不正解、食べられます!
オニイグチモドキ 食
写真と文章/新井文彦

前回掲載したホシアンズタケが、
「ビジュアル系」のきのこだとしたら、
この、オニイグチモドキは、
「萌え系」のきのこと言えるのではないかと……(笑)。

傘が大きく開く前の幼菌は、
フェルトの小物っぽい容姿そのまま、
手で触ったときの、ふわふわ感(?)も格別。
本当に、かわいいんですよ!

成長するにしたがって、急激にやつれると言うか、
色はだんだん黒褐色になっていくし、
水気が抜けて、かさかさに乾いてくるし、
オニというよりは幽霊っぽい感じになってしまいます。

ですから、もし、食べたいのであれば、
ぴちぴちしている幼菌がいいようです。
(しかも、けっこう、おいしいらしい)

「オニ」という名前の由来は、
この、きのこ全身を覆うささくれを、
鬼の角に見立てているのかもしれませんが、
正確な意味は、よくわかりません。
(日本ではオニイグチ科のきのこが3種あります)

「イグチ」とは、傘の裏が、
シイタケみたいなひだではなく、管孔状、
つまりスポンジみたいになっているきのこの種類。
オニイグチモドキも、イグチ系の他のきのこのように、
スポンジ部分を手で押してみると、赤黒く変色します。

「モドキ」は漢字で書くと「擬き」で、
似ているようなもの、という意味。
つまり、オニイグチがあって、
それに似ているから、オニイグチモドキ、です。

ちなみに、がんもどきは、
味を雁の肉に似せたもの、という意味ですね。
あ、きのことは関係ありませんでした、失礼、失礼。

オニイグチとオニイグチモドキは似ていて、
肉眼で区別するのはほとんど不可能なので、
顕微鏡で胞子の形を確認しなければならない、
などと、言われることもあるようですけど、
北海道のものは、
傘の地色が白っぽいものが、オニイグチ、
黒っぽいものが、オニイグチモドキ、
と、けっこうはっきり区別できちゃいます。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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