おしい!食べられるんです!
シイタケ
食
写真と文章/新井文彦

日本人たるもの、粘菌を知らない人はいても、
きのこを知らない人、そしてシイタケを知らない人は、
おそらく、というか、ほぼいないでしょう。

シイタケは、中国、韓国でも人工栽培されているし、
英語でも、フランス語(男性名詞)でも、
「Shiitake」で、そのまま通用します。

諸説ありますが、きのこの人工栽培は、
約300年ほど前、シイタケから始まったと言われています。
最初は原木に鉈目を入れるくらいの工夫からはじまり、
明治時代後半になると、原木に、菌糸が蔓延している木を、
粉末にしてかけたり、挟みこんだり、埋め込んだり、
乾燥させたシイタケの粉末を水に溶いてかけてみたりと、
徐々に栽培技術を進歩させていったとか。

そして、1942年、森喜作が「種駒」を使用する、
「純粋培養菌種駒法」を発明したことで、
栽培技術が全国に普及したということです。

ところで、唐突ですが、皆さん、
関越自動車道を通ったことがありますか?

東京から新潟方面に向かって走り、
群馬県の沼田I.Cを過ぎてしばらく進むと、左側に、
黄色のスーツに赤いネクタイ姿で微笑むおじさんの、
すごく目立つイラストの看板があったんです。
きっと、ご存知の方もいると思います。

そのイラストの方こそ、
「ドクターモリ」こと、森喜作さんです!

群馬県の屋外広告物条例の改定によって、
看板は数年前に取り外されてしまったとのこと。
(森さんが興した森産業の工場は今も稼働中)
通る度に気になっていたので、残念です。

さて、シイタケは、木材腐朽菌、
つまり、腐った木(主に広葉樹)を分解し、
その養分を吸収して生きています。
お店では1年中見かけると思いますが、
天然ものは、春(初夏)と晩秋の2回発生します。

シイタケについては、姿形も、味も、
ぼくがあれこれ言わなくても、
皆さん、よくご存知だと思います。

しか〜し。

これが、実際に野外へ出かけて、
腐った倒木からシイタケがにょきにょき生えていても、
シイタケだとわかる人は、あまりいないはず。

逆に、野外で、「シイタケ」を見つけた!
という場合には、きのこ初心者は特に、
詳しい人に同定してもらうまで、
食べるのはくれぐれも控えてくださいね。

個人的には、シイタケの味は、
人工栽培品も、天然ものも、あまり差を感じることなく、
両方ともおいしくいただいております。
(生で食べるとほぼ確実におなかを壊すので要注意!)

エノキタケも、ナメコも、
人工栽培されているほとんどの種類が木材腐朽菌。
マツタケなど、菌根菌の人工栽培成功への道のりは、
まだまだ先が長いようです、はい。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
感想をおくる とじる ツイートする