COOK
ダイニング部に
集合してくださーい!

なんだか、センチメンタル。
『秋』ってどうしてこんなにせつないんだろう。
お月様に、「もののあわれ」を思い
感傷的になったりしちゃってるわけですよ。
もう鳴き納めってかんじで、今にも消えてしまいそうに
「チリチリ」鳴いてる鼠穴のスズムシの鳴き声なんかも
心臓をキュッと誰かにつかまれるように
くぅ〜、せつない。
『秋』だから。しょうがないよ。
これ、日記じゃないんだった。
ダイニング部長
ダイニング部・部長

第4回ダイニング部
今日の献立。

・栗ごはん
・鶏肉の竜田揚げ
・湯葉としめじの
 お味噌汁
・かぼちゃの煮物
・ほうれん草の
 しらす和え 



そう、秋だから第3回ダイニング部は『栗ごはん』。
ぽくぽくして、こりこりして、
口の中でほくりと崩れて甘い味のする栗、
それを、お米と一緒に昆布だしで炊きあげる。
昆布だし用の昆布は、色が濃くって、肉厚で幅が広く、
よく乾燥してる物が良品なんです。
細かいシワや色ムラのあるのはダメ。
それから、昆布の表面についてる白く粉っぽいのは、
カビじゃないですよ。
小学校の家庭科で習ったよう気もするけど、
あの白い粉、洗っちゃってる人いるんじゃないかしら。
あれは大切な「うまみ」です。
乾いた布巾で軽く拭くだけにしてください。

栗ごはんが炊きあがったときの、
甘い木の香りが最高なんですよ。
『栗ごはん』っていっぱい食べれるものじゃないけど、
なんだかあとをひくって感じですよね。
なんでなんだろう?
ところで、『栗』ほど過剰防衛してる食べ物って
見たこと無いですよね。イガと鬼皮と渋皮、
なんだってあんなに頑ななんでしょう。
そうそう、だから『栗ごはん』のときに大変なのは、
なんたって栗の皮むきです。
茹でた栗や甘栗みたいに火を通した栗でさえ
歯もしくは爪を立ててめり込ませて、
皮をペリッとやるじゃないですか、
それが、生のままの皮をむくんだから、そりゃ、堅いさ。
しかも指先が真っ黒になっちゃうんですよね。

ちょっとだけ、楽になる方法があるとすればね、
栗をお湯(60度)に20〜30分つけておくこと。
鬼皮が少し柔らかくなって多少むきやすくなります。
指にささくれができて、いっそのことむいてしまいたいけど
皮が堅くて、ペリッとやるのは痛すぎて勇気がでない。
でもお風呂に入ると、
皮がふやけてピロ〜ンとむけやすくなる、
あんな感じ。
渋皮は栗にぴったりはりついてるから、
どうしても面倒くさい。
でも、これが残っていると渋みがでちゃうので、
厚めにむいて完全にとらなきゃ。

『栗』って野菜だっけ、くだものだっけ?
広辞苑には、『果実』って書いてあるけど、
キュウリもリンゴも『果実』なんだよねぇ。
えーどっちなんだ?

『湯葉としめじのお味噌汁』。
秋の味覚としては、きのこもはずせませんよ。
しめじの、シャキシャキと、
湯葉のキシュキシュという歯ざわり、
いいですね。

この、シャキシャキ、
キシュキシュ感を損なわないためには、
だし汁でお味噌を溶いたあとに、
しめじと湯葉を入れること。
それから、煮立つ直前に火を止めることです。
こういう瞬間的なことに気を使ってないと、
前回のカレーのように
一瞬で味がだいなしになっちゃうからね。
と、自分に言い聞かせてます。
みそは甘い香りの西京みそ。
あっさりお味噌汁です。

『かぼちゃの煮物』
西田部長からの北海道みやげで、
すごくおいしそうなかぼちゃを頂きました。
ずっしり重くて、爪が立たないくらいのかたさです。
これは、おいしいかぼちゃの基本ですよね。

ほっくりとおいしく煮上げるためには、
かぼちゃは重ねずに並べて煮るのが、重要。
かぼちゃは、ひたひたの煮汁で煮ていくので、
重なっていると上のかぼちゃはおいしく煮えても、
下のかぼちゃはビチョビチョで煮えすぎ、
って状態になってしまうんです。
つい最近、この失敗してしまったんです。
ビチョビチョで形まで崩れて、
味も見栄えもマズかったなぁ。

今度のライブは、
予行演習を含めて4回目のお料理になります。
大人数のごはんを作るというのがどんなものか
ちょっとだけ分かりかけてきたみたいです。
とはいっても、
ドタバタしてしまうのはきっと変わらないけど。
ただ、今まで、たくさん作るということに
必死になっていて、
丁寧に作るということ、怠っていました。
今後、「まあ、いっか」とか「もう、いいや」は禁止!!

1998-09-24-THU

相変わらず、おセンチというか、アンニュイな気分です。
秋ですから。
なんでか、突然左頬のちょうど真ん中にニキビが。
「想い、想われ、ふり、ふられ」ゲッ、ふられニキビ!?
いや〜、どうしよう。
あっ、でもハタチ過ぎると『ニキビ』じゃなくて、
『吹き出物』って言うんだった。
吹き出物の場合は大丈夫なのかなぁ?
って、ここまでくると、そうとう頭おかしい。
これって、秋のせいじゃないかも。

今回は10人分のごはん作りました。
ちょっと慣れてきたよ、大人数のごはんつくることに。
わりと、落ち着いてスムーズに進行しました。

『栗ごはん』

くりをむく
根気のいる作業

10人分の栗の渋皮をむくのは、
やっぱり根気のいる作業でした。
むき終わった時は、ほんと脱力しちゃいましたよ。
でもね、おいしかった!!!
まずは、おいしい栗を選ぶことが1番ですね。
ふっくら丸みがあって、
大きさのわりにずっしり重いものが良質。
それから割れたりしてるのは、
虫食いの可能性があるから、
よく、チェックしましょ。
ひとつでも虫食いがあるとほかの栗にも移るので
(虫が移動してる絵を想像すると
ムチャクチャ恐いでしょ?)、
見つけたら、すぐ取り除いてください。

お米をとぐ 餅米とお米をとぐ

1、栗はお湯(約60度)に、20〜30分ほどつける。
  (鬼皮が柔らかくなってむきやすくなるから)
2、お米と餅米を合わせて(2対1の割合)洗い
  すぐザルにあげて30分程おく。
3、栗の鬼皮をむく。
  底を切り落とし、切り落とした底の方から
  包丁を入れ親指で鬼皮を押さえて
  下にひっぱるように縦にむく。
4、栗の渋皮をむく。
  実にぴったり張り付いているので
  包丁で、実も薄く削ぐようなつもりで
  少し厚めにむく。
5、栗を2〜3つに切ってボールに入れ、
  10分程冷水にさらしてアクを抜く。
6、鍋に熱湯を沸かして栗を入れ、再び沸いてから
  中火で2〜3分ゆでる。冷水にとって手早く冷ます。
7、炊飯器にお米と餅米を入れ、
  昆布だし、酒、塩、しょう油を加え、ひと混ぜする。
8、栗をお米の上に均一に並べ入れ、普通に炊く。
  10分程蒸らし、さっくり混ぜて器に盛り
  ごま塩をふる。

今回の昆布だしで使った昆布は「羅臼(らうす)昆布」。
昆布にも色々種類があるけど、中でもこの「羅臼昆布」は
肉厚で特に上質とされていて、
うまみの強いだしがとれるらしいんです。
たしかに、しっかり昆布の香りと味のする
だしがとれました。
おいしいだしは、質のいい素材があってこそ!
だしについては、今後もっと勉強して
読者の皆さんにご報告します。

『しめじと湯葉のお味噌汁』
しめじと湯葉の歯ごたえと、
西京味噌の甘みがばっちり合って
おいしいお味噌汁でした。
最近スーパーでよく見かける「しめじ」は
「栽培しめじ(かさが黒っぽい)」と
「栽培本しめじ(かさが茶色っぽい)」の2種類。
本しめじのほうが、調理しても形が崩れないので
ま、これはお好みですが、
今回は本しめじを使いました。
かさがやや白っぽい茶色のもので 、
乾いているのが良品です。
ちょっとでも、真っ黒になったかさがあると、
そこから痛んでいくので、
軸の短い小さなかさまでよく見て選んで下さい。

1、乾燥湯葉は水でもどし、水気をきっておく。
2、しめじは小房に分ける。
3、かつおでとっただし汁に西京味噌を溶き入れ
  1、2を加え煮立つ直前に火を止めて三ツ葉をちらす。

三ツ葉をちらすと、色どりも香りもよくなります。

『かぼちゃの煮物』

「北海道のかぼちゃ」=「おいしい」この公式が

すっごいプレッシャーだったんですよね。
でも成功しましたよ。おいしくホクホクに煮上がりました。
かぼちゃは、ずっしり重くて、爪が立たないほどかたいもの、
それから、茎の切り口が枯れて乾いているものを選んで下さい。
(旬である夏場は乾いてなくても大丈夫)
それが、おいしいかぼちゃです。

カボチャの煮え具合をチェック
かぼちゃの煮え具合を
チェック

1、かぼちゃはスプーンで種をくり抜く。
2、縦に4〜5つ割にし、
  大きさをそろえて5〜6ミリ角に切り分ける。
3、水に2〜3分さらして、水気を切る。
  (こうすると、かぼちゃの青臭さが抜けますよ)
4、鍋にかぼちゃの皮を下にして並べ入れる。
5、隠れる程度の水を入れ、強火にかける。
  煮立ったら中火にして砂糖を加え、
   お鍋を回して砂糖を溶かし
  不織布タイプのペーバータオルなどで
   落としぶたをして7〜8分煮る。
6、しょうゆを加え、鍋を回して全体に馴染ませ、
  さらに3〜4分煮る。

とんかく、かぼちゃをおいしく煮るには
重ねず並べて煮ること。
そうしないと、味や火の通りにムラができてしまいます。
お箸でかぼちゃを返したりするのも絶対ダメですよ。
かぼちゃがボロボロ崩れてきちゃいますから。
煮汁が少し残っている程度で火を止めて、
冷ましながら煮汁を充分含ませるとおいしくできます。

『鶏肉の竜田揚げ』

立田揚げをつくる
鶏肉をきれいに
しているところ。

やっぱり揚げ物は揚げたてが
いちばんですよね。
ゲストに揚げたてを食べてもらうために、
みんなが食べ始めてからも
せっせと揚げ続けましたよ〜。
おかげで、「あつあつでおいしい」って
言っていただけました。
「おいしい」って言葉は、作り手にとっていちばん
嬉しい言葉ですね。

1、鶏肉は余分な皮や脂肪のかたまりを取り除き、
  包丁をねかせて、
   一口大のそぎぎりにしてボールに入れる。
  下味を材料を加え、
  手でもみ込んで20〜30分程おく。
  途中で一度上下を返して、全体に下味をなじませる。
2、ペーパータオルに鶏肉をはさみ、
  軽く押さえて汁気を拭く。
  (こうすると片栗粉が厚くつきすぎず、
  揚げあがりもきれいになります)
3、揚げ油を中温に熱し、
  鶏肉に片栗粉薄くはたきつけながら
  1切れづつ静かに入れる。
4、上下を返しながら、キツネ色になって
  表面がカリッとするまで
  揚げて、油をきる。スダチやレモンを添えて。

下味をしっかりつけて揚げるので、
ほんと焦げやすいんですよ。
まわりはしっかりキツネ色なのに、
中がナマってことありますよね。
そこで、「そぎ切り」にするんです。
こうすると、大ぶりにみえるけど、厚みはないから、
火の通りが早く、キツネ色になるころには
中までしっかり火が通ってますよ。

『ほうれん草のしらす和え』

1、ほうれん草は茹でて3センチの長さに切る。
2、しらす干しと、かつおだし、しょうゆを合わせて
  ほうれん草と和える。

「まあ、いっか」とか「もう、いいや」という、
なげヤリな気持ちを禁止したおかげで、
作り終えた時の満足度が違いましたよ。
やっぱりお料理は手を抜かないということが
ほんと大切なんだと実感。
「おいしかったよ」とか言っていただいたりすると、
嬉しくて調子にのって頑張るタイプなんで、
また、次回もがんばっちゃう!

1998-09-29-TUE

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