これは、食毒不明なんです。
ミヤマタマゴタケ 食毒不明
写真と文章/新井文彦

ハクサンチドリ、タカネスミレ、
ミヤマオダマキなど、いわゆる高山植物には、
ハクサン=白山、タカネ=高嶺、ミヤマ=深山、
という名が冠されている場合がけっこうあります。

白山は、石川県と岐阜県にまたがる、あの霊峰・白山。
阿寒でもよく見かけるゴゼンタチバナも、名前は、
白山の最高峰「御前峰」に由来しているのだとか。
高嶺も、深山も、まさに高山!というイメージです。

じゃあ、「ミヤマ」という名前がついている、
この、ミヤマタマゴタケは、果たして、
高山きのこなのでしょうか?

否(笑)。

しかしながら、この、ミヤマタマゴタケ、
どこでも見られるきのこではないようです。
まず、北海道、千葉、静岡、岐阜で発見例があり、
ミヤマドクツルタケ、
ミヤマタマゴテングタケ、
オオフクロテングタケ、
オオツルタケダマシ、などなど、
さまざまな仮の名前で呼ばれていたようですが、
2001年、遂に、ミヤマタマゴタケとして、
新種登録されました。
以後、発見場所も広がっているようです。

高さ30cm以上にもなる大型のきのこで、
傘は灰色〜褐色、周縁部に放射状の条線が見られます。
下部がささくれている柄には、大きな白いツバがあり、
根本には、しっかりとしたツボもあります。

名前のとおり、タマゴタケにそっくり。 
今のところ、日本特産です。

学名は Amanita imazekii 。
菌類学者にして、元日本菌学会会長、
きのこの正しい知識を広めるのに尽力した、
今関六也氏の名前が付けられています。

ミヤマタマゴタケ、と名付けられたのは、
タイプ標本(新種記載時に基準となる標本)が、
岐阜県の標高1400m地点で採取されたことが、
もしかしたら、影響したのかもしれません。

そんなこんなで、食毒は、不明。
インターネットを使って調べてみると、
ミヤマタマゴタケを食べた、という記事がありますが、
良い子の皆さんは、決して、
マネをしないようにしましょうね!

ちなみに、
子供たちに大人気で、阿寒でもいちばん見かける、
ミヤマクワガタというクワガタムシがいますが、
それとまったく同じ名前で、
真夏に、蒼〜紫色の可憐な花を咲かせる、
ミヤマクワガタ、という高山植物もあります。
ややこしいですねえ。

北海道東部に位置する阿寒湖の周辺は、
標高420mくらいなんですけど、緯度が高いので、
本州では相当高い標高でなければ生育できない、
高山植物がけっこう見られます。

お気軽お散歩コースで、高山植物鑑賞。
阿寒湖は、きのこ以外にもお楽しみ盛りだくさんです。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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