食毒不明。疑わしきは食せず。
カヤタケ
毒
写真と文章/新井文彦

毒きのこの話を。

誤食率ナンバーワンの毒きのこと言えば、
言わずと知れたツキヨタケです。
ムキタケヒラタケやシイタケなどと間違えて食べ、
中毒してしまうケースが後を絶ちません。
まあ、死ぬほどの毒ではありませんが……。

一方、ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、
タマゴテングタケのテングタケ科猛毒御三家、
また、コレラタケ、カエンタケなどは、
食べたら命にかかわる猛毒を持っています。
ぜひ、普段から、図鑑などを見るなりして、
大まかな特徴を頭に入れておきましょう。
(他にも猛毒きのこはたくさんありますが)

そして、きのこにやや詳しい人が、
致命的な猛毒を持つ「殺人きのこ」に加えて、
絶対に誤食したくないというきのこが、ドクササコ。
誤食してから数日後、手足の指先、鼻など、
体の出っ張っている部分が、
(男性諸君はもう1カ所ありますな!!)
腫れるだけならまだしも、
焼け火箸!を刺されたような激痛に見舞われるとか。

しかも、ひと月以上!
しかも、現代の医学を以て、特効薬なし!

指先にトゲがちょっと刺さっただけでも痛いのに、
焼け火箸が、ぐさり、ですよ、焼け火箸!
想像しただけでも身の毛がよだちます。
ひいいい、ぶるぶる……。

さてさて。
今回の主役のきのこは、
ドクササコに似ているカヤタケです(笑)。
ドクササコの写真をお見せしたいところなのですが、
山形県から鳥取県にかけての日本海側で多く見られる、
ということで、北海道には生えてないんです!

でも、きのこ的美しさの観点からすれば、
間違いなくカヤタケの方が数段上です、はい。

カヤタケは、夏から秋にかけて、
広葉樹や針葉樹の森の地面から発生します。
どうも、落葉を分解するきのこのようですな。

開いた傘がロート形なのがとても印象的。
傘の直径は4〜12cmくらいで、
淡い赤味を帯びた褐色〜肌色、表面は平滑です。
ヒダは白く、柄の下方に向かって伸びています。
柄はぎゅっと中身が詰まった感じで、
基部に菌糸が見られるのも特徴のひとつです。

もしかしたら、きのこに詳しい人は、
ここまで読んで多少イライラしているかも(笑)。
そう、ほとんどの図鑑が「食」としているのに、
なぜカヤタケを毒きのこ扱いしているのか、と。

実は、カヤタケには、微量ながらも、
あのベニテングタケにも含まれている、
ムスカリンという毒成分が見つかってるんです。
摂取した場合、発汗はまあいいとしても、
血圧低下、呼吸困難などを引き起こす可能性が……。

毒成分を含んでいるのだから、毒きのこですよね。

今まで食べられると言われていたけど、
各種研究が進むにつれ毒成分が発見される、
という事例は今後ますます増えると思われます。
リスクを考えるならば、当然、
そういうきのこは食べるべきではありません。

きのこは観察するだけでもすごく楽しい!
と、声を大にして言っておきます(笑)。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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