小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の九拾参・・・遊園地

北小岩 「これは何に使うのでしょうか?」

リニューアルオープンした遊園地から
小林先生のもとへ招待券が届いた。
梅雨の合間をぬって
弟子の北小岩くんと出向いてみたのだが、
入場口でミニスカートからパンツをちらつかせた女性に
チケットを渡すと、
なぜか各自に1ロールずつ
トイレットペーパーが配られたのだ。

小林 「イロエロ気持ちのええことが待っていて、
 終わった後に
 自分でふきふきするのかもしれんな」
浅はかな二人の股間は早くも角度をつけている。
年甲斐もなくアトラクションまでダッシュ。
ゲートの脇に小さな小屋があり、
中に看護婦姿の若い女がいた。
女にパンツを下ろされたので
特殊なサービスを期待していたら、
巨大な浣腸を打ち込まれた。
ここはディズニーランドのような夢の世界ではなく、
トイレや排泄などを超体験する
悪夢のテーマパーク『トイレットランド』だったのだ。

浣腸された師弟は透明の和式便器型観覧車に乗せられた。
頂点に来ると観覧車は停止、
便意を誘発する音波が流れてきた。
シートベルトがいやな具合にお腹を締め付ける。
猛烈な便意に急襲されたが逃げ場はない。
粗相するまで上空で捨て置かれたままなのだ。
小林 「すまん、北小岩。
 俺はもうあかん。
 弟子の前で糞を漏らすなど
 師匠として論外やが堪忍や!」
北小岩 「何をおっしゃられますか。
 しらばっくれておりましたが、
 わたくしはすでに漏らしております!」
二人の糞の匂いをセンサーが感知し、観覧車が動き出した。
多くの見物人が見守る中、
まぬけな格好で尻をふき地上に降りた。
小林 「いい年こいて人前で脱糞してしまったが、
 なぜか爽快感に包まれとる。
 不思議なこちゃ。
 だが、この先へ進むのは
 ちょいと恐ろしいわな。
 んっ? あれは何や?」
使用済みのトイレットペーパーを片付けていた
白衣の男性係員に問うてみた。
係員 「『失禁コースター』ですね。
 カップルが水を
 2リットル以上飲まされた後、
 利尿剤が投与されます。
 おしっこを限界まで我慢させられた状態で
 ジェットコースターに乗り込みます。
 たいてい女性が頬を上気させながら
 先に失禁しますね。
 それが艶っぽくて何ともいえません。
 そのアトラクションが終わると、
 女は『ビデシューター』という
 別のマシンに移動します。
 失禁した女性の秘所にむかって、
 彼氏が陸地から強力水鉄砲ビデで放水し
 汚れを落とすのです」
女性 「早く私のカラダをキレイにして!」
恋人の前でおもらしし取り乱した女が懇願する声が轟いた。
ビデを発射する彼氏には、
2メートルの便所虫が便所汁をかけて妨害してくる。
男は巨大な便所虫と格闘しながら、
愛する人の秘所のために命がけで放水し続けるのだ。
係員 「こみ上げてくるものに二人で耐え、
 カラダを震わせながら失禁することで
 運命共同体的な深い絆ができ、
 そのまま結婚に至るカップルもままあります。
 それに、例えば深刻な悩みを持った人が
 乗車した場合でも、
 みんなで失禁したり漏糞したりすると
 瞬時に憂さが吹き飛んでしまうのです」
この他にもトイレット遊園地には、
肛門にほどよい刺激が加えられ
思わずプップッと屁をこきながら回転してしまう
『放屁木馬(別名屁リーゴーラウンド)』や、
家族がチームとなり冒険しながら
ウンコを垂らして家族愛を深める
『アド便チャーファミリー』、
さまざまな野生動物が船に向かって
本気で糞を投げてくる
『ジャングソ・クルーズ』など
多彩なアトラクションが目白押しだ。
小林 「とはいえ、俺たちには
 あまり意味のないものばかりやな。
 今日のところは引き上げようか」
小林先生が入口から出ようとすると、係員が制止した。
強盗がナイフを突きつけるように
顔に使いたてほやほやの便所たわしを押しつけられ
身動きできない。
係員 「だめですよ。
 ここを通らなければ外には出られません」
小林
北小岩
「あっ!!!!!!!!」
それを見た先生と北小岩くんの背筋が凍りついた。
まさにアトラクションの最終兵器。
巨大な肥溜めの表面を
水ぐもで渡ってゆかねばならないのだ。
挑戦者をフォローするものは何もなく、
己の実力のみで対岸まで辿り着かねばならない。
もちろん失敗すれば
怪しく気泡を浮かべる肥溜めにドボンチョだ。

小林 「しゃあない。北小岩、覚悟はええか」
北小岩 「・・・はい」
二人は水ぐもで偉大なる一歩を踏み出した。
だが、忍者でもないのにそんな芸当ができるはずもなく、
三歩目でむなしく汚辱の沼へと沈んで行った。
汚物が顔を襲撃する寸前、
係員がバキュームカーのホースで吸い取る。
糞嵩が減り、顔没による窒息を免れた。
係員 「武士の情けです。
 さあ、こちらに来てください」
二人とも泣きべそをかきながら係員に誘導された。
そこには洋式便器型の巨大なプールがあった。
はしごを上り放心状態で二人は飛び込んだ。
その時、10メートルある大魔神ロボットが
コックを下ろし、物凄い勢いで水が噴出した。
先生と北小岩くんは錐もみ状態で流されていった。
下水は園外につながっており、
そこから投げ出された。
あまりの水流に、二人のカラダはキレイに洗われていた。

小林 「ふう、無事生きて出られたようやな。
 今日1日で100年分の体験をしたな。
 屈辱まみれではあったが、
 今となってみれば
 人間として一皮むけたような気がする」
北小岩 「まったくです」
清里の牧場で深呼吸でもしているような
清々しい表情の先生と弟子だったが、
匂いまでが容易に消えるわけではない。
さも達観したようなことをのたまっているものの、
冷静になって考えてみれば
そんな発言にはなんの説得力もない。
そもそも『トイレットランド』のアトラクションなどという
くだらないものでは、
人間の成長など望むべくもないのである。


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2003-07-14-MON

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