KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百参・・・局地


小林 「なかなか着かんな」
北小岩 「そうでございますね」

体力が人より格段に劣る先生と弟子は、
当然の如く、重度の夏バテになってしまった。
近所のかき氷屋さんで涼をとろうと家を出たものの、
途中から歩くこともままならず、
焼けた地べたをなめくじのように這っている。

小林 「黒雲が顔を出しよった。
 急がんとグショ濡れになるで」
北小岩 「それにしても、
 今まで見たことないほどの
 黒さでございますね」
小林 「そうやな。
 むっ、むむむむむ」
北小岩 「うわあっ! 雲が!!」

びゅううううううう

信じられないことに突然雲が千切れ、
凄まじい勢いで襲撃してきたのだ。

北小岩 「すみません!」

気弱な弟子は、
眼前に迫った黒い物体に思わずあやまってしまった。
だが、それは北小岩くんを無視し、
15メートルほど先の女性の下腹部付近で止まった。

北小岩 「あんなところで雨が降り出しました。
 それも豪雨です」

しかし、女性は手馴れた様子で
小型の傘を取り出す&すばやく差したので、
秘所は濡れずにすんだ。

小林 「どういうこっちゃ。
 この怪奇現象は。
 誰か説明できるヤツはおらんか」

「ここにおります」

下半身にワイパーをつけた怪しげな男が、
すかさずこたえた。

「私は下半身気象予報士の
 『賃満晴留(ちんまんはれる)』と申します。
 実は温暖化で、局地的な豪雨だったものが、
 さらに局部的なものになっているのですな」

小林 「なるほどな。
 今まではその地域に
 大雨を降らせていたが、
 範囲が極端に狭まり、
 局部を狙って
 どしゃぶりになるというわけやな」

賃満晴留 「そうなんですよ。
 局部が集中豪雨に見舞われると、
 甚大な被害を被ります。
 特に女性の場合は、お小水を漏らしたと
 間違われたらことですからね」
小林 「それはかなりの屈辱やな」
賃満晴留 「ですから、
 私が有料で予報サービスしておるのです。
 契約した人たちには、
 局部大雨情報が配信されます」
北小岩 「個人の急所をターゲットにした
 よりパーソナルな豪雨・・・。
 侮れませんね」
賃満晴留 「ええ。
 ですから、男も契約していないと、
 かなり危険ですよ。
 何せその部分は、草むらに大木が
 一本立っているようなものでしょ。
 事と次第によっては、
 イチモツが流されてしまう事だって
 あり得ますからな。
 いかがです?
 あなたがたも契約しませんか」
小林 「確かに俺のような巨木の持ち主は、
 常にリスクと隣り合わせや。
 詳しく聞かせてもらおうやないか」


局地的な豪雨は深刻な被害をもたらし、
時にかけがえのないものまで奪ってしまう。
さらに恐るべきことに、豪雨は次のフェーズ、
つまり『局部的豪雨』段階に移行している。
各自、イチモツなどを失うことだけは、
何としても避けねばならないだろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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postman@1101.comに送ってください。

2008-08-24-SUN

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