珍しいキノコ舞踊団?
最近よく耳にするんだなぁ、この名前。

「フリル(ミニ)ワイルド」ってどういう意味なんですか?
って、キノコさんに聞いてみました。


答えて下さったのは、振付け、構成、演出を担当して
ダンサーでもある、伊藤千枝さんです。

ほぼ日:今回の演目、「フリル(ミニ)ワイルド」って、
いったいどういう意味なんですか?

伊藤:「フリル」って、装飾ですよね。
舞台に立ったりダンスをするときって、
なんだか、ぎこちないと思うんです。
普段はこうやってベラベラ喋っているのに、
舞台に上がったとたんに自然に喋れなくなったり、
顔がひきつったりして(笑)。
それで、そういうのがすごく不自然だな、
っていうか、気持ち悪いなって思ったんですよ。
なんで舞台で普通に喋んないんだろう?
ダンスだと何で喋んないのかな?
っていうような、いろいろ普通に起きていることが、
いちいち私の中で疑問になって
気持ち悪くなったりとかしてて。
で、それはもしかしたら私たちが持ってる、
余分な飾りのせいなんじゃないかって思って。
でも、それを全部なくそうとすると、すごく大変だし、
極端から極端へ行くのはあまり好きではないので、
じゃあとりあえず、ちょっと小さくしてみようか(笑)、
っていうので、「ミニ」です。
ちょっとだけ、モテたいし、とか、
そういう気持ちも残ってたりして(笑)。


「フリル(ミニ)」初演風景
(2000年11月、麻布十番デラックスにて)


ほぼ日:ワイルドって付いてるのは?

伊藤:原美術館でやるぞ! という気合いのあらわれです。
野外でやるという意味もあります。
基本的には前回の舞台をベースにしてはいるんですが、
やっぱりスペースが変わると、
単純に動きが変わっちゃうっていうことも
ありますし。
夏と冬とか、季節の違いも出てくるし。
私たち、芝生で踊るのは初めてなんですよ。
それで、こう、ちょっと素敵な
サウンド・オブ・ミュージックみたいな感じに
ならないかなー、なんてことも思ったりして(笑)。
・・・そんなわけで、「フリル(ミニ)」の
ワイルド・バージョンということです。

ほぼ日:じゃあ、今まさに
こうやって原美術館で練習しながら作っているんですね。

原美:作品は、どういうふうにでき上がっていくんですか?

伊藤:だいたいこういう風なことをやりたいな
っていうテーマみたいなものがいつもあるので、
それに対して、どういう風にアプローチしていくかなぁ、
っていう感じで、考えてるんですね。
そこらへんから、いろいろゲームみたいなアイデアとか、
そういうとこからできていくんです。
さっきの、行進とか、あれも、あるとき、
こういうことやったら面白いかな〜、
と思いついてやったり。
そういうのをどんどん、
とりあえずダンサーにやってもらっていく中から、
これ面白いな、っていうのをピック・アップして、
その濃度を高めていくんですね。
その時に、どうしてもこういうダンスがやりたい、
っていうのがあれば、それを作って
ダンサーに一方的に与えることもあるけど、
最近はみんなとのやり取りを頻繁にするような
作り方をしています。
最初はホント、ゆるゆるで(笑)。
どぉ? だ〜いじょうぶかな〜? って感じで。

ほぼ日:じゃあ、気がつくともう、
ずーっとダンスのことや、
体の動きのことを考えていたりしますか?

伊藤:そうですねー。
ま、あたいのダンスはねっ!
とかって思ってるわけじゃないんだけど、
ダンス以外のこと見たりとかしても、
全部ダンスのところに吸収されるというか
栄養になってる感じがありますね。
だから、何かしているときでも、
チラッとよそ見したりとか、
ああいうのがあったら面白いんじゃないかな、とか。
気がつくと踊ってる、っていうこともありますね。
稽古場に行くときに、ウォークマンで音楽聴きながら、
ちょっと振りを考えながら歩いてて、動いてみたりして。
それで、枝が出てるのに気がつかなくって、
木にガスッって。
痛ってぇ〜、というところを人に見られてたりして。
すんごい恥ずかしかった。
とか、そういうことはよくあります。


踊っているキノコさんたちから受けた印象と同じように、
肩の力がいい感じで抜けている伊藤千枝さんのお話でした。

このキノコさんたち、ダンス界にとどまらず、
広くアート界の各方面から注目されているようです。
千年文化芸術祭で特別賞、日本舞踊評論家協会新人賞、
インターネット演劇大賞、ベストパフォーマンス賞と、
たくさんの受賞に加え、昨年の7月には、
あのフランス・アビニヨンフェスティバルでも
踊ってきたんだそうです。
チラシのデザインをふくめ、アートディレクターは
デービットとマイクの「生意気」が担当するなど、
知りたいことが盛りだくさんになってきました。

さて、次回は。
ほぼ日読者の方ならおなじみの、
ある方を取材に連れて行っちゃいましたので、
お楽しみに!!


まずは、イントロまで。
次回から、いろいろ取材したことを載せていきますよ。

「珍しいキノコ舞踊団」
フリル(ミニ)ワイルド in the Hara Museum Garden

2002年3月26日(火)〜3月31日(日)全6回公演

チケットは、すでに発売されています。
チケットの購入方法や会場へのアクセスは、
原美術館 http://www.haramuseum.or.jp/
をご覧ください。

「珍しいキノコ舞踊団」公式サイト
http://www.strangekinoko.com/

2002-02-22-FRI

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