正解、食毒不明です。
シロヒメホウキタケ 食毒不明
写真と文章/新井文彦

この写真を撮影する前に、かれこれ1時間くらい、
ほんと、息をするのも忘れるくらいに、
じっ〜と、ただひたすら眺めていました。

雌阿寒岳の麓に広がるアカエゾマツの森の、
樹齢数百年は経っているアカエゾマツの根株です。

何なのでしょう、この美しさ……。
もう、ため息しか出ません。

そして、この根株上の小さな森の、
主役はもちろん、我らがきのこ、シロヒメホウキタケ。
真ん真ん中に、でん、と鎮座しています。
小さくも純白な姿が、また神々しいこと……。
はあ、はあ、はあ。

ふと、我に返って、ちょっと呼吸を整えて、
根株の奥の、白いような薄い青緑色で、
先っぽにちょっと朱を指す、もわもわふわふわは、
菌類と藻類の共生体である、地衣(ちい)類の、
ミヤマハナゴケ(コケ植物ではありません!)。

手の平で軽く、ぽんぽんとたたいてみると、
少しだけしっとりしていて、柔らかくて、
まるでスポンジのような手触りがします。
か、い、か、ん。

それにしても、この根株の賑わい……。
真ん中には、きのこのシロヒメホウキタケでしょ。
わもわふわふわは、地衣類のミヤマハナゴケ。
シロヒメホウキタケの周りには、
コケ植物のタチハイゴケの仲間やら、何やらが。
ヤグラゴケやウグイスゴケなど地衣類の姿も見えます。
紅葉した葉っぱは高山植物のゴゼンタチバナ。
手前と奥にはトドマツ?の幼木も伸び始めています。

いやあ、見れば見るほど、
思わず家に持ち帰りたくなるような、
本当に見事な自然の造形美です。
うっとり。

まあ、それはそれとして、
シロヒメホウキタケの説明をしますね。
高さ2〜7cmくらいの、小さなきのこです。
夏から秋にかけて主に広葉樹の森の地面から発生。
この写真ではアカエゾマツの根株から発生してますが、
何かいつもと違った事情があったのでしょうか(笑)?
(おそらくシロヒメホウキタケで間違いないかと)

きのこは分岐して、ホウキのような形をしています。
初めは純白で、やがてクリーム色〜黄土色に変化。
枝の基部と柄は、ビロード状の毛で覆われています。

食毒不明。
まあ、あんまりおいしそうな形ではありませんよね。
この写真のようなシチュエーションで生えていたら、
食べられるきのこでも、採取を躊躇してしまいます。

シロヒメホウキタケは、前にご紹介したときも、
コケの間の素敵なシチュエーションで生えていました。
こういう場所で見つけると、ほんと、嬉しいです。

きのこに、地衣類に、コケの揃い踏み。
何はともあれ、隠花帝国、バンザイ!

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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