鼻先で、
 思わずそそられる刺激的な香りが
 遊んでおりました。
 匂いもとが、
 どこかと調査していたのですが、
 間違いなくあの方です。
 彼は香りで女性をゲットしたのです」
小林 「この町で
 香水が流行っているという噂は
 耳にしとった。
 我々もできるだけ早く
 善後策を講じねばならんな。
 確か町に」
北小岩 「匂いに詳しい『匂いさん』が
 いらっしゃいます。
 おや、向こう上面に!」

さっそく首根っこをつかまえると。

北小岩 「あなたは『匂いさん』でございますか」
匂いさん 「そうですよ。
 何か匂いますか」
小林 「そういうわけやない。
 この町で」
匂いさん 「香水が大流行してますよ。
 モンローがシャネルの5番を着て
 寝ていたとの有名なお話がありますね。
 横丁の源さんもそれに対抗して」
北小岩 「あの方が裸体にシャネルでございますか」
匂いさん 「いえ。
 シャネルの5番ではなく、
 『味噌の5番』をつけているようですね」

北小岩 「びみょ〜でございます」
匂いさん 「長屋の熊五郎さんは、
 玉金に『焦がし醤油の3番』をつけて、
 こんがりを演出しています」
小林 「誰も喜ばんな」

匂いさん 「香水が
 人を引き寄せるためだけにあると思ったら
 大間違い。
 人を寄せつけたくない時にも使うのです。
 若旦那の時次郎さんは、
 『便の6番』を香らせています。
 悪い女にたぶらかされないように、
 予防線を張っているんですね」
小林&
北小岩
「・・・」

その他にも下の毛に付ける『ピスの8番』とか、
蟻の門渡りに塗る『屁の2番』とか、
およそモテることとは
正反対の話しか聞けなかった。

味噌、醤油、ピス等を少々の水で薄めて
直接塗って香りをだす。
それはどう考えても、
香水とはいえない代物であろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
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2010-09-12-SUN

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