小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百拾伍・・・半端


「先生、あそこをご覧ください」
「おっ、中折はんやないか。どないしたんや」
夕暮れの散歩と洒落てみた小林先生と北小岩くん。
とぼとぼ歩いてきたのは、
げっそり痩せこけ傘の骨のようになった
中折不二野男(なかおれふにゃお)氏だった。
小林 「中折はん。
 体の調子でも悪いんでっか。
 それとも悩み事でも」
中折 「あっ、先生に北小岩さん。
 ちょうどよかった。
 話を聞いていただけますか」
近くの喫茶店に腰を落ち着けると、
ポツリポツリと語りだした。
中折 「どうやら私は半端な暗黒迷宮に
 入り込んでしまったようなのです」
北小岩 「と申しますと?」
中折 「中途半端な出来事に
 立て続けに襲われたのです。
 一週間ほど前でしょうか。
 公園の草陰からブラジャーの肩紐が
 のぞいていました。
 お楽しみの後に急いで服を着て、
 つけ忘れたのでしょう。
 お持ち帰りしようと思って
 紐を引くとカップがない。
 紐だけだったのです。
 紐だけのブラジャーなどゴミ同然です」
北小岩 「それは確かに中途半端です」
中折 「先日H番組を観ていたら
 Hなコマーシャルが流れました。
 しかし、CMが
 『使ってみました! 感動しました!!
  超話題のおま』で切れてしまったのです。
 その先が気になって気になって。
 こんなこともありました。
 20年ぶりに
 ラブレターをもらったのですが、
 その文面が
 『私、中折さんのことを考えると、
  思わず私の花園の中が』から
 先が破れていて読めなかったのです」
小林 「欲求不満になりそうやな」
中折 「それだけではありません。
 エロビデオを借りても半端でした。
 ちょうどいい場面で、
 そこからストーリーが
 逆回しするように戻っていったのです。
 どんどん話がリターンし、
 スレンダーな女の子は
 服を着てしまいました。
 そういえば、知らない女から
 電話がかかってきて、
 テレホンセックスを望まれた時も‥‥。
 私も嫌いな方ではないので承諾。
 さすがに誘ってきただけあって、
 女のリードはたくみでした。
 もう少しでフィニッシュという時に
 相手にキャッチホンが入ったのです。
 彼からだったらしく、
 女は
 『これから私は本物のおちんちんと
  お楽しみなの。
  悪いけど後は一人でてきとーにやって』
 と切られてしまいました。
 私はイチモツを握り締め、
 呆然とするしかありませんでした」
北小岩 「それでは蛇の生殺しです!」
中折 「そうなんですよ。
 でも、ビデオもテレホンも
 実際にコトに
 及んでいるわけではないので、
 何とか気持ちの整理を
 つけることができました。
 しかし、リアルな場面では‥‥」
北小岩 「それ以上に
 過酷なことがあったのですか!」
中折 「飲み屋で行きずりの女性と
 ねんごろになりまして、ホテルへ直行。
 彼女の下着に指をかけ、
 ゆっくりと下ろしました。
 むむむっ! 私は目を疑いました。
 茂みが不思議な形に
 刈り込まれていたのです。
 目で追っていくと、
 それは大事なところを目前にして
 Uターンのマークとなっていました。
 マークの矢印の部分で
 私の動きが止まっていると、
 女は言い放ちました。
 『はい、ここまでね』」
北小岩 「OH,YOUR GOD!」
『名は体を表す』ということわざがある。
中折不二野男氏の場合は、
名は体を表すどころか、
名が体の大切な部分の不運を表してしまっている。
早急に改名をお勧めする次第です。

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2004-06-28-MON
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