正解、食毒不明です。
ミヤマタマゴタケ 食毒不明
写真と文章/新井文彦

ミヤマタマゴタケを最初に見つけたのは、
阿寒湖から少し離れた場所の針広混交林。
次にお目にかかったのは2年後、
雌阿寒岳の麓にある神秘の湖・オンネトーの、
湖岸沿いに続く広葉樹ばかり生えている場所。
その翌年には、トドマツが中心の森で発見。
いずれも、地面から発生していました。

きのこは、
腐った木から発生する腐朽菌、
生きた生物に寄生する寄生菌、
そして、木々と共生関係にある共生菌と、
「食料」によって大きく3つに分けることができます。

地面から発生するきのこの多くは、
きのこの本体である菌糸と木々の根っこが、
菌根(きんこん)という器官を通じてつながり、
お互いに必要な栄養をやりとりする、つまり、
共生関係にある、菌根菌であると言われています。

赤い傘に白い点々というビジュアルで有名な毒きのこ、
ベニテングタケは、トドマツやシラカンバなど、
針葉樹、広葉樹を問わず、複数の樹木と、
菌根関係を結んでいるのだとか。

1本のきのこが複数の樹木とつながり、
1本の木が複数のきのことつながっている!
我々がほとんど目にする機会がない、森の地面の下には、
菌根ネットワークなるものが張り巡らされており、
きのこと樹木は栄養のやりとりのみならず、
情報すら共有しているかも、という説もあるんです。
なんか、すごく想像力が刺激される話ですよね!

ミヤマタマゴタケは、
夏から秋にかけて、森の地面から発生します。
ときに高さ30cmにもなるけっこう大型のきのこ。
タマゴタケに比べると、ややレアなきのこで、
全国でも限られた場所でしか見つかってないようです。

傘は、茶色〜灰褐色で、直径7〜15cmほど。
開くにつれ半円形〜まんじゅう形〜ほぼ平らになり、
最終的には反り返ったりもします。
周縁部は色が浅く、短い条線があります。

柄は白く、ひらひらのツバがあり、
ツバから下はややささくれた感じ。
根本には立派なツボ(外皮膜の名残り)が、
しっかりと残っています。

食用のタマゴタケにそっくりだし、色も地味だし、
食べられそうな感じがしないでもありませんが、
食毒が解明されてないようなので、
もし見つけても食べるのは控えましょう。

ここ阿寒湖周辺では、
針葉樹でも、広葉樹でも見られるので、
両方の樹種と菌根関係があるのかもしれません。
今後の解明を待ちたいと思います。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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