不正解、食べられます!
キッコウアワタケ 食
写真と文章/新井文彦

キッコウアワタケの命名者は、
この傘の形状を、破れや、ひび割れなどとみなさず、
亀甲、つまり、カメの甲羅に見立てたわけですねえ。
ふむ、なかなかのセンスの持ち主とお見受けします。

亀甲、と言えば、まず思い浮かぶのが、
一部のマニアックな趣味をお持ちの方におなじみの、
「亀甲縛り」ではないかと(笑)。
我々、アウトドア業界に身を置く者にとって、
各種ロープワークは、必需中の必需。
8の字結び、もやい結び、巻き結びを知らない奴は、
まず、モグリと言っても過言ではありません。
そちら方面の趣味のあるなしは別ですが、
熟練した技の応用のひとつとして、
「亀甲縛り」を自家薬籠中の物としている者は、
決して少なくないでしょう……(笑)。

え?お醤油?
そうですね、キッコーマン、といえば、
お醤油の世界ブランドですものねえ。
その昔、オーストラリアで暮らしていた頃、
ぼくの食事を支えてくれたのは、お米と、
近所のスーパーで売っていた、キッコーマンならぬ、
キッコウカン、というアヤシイ銘柄のお醤油でした。
(今も売っているのかな?)
オージーの友人たちは、
ぼくの焼くステーキにいたく感動し、
ソイソースなしには生きていけなくなった、
と口々に申しておりました。

そう言えば、
ぼくの大好きな城下町、青森県弘前市には、
亀甲町(かめのこうまち)という地名があります。
これは、弘前城の北門、別名亀甲門の……。

あ、ついつい、脱線、脱線。
そう、キッコウアワタケの話をしなければ!

キッコウアワタケの傘の裏は管孔状。
猛毒のドクヤマドリを除けば、
致命的な毒きのこがない、と言われている、
あの、イグチの仲間です。
黄色い管孔を形成する「穴」は、
ひとつひとつが比較的大きく、かつ、不揃い。
触ると、ぼやぼやっと青く変色します。
傘は最初、ビロードのような肌触りなのですが、
時間が経つにつれ、ひび割れていきます。

それほどおいしいわけではありませんが、
まあ、この通り、特徴的なきのこですから、
後学のため、ネタのために、
チャレンジしてみるのもよろしいかと。

図鑑などには広葉樹の林床に生えるきのこ、
と出ているのですが、この写真は、
典型的なトドマツの森で撮影しました。
この森は、林床をおおうコケの間から、
小さなモミジが芽を伸ばしていたりするので、
広葉樹とも無縁ではないのですね。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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