KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百七拾九・・・ネーミングライツ


小林 「ほう。見事なもんやな」

柄にもなく公園で、
白梅、紅梅を愛でる阿呆先生と頓馬弟子。

北小岩 「おや?
 あそこにいらっしゃるのは
 さわやか笑顔の麗木(うららぎ)さんでは
 ないでしょうか」
小林 「ほんまや。おい!麗木!!」
麗木 「あっ、先生ではありませんか」
小林 「お前、ケツの穴はよく洗っているか」
麗木 「何ですか、唐突に。
 それもこんな優雅な梅見会で。
 大体、ケツの穴ではありませんよ。
 僕のその部分は今年から三年間、
 ネーミングライツで
 『調布さわやかホール』と
 呼ばれることになったんです」
北小岩 「どういうことですか」
麗木 「地元のホールが、
 僕のホールに目をつけたんです。
 僕は笑顔だけでなく、
 穴までさわやかなんです。
 だからホール側も
 ぜひその名で呼びたいということで、
 契約を結びました」
小林 「権利料をもらっとるんかい」
麗木 「もちろんですよ。
 だから、先生も僕の穴のことを
 語る時には、
 調布さわやかホールと呼んでください」
北小岩 「旧渋谷公会堂は
 渋谷C.C.レモンホール、
 大阪ドームは
 京セラドームと呼ばれるなど、
 様々なところで
 ネーミングライツが導入されております。
 その波が秘すべき所にまで
 押し寄せていたのですね」
小林 「お前にとっちゃ、ええことばかりやな」
麗木 「僕の場合はそうなのですが、
 友だちの事例を考えると
 そうとは言い切れませんね」
北小岩 「暗黒な命名権もあるのですか」
麗木 「実はそうなんですよ。
 僕の知人で美山という男がいるのですが、
 そいつはかなりのイケメンで
 モテるんです。
 でも、家業が傾いて金に困っていまして」
北小岩 「それで命名権を
 どこかに売ってしまったのですか」
麗木 「ええ。
 美山がモテるのを
 心よく思っていない団体がありまして、
 彼は自分のポールを
 『恥垢プ〜ン』という名で
 呼ばなければならない契約を
 結んでしまったのです」
小林 「そいつの彼女もイチモツを
 『あっ、恥垢プ〜ンが
  こんなに大きくなってる』
 と言わなきゃならんわけやな。
 匂ってきそうで
 その後の行為に差しつかえるな」
麗木 「それだけではありません。
 彼の家の門はかなり格式があり、
 その地区の待ち合わせ場所などにも
 使われています」
北小岩 「その門の名前も」
麗木 「『ブリブリ肛門』とつけられまして、
 町の人は
 『じゃあ、ブリブリ肛門に
  2時に集合!』
 などと言うようになったのです」
北小岩 「屈辱的な名前でございますね」
小林 「あまりといえば、あんまりやな」

ここ数年、命名権ビジネスは
かなりの速度で広がりを見せている。
だがそのかげで、
人々を貶めるような負のビジネスも
進行しているのである。
今後、何らかの歯止めが
必要になるかもしれない気もするが、
どうでもいいような気もする。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2008-03-09-SUN

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