食毒不明。疑わしきは食せず。
キナメアシタケ
食毒不明
写真と文章/新井文彦

阿寒の森は、一部をのぞいて、
遊歩道などはまったく整備されてないので、
歩き回るときに便宜的に目印にしている、
大きな木や特徴的な地形の場所を目指すときも、
まったく同じルートを通ることはほぼありません。
(同じルートを歩けと言われても無理です)

阿寒のように、極端に人が少なく、自然が豊かなら、
遊歩道を固定しちゃうより自由に森を歩きまわった方が、
自然に対するインパクトが低いと思うんですよね。
まあ、いろいろな考え方があるでしょうけど……。

ぼくは、初夏から晩秋まで、
ほぼ毎日、阿寒の森へ通っていますが、
特に好みの場所が5か所くらいあります。
ローテーションを組んでそこを回るだけでも、
1週間くらいはかかるわけで、すると、訪れる毎に、
きのこや草花の顔ぶれがけっこう入れ替わるので、
同じような場所へ通っているようですけど、
飽きることはまったくありません。

でも、まあ、たまには、
まだ見ぬ場所へ行きたくなったりもします。
と、いうことで、いつもの林道へ行き、
車を下りる場所を100m遠くにしてみました(笑)。
トドマツばかりの森の一角に、
立ち並ぶたくさんのアカエゾマツ。
おお、いいじゃない!
車で走っていたら気づかない場所です。

木々の葉が赤や黄色に色づくには、
もう少しだけ時間がかかる、秋の初め。
北国の短い夏が終わり、
スズメバチとくまさんにさえ気をつければ、
森を歩くにはとてもいい季節です。

足下に、小さな黄色いきのこを発見。
よくみると、そこここに、たくさん。
キナメアシタケです。
以前ご紹介したことがある、
ナメアシタケの黄色バージョンですな。

キナメアシタケは、夏から秋にかけて、
主に針葉樹の落葉の間や切り株から発生。
阿寒ではアカエゾマツの下で見かけることが多いです。

仲間のナメアシタケは、
傘がオリーブ色〜灰色で、柄が黄色なのですが、
キナメアシタケは、傘も柄も美しいレモン色。
(柄は湿っているとき、やや粘性があります)
高さ1〜2cmくらいの小さなかわいいきのこです。

食毒は不明。
まあ、いつも言ってますが、
小さく可愛らしいきのこなので、
じっくり鑑賞して楽しませていただきましょう。

ちなみに、
キナメアシタケの後ろに写っている物体は、
内地の方にはあまり馴染みがないでしょうが、
アカエゾマツの松ぼっくりです。
びよ〜んと細長いのが特徴。
森にたくさん落ちていて、
いろいろな生物の餌になります。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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