KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百六拾参・・・植物園

「くしゅしゅしゅしゅん」

せんべい布団から2メートルほど離れた場所で、
すかしっ屁のようになさけないくしゃみをこいたのは、
弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「しまったでございます。
 就寝時に蒸し暑い気がいたしましたので、
 褌一丁で休んだところ、
 妙な夢を見てしまい冷え込みました」

つまりこうだ。

弟子は巨大なフンコロガシに転がされる夢を見た。
極端に影響を受けやすいために
実際に転がってしまい、
布団から飛び出して寝てしまった。
そこで朝の冷えに襲われ、
風邪っぽくなってしまったのである。

小林 「くしゃみ一つで現れたからといって、
 俺はハクション大魔王やないで。
 たいした望みはかなえられへんが、
 どしたんや」
北小岩 「あっ、先生。
 望みなどとはめっそうもございません。
 わたくし、
 ちょいと冷えてしまいましたので、
 少しばかり体をあたためたいと」
小林 「ならば請合った。
 隣の隣の隣町に、植物園ができたな。
 あそこの植物ドームなら
 ほどよいあたたかさに調整されとる。
 行ってみるか」

二人は蝶のように舞いながら
(はたから見るとバカ踊りにしか見えないが)、
植物ドームに向かった。

北小岩 「うわ〜、観た事も無い植物が
 てんこ盛り盛りでございますね」
小林 「そやな。
 この室温もちょうどええやろ」
北小岩 「はい。
 むっ、あれは何でございましょうか」

地面を這っている草に、
どうみても金玉にしか見えないものがついている。

植物館長 「あれはヒトノフグリですね」
北小岩 「ヒトノフグリ?
 イヌノフグリなら
 聞いたことがございますが、
 そのようなものが存在するとは」
小林 「北小岩、凝視せい!」

いつの間にかボンテージファッションの女性が現れ、
ヒトノフグリの実にデコピンの要領で
攻撃をしかけている。
指が的確にとらえるたびに、
ヒトノフグリは痛そうに飛び跳ねている。

北小岩 「なるほど。
 似ているのは形状だけではないのですね」


先生と弟子は眉間に皺を寄せて、
自分のフグリを握っていた。

小林 「ボンテージの女が動くで」

後をつけてみると、そこは熱帯の部屋だった。

北小岩 「ひとつひとつの花が
 信じられないほど大きいですね」

女は巨大化した20センチのおしべを数回しごくと、
計6本を根本から折ってしまった。

小林 「うお〜」

二人は雄叫びをあげた。
どうみてもちんちんにしか見えないおしべなので、
致し方なかろう。
おしべがなくなると、
それはどうみても女性の・・・。

小林 「なんという卑猥な花弁や!」
植物館長 「忘れられな草ですね。
 一度見ると、
 殿方は忘れられなくなってしまいます」
北小岩 「先生、わたくしいきなり大便意が!
 もう猶予なりません」
植物館長 「むこうにトイレットペー草があるので、
 用を足したら使いなさい」


トイレットペー草とは、
普段は巻紙のようになっているのだが、
ひっぱると紙のようになり、
ケツを快適にふくことができるのである。
献身的な草のおかげで、北小岩くんは事なきを得た。
それにしても、植物の世界には
まだまだ未知の種が数多くあるのですね。

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2009-10-18-SUN

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