小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の九拾八・・・不正

北小岩 「町はずれの大学に行かれるそうですが、
 どのようなご用事ですか?」
小林 「最近あそこの学長と仲よくなってな。
 困ったことがあるので
 力を貸してくれと頼まれたんや。
 暇だったら、お前も来てみるか」
先月のことである。
学長はマルクス関連の著作を探していて、
誤ってエロ本屋に入ってしまった。
そこに居合わせたのが常連の小林先生だった。
氏が店員にマルクスと話しかけたのを聞き、
女体資本論というエロ本を棚から取り出し差し出した。
きつねにつままれたような顔をしていた学長だが、
先生の
「これは本家の資本論と比肩するほどの名著ですよ」との
説得を受け、中身をのぞいてみると
これが正真正銘の逸品だった。
それから二人は懇意になり、
相談を持ちかけられるに至る。
小林 「大学でカンニングが横行して
 頭を痛めとるんや。
 昔やったら前や隣のヤツの
 答案をのぞきこんだり、
 消しゴムや机に書いたりしたもんやが、
 今はカンニングも進化して
 しまったらしいんやな」
北小岩 「そういえば某国立大学で
 携帯電話のメールを使ったカンニングが発覚し、
 記事になっておりましたね。
 アメリカ・メリーランド州の大学でも、
 携帯でテキストファイルを受け取るという方法で
 不正をする事件がありました」
小林 「そうなんや。
 だから今までのことは不問にするという条件で、
 俺が学生たちから実態を聴取し、
 今後にいかそうとまあそういうこっちゃな」
先生は裏ビデオを餌に、
スケベそうな学生たちから
カンニングをしている学生についての裏情報を集めた。
どうやらカップルで協力して不正を働いているらしい。
今日その当事者たちと接触するのだ。
校内にあるカフェ「裏筋」で待つこと数分、
扉が開くとミニスカートからすらりと白い足を伸ばし、
胸元からおっぱいがこぼれそうな女が登場した。
後ろから彼氏らしき男も入ってきた。
小林 「君たちが噂のカップルやな。
 こちらにお掛けなさい」
カップルが座る時に、
彼女のスカートから
ピンクのフリル付きスキャンティーがのぞいたのを
先生は見逃さなかった。
小林 「俺はな、ある高尚な趣味を通じて
 学長とまぶダチになったんや。
 今回の件は問わんという約束や。
 だから、どないな方法でカンニングをしたんか
 正直に言うとくれや。
 携帯を使ったんかいな?」
彼氏 「コードレスという点では同じなのですが、
 若干異なりますね」
北小岩 「と申しますと?」
彼女 「私たちは、コードレスのバイブレーターと
 電動オナホールを使ったんです」
北小岩 「なんと!」
彼氏 「彼女のあそこに
 小型のバイブレーターをインし、
 リモコンで作動させました。
 また僕のイチモツには
 オナホールを装着し操作してもらいました」
彼女 「答えが1の場合は1回ローリング。
 5の場合は5回ローリング。
 桁をかえるときには上下ピストンを入れて
 反転ローリングさせてくれたのよね」
「答えが1億6969万1919の時なんか、
 お互い複雑な動きをさせ続けたせいで、
 二人同時に昇天してしまったのです」
彼女 「わたしたち、答案もいっしょ。
 イクときもいっしょなんですよ」
先生の目が怒りに燃えた。
学生時代は落第ぎりぎりで、
その上まったく女にモテたことなどなかった先生。
それなのにこの学生カップルは、
快感をむさぼりながら試験で高得点を得るという、
一石二鳥の性春を謳歌しているのだ。

小林 「きっ、きさまら学長に言いつけて退学に!」
北小岩 「先生、それではこの方たちを
 欺くことになります!!」
北小岩くんの一言で我にかえった先生は、
つとめて穏やかな口調でカップルに言った。
先生 「今日はどうもありがとう。
 よく正直にこたえてくれた。
 もう、帰っていいで。
 これはほんの謝礼や」
風呂敷から金色のスケベ椅子を取り出し彼氏に手渡した。
学生がカフェを後にすると、
北小岩くんに大人のおもちゃ屋に電話を入れさせ、
すぐに小型のコードレスバイブレーターを
持ってくるようにと伝えた。
先生はそこのゴールド会員なのでかなりの無理が利く。
十分後、大人のおもちゃ屋のおやじが
ボロ自転車で駆けつけてきた。
代金をツケにし、リモコンバイブを手にした先生は、
キャンパスでカンニングしてくれる女学生を探した。
小林 「あのう、よろしかったら僕といっしょに
 カンニングしませんか?」
女学生 「えっ、どういうことですか?」
小林 「カンニングの最新トレンドを
 ご教示いたします。
 このバイブをあなたのおまたに
 挿しこんでですねえ、
 僕が答えに応じて
 リモコンで操作するわけですよ。
 するとですねえ・・・」
女学生 「何いってんのよ、この変態野郎!」

女学生がバイブレーターを取り上げ、目つぶしをかました。
すんでのところでかわした先生だったが、
そのまま後ろに転倒し石で頭を強打した。
彼女は失神寸前の先生の口に、
バイブレーターを押し込みスイッチを入れた。
女学生は何度かピストン機能と
くねくね機能に切り替えたが、
飽きてしまったのか池に放り投げて去っていった。

失われた性春を取り戻そうとした先生の
やましい目論見は見事にはずれた。
ただバイブレーターだけが、
だらしなく開かれた口の中で
くねくね動き続けるのみであった。


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2003-09-23-THU

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