不正解、食べられます!
シロシメジ 食
写真と文章/新井文彦

阿寒湖に滞在しているときは、
ほぼ毎日森へ行っています、と言いつつ、
雨が降っているとついつい出不精になって、
事務所のソファーにで〜んと寝転び、
ポテトチップスをかじりながら読書、
なんてことも実はあったりするわけで……。

でも、秋の声を聞くようになると、
雨もまたよし!という気分になって、
お天気を気にせず森へ出かけるようになります。
夏の間、ほとんど休み無しで続いたガイド仕事や、
蒸し蒸し虫虫攻撃から開放されるからかなあ。

カラカラ天気が続いたあと、待望の「きのこ雨」。
阿寒川沿いの森へ出かけると、きのこにょきにょき。
もう、すべて、思惑通り!
ラッキー。

モデルさん選びもさることながら、
生えているシチュエーションがとても重要なので、
いい場所に生えている、いいきのこを探します。
そんな贅沢を可能にする、何て豊穣な阿寒の森!

いろいろな場所で告白しておりますが、
ぼくは、基本的に、きのこの同定には消極的。
阿寒の森でひっそり生きている、
かわいいきのこ、きれいなきのこを撮影できたら、
それだけで満足なんですよねえ。

さて。
絶好の場所で、絶好のきのこを発見。
シロシメジです。

似たようなきのこがたくさんある中で、
すっと名前が出てくるのには訳があって、
実は、ここ数年くらいの間、同じ時期、同じ場所で、
毎年発生するんです(笑)。

真っ白な傘の直径は5〜12cmくらい。
幼菌時には、傘の周縁が内側に巻き込む感じで、
成長するにつれて灰色を帯びつつ平らに開いてきます。
ヒダは極めて密で、柄の下側はややふっくら。
群生していることの方が多いかもしれません。
(誰かに採取された後なのかも……)

香りも、歯ごたえも、舌触りもいいのですが、
多少というか、けっこう苦味があるのが玉に瑕。
食用にする人は、茹でこぼしてから食べるのだとか。

たまに雨の森へ行くと、ほんと、素敵なんですよねえ。
成熟したまんまるホコリタケは、雨粒が当たる度に、
てっぺんに空いた穴からぶほぶぼ胞子を放出しているし、
ちょっと疲れた木々の葉っぱも、色づいた落葉も、
シダも、コケも、何もかも、しっとり、きらきら。

豪雨でもない限りは、たとえ雨降りでも、
できる限り時間をつくって森へ行かねば!
と思わずにはいられない、秋の朝のひととき。
森は、ひと雨ごとに、見た目も香りも秋めきます。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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