不正解、食べられません!
ハエトリシメジ毒

阿寒の夏はすごく快適です。
最高気温が30度を超えることが、
ひと夏に2〜3回くらいあったりしますが、
内地に比べたら圧倒的に湿度が低いので、
ちょっと日陰に入るだけで涼しく感じます。

しか〜し。
森では不快指数が300%くらいにアップ(涙)。

虫です! 昆虫です!
血を吸いにくるやつ、水分をなめにくるやつ、
その数が、もう、半端じゃないんです。
ぶわ〜っと体中にまとわりついてきます。

ぼくは、別に虫が嫌いなわけではないのですが、
刺されやすいうえに腫れたり化膿したりする体質なので、
吸血昆虫はNGです。

ですから、森へ撮影に行く時には、
どんなに暑くても、上下レインウエアを着込み、
長靴に手袋、頭からすっぽり防虫ネットをかぶる、
というスタイルで臨みます。

防虫スプレーも蚊取り線香も、
虫が嫌うという超音波を発生させるとかいうグッズも、
手当たり次第に試しましたがまったく効果なし。

肌を露出しない!
これに勝る防虫対策はありません。
(気が遠くなるほど暑いけど!)

ちなみに、阿寒の森のヤブカは、
軽く1cmを超えるくらい大きく、
ジーンズの上から普通に刺してきます。
ですからつるつるのビニール素材がいいんです。

さて。
今回ご紹介する、ハエトリシメジは、
名前のごとく、ハエを殺すきのこなんです。

夏から秋にかけて、森の地面から発生。
傘は粘性がなく、直径は4〜8cmくらいで、
淡黄色の地を暗緑褐色の繊維が覆っています。
最初は円錐形でやがて平らに開きますが、
常に中央部がとんがっているのが特徴です。

ヒダは最初白で、徐々に淡黄色に。
柄も白〜淡黄色で、中実です。

ハエをとるきのこ、と言えば、
きのこ愛好家が真っ先に名前を思い浮かべるのは、
イボテングタケや、ベニテングタケですが、
ハエトリシメジも、同じ成分を含有しています。
その名は、イボテン酸。

イボテン酸は、うま味成分として知られている、
グルタミン酸ナトリウムの10倍とも言われるほど、
強力なうま味を持つことで知られています。
ですから、イボテン酸を含むきのこは、
毒きのこでありながらものすごくおいしいんです。

毒も死ぬようなものではありませんが、
食べると酒に酔ったような症状が表れたり、
幻覚を見たり視聴障害が出たりする場合があるとか。
テングタケの仲間同様に、毒きのことみなし、
食べないようにしましょう!

このうま味成分が強烈な神経毒として作用するので、
なめたら最後、ハエは動けなくなってしまうんです。
古くからハエとりに用いられたそうです。
(蚊とかブユにも効果があればいいのに!)

肩にカメレオンを止まらせておくような、
大汗をかかずに済み、かつ、自然に優しい、
防虫対策はないかなあ……。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。