ロウタケ 食不適
写真と文章/新井文彦

「きのこの話」に、粘菌(変形菌)初登場!
というわけでは、ありません……。
きのこの概念を遥かに超越した形をしていますが、
これも、れっきとした、きのこなんです、はい。
ロウタケの「ロウ」は、蝋燭(ロウソク)の「蝋」。
そう、幼菌の時は、見た目はもちろん、
手触りも、ほぼ蝋そのものって感じなんです。

蝋燭は、昨今の日常生活において、何となく、
宗教的な用途が多い感じがしないでもないですが、
照明として使えるのはもちろん、
工夫すれば、暖房にも調理にも使えるので、
災害に備えて用意しておくと心強いですよね。

あ、蝋と言えば、東京タワーには、
蝋人形館なるものがありますな(笑)。
名だたるハリウッドスターやロックスターの一員に、
フランク・ザッパが加わっているのはご存知ですか?
60〜80年代のロックファンとしてはたまりません。
ソングライターとしても、ギタリストとしても、
そして、社会活動家、思想家としても、すごい人でした。
(1993年12月、52歳で前立腺癌のため死去)

「宇宙には普遍的なものが2つある。水素と愚かさである」
というザッパの言葉は、けだし至言です!

さて。
そんな、蝋にそっくりなきのこ、ロウタケは、
何を隠そう、これと決まった形がないんです。
扁平かつ不規則にけっこう大きく広がり、
時に、蝋を塗りたくったかのように、
草やコケを覆ってしまったりします。
珊瑚のような形をしているかと思えば、
この写真のように鍾乳石のような形をしていたり……。

また、広がっていくその先端部分も、
尖っていたり、まるまっていたり、
ふさふさしていたりと、何でもあり!
どんな形になるかはロウタケのみ知る、
いやいや、ロウタケ自身も知らないかもなあ(笑)。

見た目も、手触りも、蝋のようなきのこ。
食べる対象に加わることはないでしょう……。
ま、とにかく、森で蝋状のカタマリを見つけたら、
ロウタケの存在を思い出してみてください。
阿寒の森では、夏の盛りから秋にかけて発生します。

蛇足ですけど。
1971年の12月に、フランク・ザッパが、
スイス・モントルーのカジノでライブを行った時に、
観客がフレア・ガンを発射して火事が起こり、
全機材を失うという事故(事件)がありました。
それをレマン湖の対岸で目撃し、歌にしたのが、
ロック史上、最も有名で、最も印象的なリフを持つ、
ディープ・パープルの、名曲中の名曲、
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」なのでした。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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