小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百伍・・・ペースメーカー


「よう、元気か」
「あっ、先輩。
 よくいらっしゃいました。
 どうぞおあがりください!」
中学陸上部時代の先輩である
毘酢頓遅男(ぴすとんおそお)氏が、
小林先生の家を6年ぶりに訪問した。

小林 「例の件ですが、
 よろしかったら僕にも
 紹介していただけませんか?」
毘酢頓 「いいよ」
北小岩 「どなたを紹介していただくのですか?」

先生が相好をくずしたのを見て、
ほうじ茶と都こんぶをお盆に載せて
入ってきた弟子の北小岩くんが訊ねた。
小林 「ペースメーカーやな」
北小岩 「毘酢頓さんは実業団で活躍され、
 今も市民マラソンのスーパースターと
 うかがっております。
 ですのでレースの際に
 ペースメーカーは必要でしょう。
 ということは、
 先生もマラソン大会に出場されるのですか?」
小林 「早とちりしてもらっちゃ困るで。
 俺がお願いしたのは、
 マラソンのペースメーカーやなくて、
 SEXのペースメーカーや」
北小岩 「なんと!」
毘酢頓 「そうなんだよ。
 マラソンの場合は
 みんなが勝負にこだわるあまり
 相手を警戒して、
 ペースが上がらないから
 ペースメーカーを導入するけれど、
 SEXではみんな早くイッてしまい
 相手から罵られることを警戒して、
 序盤にピストン運動のペースを
 上げきれないんだ」
小林 「だからSEXも適正な速度で
 引っ張ってくれる選手が必要なんやな。
 そもそもSEXというのは
 誰かに学ぶことがないから、
 どのくらいのペース配分で
 ピストン運動するのが
 ええんか基準がようわからん。
 AVビデオにあわせようとしても
 男優らは凡人の域を
 はるかに超えたイチモツ者なんで、
 あまり参考にはならん」
北小岩 「なるほど。
 確かにそうですね。
 ところで毘酢頓さんの
 お知り合いのペースメーカーは、
 どのような方なのですか?」
毘酢頓 「日本色情競技連盟が紹介してくれた
 ロシア人なんだよ」
北小岩 「日本陸上競技連盟というのは
 聞いたことがありますが、
 そのような団体があったとは存じませんでした。
 その方はどのようにサポートするのですか?」
毘酢頓 「コトに及ぼうとするだろ。
 するとその選手は全裸になり
 背中にゼッケン69を貼る。
 それから俺たちの横1メートル
 やや前方で四つんばいになり、
 ゆっくりゆっくり腰を動かし始めるんだな。
 その動きにあわせて俺もピストン運動を開始する」
小林 「ペースメーカーと同じ速度で
 行きつ戻りつすればええから、
 ひと突きひと突きに集中できるんや」
毘酢頓 「思ったよりもハイペースで
 先導されたりするんだけど、
 自分ひとりで完走するより
 確実にハイレベルのプレイを展開できるね。
 給水が必要な時には途中で彼が
 スポーツドリンクを手渡してくれる」
北小岩 「至れり尽くせりですね」
毘酢頓 「最終的にゴールするのは俺一人なんだけど、
 回を重ねるごとに持続時間が伸びている。
 以前だったらペースオーバーで
 短時間でレースを終えてしまったり、
 ゆっくり走りすぎて
 リタイアしてしまうことも多かったけどね。
 終わったあとにはお互いの健闘を称えあい、
 睾丸をグーにしてハイタッチするんだ。
 もっともグーにしなくても、
 睾丸はグーのような形だけど。
 彼はロシア人なのに
 英語で『グッド・ジョブ!』といってくれるよ。
 妻もいい腰の走りをしていたと褒めてくれるし、
 第三者が介在することで
 マンネリを打破できると喜んでいる」
小林 「だから俺もペースメーカーを入れて、
 キレイどころと
 快楽のピストンマラソンを楽しもうと、
 まあそういうこっちゃな」


プレイが未熟でおそまつな小林先生は、
ペースメーカーを用いて
女性からの評価を高めようとしている。
だが実力のない先生がそんなものを導入したところで、
こらえきれずにペースを上げすぎ
ペースメーカーを追い抜いてしまうか、
ついていけずに失格となるかのどちらかであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2003-12-25-THU
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