おしい!食べられるんです!
タマウラベニタケ食

今回の写真をご覧になったとき、
2種類のきのこが写っているけど、
どっちがタマウラベニタケ?
って疑問に思った方も少なくないと思います。

確かに。

なんと、この2つのきのこは、
同じタマウラベニタケなんです。
名前にもちゃんと「玉」が使われています。

名前が「玉」と言うくらいだから、
まん丸球状のきのこがデフォルトかというと、
違うんですね、これが。
通常は、写真の右側に写っているように、
傘と柄を持つごく普通の形のきのこなんです。
実にややこしい。

じゃあ、なんで、きのこっぽい形と、球形と、
両方のバージョンがあるかというと、
まん丸の方は、ナラタケがからんでいるんです。

タマウラベニタケは、
広葉樹の倒木や切株から発生するのですが、
ナラタケも同じく広葉樹の倒木などを好みます。

タマウラベニタケが生えている倒木の皮を、
べりべりっと、ちょっとだけはがしてみると、
網目を描くように伸びる、直径1~3mmくらいの、
黒い紐状ものが見つかる場合がけっこうあるのですが、
これが、ナラタケの菌糸束、つまり、菌糸の束なんです。

きのこの本体は倒木や土の中に伸びる菌糸で、
通常はなかなか姿を見ることができないのですが、
例外的に、ナラタケの菌糸(束)は、
肉眼でもはっきり見ることができるんですよね。

先程、ナラタケがからんでいる、
という非常に曖昧な言い回しをしたわけですが、
ナラタケがタマウラベニタケに寄生しているという説と、
タマウラベニタケがナラタケに寄生しているという説と、
両方の説があるんです(笑)。

図鑑などを見ると、
ナラタケ寄生説の方が多いのですが、
最新の研究によると、
タマウラベニタケ寄生説が有力とか……。

タマウラベニタケが発生するのは夏から秋にかけて。
ナラタケがからんでない場合、傘が開きます。
表面は平滑で灰白色~灰褐色、直径3~5cmくらいです。
「ウラベニ」という名前が示すとおり、
傘裏のヒダは、やや紅味を帯びています。
柄は傘より色がやや淡く、繊維状の縦線があります。
高さは3~9cmほどです。

食。
寄生しているかされているかわからない、
きのこっぽくない形のきのこを食べるのは、
抵抗があるかもしれませんが、
傘付きもまん丸もどちらも食べることができます。
(ナラタケも食菌ですし)
しかも、どちらも、そこそこおいしいとか。

両方のバージョンを同時に見ることができたなら、
タマウラベニタケだと同定するのも簡単です。

ぼく個人的にきのこの弱肉強食を考えてみると、
ナラタケがタマウラベニタケを「食べている」方が、
しっくりくるような気がします。
ナラタケは桜などの樹木を枯らす「害菌」という、
一面もあったりしますから、強そうです(笑)。

いずれ、どちらのきのこが寄生しているか、
はっきり断言できる日がくるでしょう。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。