不正解、食べられます!
キイロイグチ 食
写真と文章/新井文彦

一般の人にはあまり関係ありませんが、
デジタルカメラを使って仕事をするようになったとき、
頭を悩ませたのが、カラープロファイルってやつ。
つまり、カメラで撮影したデータを、
パソコンのモニターでも本やポスターなどの印刷物でも、
すべての環境で同じ色を出すための必須機能です。

デジタルカメラで撮影したデータ、あるいは、
テレビやパソコンのモニターで表示される映像は、
赤、緑、青の3色の光を重ねて色を表現するので、
頭文字をとって、RGBなんて呼ばれています。

ところが、印刷で使用する多くのデータは、
(印刷会社も、自家用プリンターも同じ)
シアン(濃い水色)、マゼンタ(赤紫色)、
イエロー(黄色)、キー・プレート(黒)、以上4色の、
超細かい網点を印刷物の上で重ねて色を表現します。
CMYKと呼ばれていますな。

つまり、
デジタルカメラで撮影した写真を印刷物にする場合、
データの変換が必要になるわけです。
基本的には印刷会社にやってもらうことがほとんどですが、
なかなか意図する色にならないのよ、これが……。

拙著『きのこのき』(文一総合出版)は、何を隠そう、
自分で全ての印刷用写真データをつくったので、
パソコンモニターでは正確な色味が確認できず、
いちいちプリンターで出力したりしたので、
相当な時間と労力がかかりました、はい。

きのこがらみの画像を大量に印刷すると、
なぜか、イエローのインクばかり消費するんです。
もしかしたら、肉眼では確認しづらいけど、
きのこ、あるいは自然の色の基本は、
黄色にあるかもしれません……(笑)。

さて、今回の主役は、
黄色も黄色、真っ黄色のキイロイグチです。
これほど全身見事に真っ黄色のきのこは、
世の中にきのこ多しといえども、
そうそうあるものではありませんな。

キイロイグチは、夏の盛りに、
針葉樹、広葉樹を問わず、林地から発生。
傘も柄もレモン色、かつ、同色の粉状物質におおわれ、
多少粘性があるので、触ると手にべとっと付着します。
傘が開くまで黄色い内皮膜が裏側を覆っているので、
若いうちにはイグチと判断しづらいかもしれません。
(やがて破れて柄の上部にツバとして残ります)

・全身黄色で、黄色い粉まみれ。
・柄の上部に黄色いツバがある。
・傷つけると色が青く変わる。

キイロイグチは以上3つの特徴を満たしているので、
同定するのは案外簡単です。

一応食べられるようなのですが、
食べた人に聞くと「まずい」という人が多数。
ちょっと無理をすれば食べられなくもない、
つまり、味もへったくれもないきのこ、
とご記憶いただけばよろしいかと。

そういえば、黄色い食べ物って、
苦かったり酸っぱかったりするものが多いですよね。

以前ご紹介したキイロイグチはこちらをご覧あれ。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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