KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百九拾参・・・仕分け

「園児が画用紙に描いたような
 お日さまでございます」

北小岩くんがひとりごちながら、
太陽にむかって何度もお辞儀をしている。

「こんな日は、お散歩に限ります」

前向きに10歩進むと体を180度回転させ、
次の10歩は後ろを向いたまま進む。
そして再び180度回転させ・・・
という意図がよくわからない歩き方で、
友の家に向かった。2時間半後。

「さすがに歩き酔いしてまいりました。
 ああ、くらりん・・・」

どぼんちょ。

深さ1メートルのドブにはまってしまった。

「何だ、北小岩くんじゃないか」

北小岩 「その声は、ビデオさん」

友に引っ張りあげられ、ドブ前の家に運ばれた。
ちなみにビデオさんは、
尋常ではない数の番組録画ビデオを持っているので、
敬意を込めてそう呼ばれている。

ビデオさん 「何か見たいものある?」
北小岩 「そうでございますね。
 まだ目が回っているので、
 ぱっちりと
 覚めさせていただけるものは
 ございますか」
ビデオさん 「これはどうかな」

ブラウン管テレビに目をやると。

「ほんとにそれが必要なんですか!」

今にも急所を食いちぎりそうな女性が、
スーツ姿の男たちを責め立てている。

北小岩 「このように異様な光景は、
 わたくし初めて拝見いたしました!
 いったい何が
 起こっているのでしょうか」
ビデオさん 「話題になったのはかなり前だけど、
 やっぱり君は知らないよね。
 事業仕分けといってね、
 様々な事業が必要かどうかを
 議論するんだ」
北小岩 「わたくし、小学一年生の頃に
 髪を横分けにしていたことが
 ございましたが、
 世の中は横分けの時代が過ぎ去り、
 仕分けの時代に突入していたので
 ございますね。
 ところで必要なしとなったら、
 どうされるのですか」
ビデオさん 「廃止、見直し、
 削減に向かうんじゃない。
 そうそう、
 仕分けしていた女性の選挙区は
 ここなので、
 もうすぐ町に帰ってくる。
 実演するそうだよ」
北小岩 「そうでございますか。
 あっ、あそこに見えますのは
 女史に違いございません。
 ついていってみましょう」

女性は細いブルドーザーのように
グイグイ進んでいく。

北小岩 「野球場でございますね。
 むっ、
 いきなり投手の玉を握りました!」
今にも急所を
食いちぎり
そうな女性
「あんたがたま数が多いことは、
 お見通しなのよ!」
たま数の多い
投手
「コッ、コントロールが悪くて」
今にも急所を
食いちぎり
そうな女性
「そうじゃないでしょ。
 あんたの金玉が3つあることは
 調べがついているのよ。
 ムダだから削減するわよ」

ブチョッ!

たま数の多い
投手
「ぐえ〜〜〜っ!」

投手は特異体質で睾丸が3つあった。
1つはムダと判断され、握りつぶされた。
その後女性は区の会議場に出張ると。

今にも急所を
食いちぎり
そうな女性
「お前がべんの立つ男だね。
 そんなものは必要ないのよ。
 退出なさい!」

こぶしを肛門にねじ込んだ。

べんの立つ男 「ぎゃわ〜っ!」
北小岩 「議会に弁の立つ男は
 必要なのではございませんか」
今にも急所を
食いちぎり
そうな女性
「ヤツは弁が立つのではなく、
 便が立つだけなのよ!
 今朝男便所で確かめたわ」

北小岩 「やりすぎではありませんか。
 失礼ですが、あなたさまは
 自分の何かを
 削減されたのでしょうか」

今にも急所を食いちぎりそうな女性は
目を吊り上げ、パンティを下げた。

北小岩 「お毛けがございません!」
今にも急所を
食いちぎり
そうな女性
「そうよ!
 天下りしていた
 毛じらみがいたから、
 剃ったのよ。
 これでも文句あるの!」
北小岩 「毛じらみの世界にも
 天下りがあるとは!
 文句など
 めっそうもございません!!」


道理が通っているかは別にして、
あまりの迫力に気圧されてしまった弟子であった。
男たちは、もはや横分けなどという
悠長なことは言っていられない。
仕分けされるかどうかの絶壁に、
立たされているというべきであろう。

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2010-05-16-SUN

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