カワイイもの好きな人々。
(ただし、おじさんの部)

栃木県足利市、とある工場の応接室。

うすい緑の作業着に身を包んだ
北村秀一さん(42)は、
僕が手渡したデジカメの画像を
ご誠実そうな、やわらかいまなざしで、
じっとみつめるのでありました。

第46回
モーちゃん牛乳は
カワイイ。

北村 この写真は売店で撮られたのですね(笑)。
山下 はい、佐野サービスエリアの売店で。
あまりにかわいかったものですから。
北村 ありがとうございます。
山下 最初にみたときは、ほんとに衝撃的でした。
北村 そうでしたか(笑)。
数日前、私用で那須へ訪れた僕は
帰りの東北自動車道、佐野サービスエリアで
この「モーちゃん牛乳」に出会いました。
ご覧のように動眼がつかわれている点も
衝撃の理由だったのですが、とにかく、
「こんなにカワイイ牛乳はみたことがない!」
と、強く感じたのでありました。
帰宅後すぐに製造元へ電話をかけ、
担当のかたが「おじさん」であることを確認。
再度栃木へ赴き、この取材が実現したわけです。

訪れたのは「両毛酪農業協同組合」の工場。
「両毛」は「りょうもう」と読みます。
工場の屋根には牛乳ビンがありました。

さて、「モーちゃん牛乳」ご担当者の
北村秀一さん(既婚)が、応接室のテーブルに
発泡スチロールの箱を4つのせております。
なかにはもちろん、「モーちゃん牛乳」。
お話、うかがってまいりましょう。

山下 僕もひとつ購入したのですが、
レジでこの箱に入れてもらいました。
これはやはり保冷のために?
北村 はい、牛乳ですので。
山下 家について箱をあけたら、
中にちょこんと入っていて。
それがまた愛らしいんですよ‥‥。
北村 こんな具合ですね(箱をあける)。
山下 そうそう(笑)。
僕が連れ帰ったのも、まさしくこの子でした。
北村 「スモールモーちゃん牛乳」。
山下 はい、750mlのモーちゃん。
たしか大きいのもありましたが‥‥。
北村 こちらですね(箱から出し山下に手渡す)。
山下 わ、ずっしり重たい。
北村 スモールモーちゃんの約倍の内容量、
「モーちゃん牛乳」です。
山下 これが元祖ですか、かわいいなあ‥‥。
北村 それと(箱から出し手渡す)、
こちらが「モーちゃん珈琲」になります。
山下 コーヒー牛乳。これもまた‥‥。
北村 で、もう一種類(箱から出し手渡す)、
この子が「おとめちゃん」です。
山下 いちご牛乳は、おとめちゃん!
‥‥なぜおとめちゃんなのですか?
北村 栃木県はいちごの産地でして、
「とちおとめ」といういちごがあるので
それにちなんで、おとめちゃんと。
山下 なるほどー。
おとめちゃん、リボンつけてます。
北村 ええ、その子だけシールで。
山下 牛乳の色でウシのキャラクターが変わる、
この透明な容器のアイデア、すごいですよね。
北村 ありがとうございます。
ウシと言ってもらえるだけでもうれしいです。
よく「カバ?」などと言われますので。
山下 いやいや、まちがいなくウシですよ。
北村 「ムーミン?」と言われたこともありました。
山下 (笑)そんなことないです、ウシさんです。
北村 ありがとうございます。
山下 ‥‥あの、せっかくですので、
4種類を並べて写真を撮りますね。
北村 はい、ではこれをこっちに(動かす)。
山下 あ、いやそんな、僕がやりますから(動かす)。
北村 いえいえ、どうかお気をつかわずに(動かす)。
山下 いやいや、そんな(動かす)。
北村 この箱もかたづけましょうね(かたづける)。
山下 すみません、恐縮です(並べ終わる)。
‥‥では、撮りまーす。
北村 私、横にどかないと‥‥。
山下 あ、どうぞそのままで!
北村 そ、そうですか‥‥。
山下 いいですねえ、こうやって並ぶと。
‥‥このモーちゃん牛乳は、
どういうきっかけで誕生したのでしょう。
北村 はい、そもそもはですね、
もう7年くらい前になりますか、
サービスエリアの売店の社長さんからですね、
なにか特徴のある牛乳をつくってくれないか
という話がありまして、それで考えたんです。
山下 このモーちゃんのかたちなどは、
北村さんのデザインなのですか?
北村 ええ、どうせつくるんなら、
カワイイのがいいかなと思ったので。
山下 どうせつくるならカワイイものを!
すばらしいです!!
北村 (笑)ありがとうございます。
山下 とうとつですが、北村さんお子さんは?
北村 息子と娘がおります。
山下 よろこばれたでしょう、
おとうさんがこんなにカワイイものを
つくったのですから。
北村 そうですねえ、娘は当時小学生でしたから
「おとうさんなにこれー!」なんて、
はしゃいでいましたけれども‥‥。
ああそうだ、お誕生会に
持ってってやったことがありました。
そしたらお友だちがみんな喜んでねえ‥‥。
山下 それはうれしいですよ、
お誕生会にこれがやってきたら。
山下 ‥‥そのお嬢さん、いまはおいくつで?
北村 高校生になりました。
山下 そうですかあ、息子さんは?
北村 もう二十歳でして、
東京で服飾関係の勉強をしております。
山下 あ、デザイン! デザインですね。
おとうさんの影響でしょうか。
北村 いやあ、どうなんでしょう(笑)。
山下 す、すみません、立ち入ったことでした。
‥‥それにしましても、
モーちゃん牛乳のこの容器、
これだけ特殊なかたちですと
開発にご苦労も多かったのでは?
北村 ウシのかたちの容器をつくるのは
資材屋さんの仕事なのですが、
その資材屋さんと1年ほど試行錯誤しました。
山下 1年。そんなにかかるんですね。
北村 食品の容器なので法的な規制もありまして。
容器に色をつけるのがダメだったり‥‥。
いろいろ試してできたのが、この木型です。
山下 はあー、これをもとに容器をつくるのですね。
北村 ウシとわかるようにカウベルを持たせました。
山下 目の部分は、最初からこれでいこうと?
北村 いや、それはですね、たまたまなんです。
試行錯誤を繰り返してるときにですね、
組合長のお孫さんが、
それのついたオモチャを持ってるのを
たまたまみかけまして‥‥。
山下 これだ!と思った。
北村 ええ、もうこれしかないと。
ちなみに目は、接着剤を使ってないんですよ。
山下 え? そうなんですか?
北村 やはり法律で接着剤が使えないのです。
でも、お子さんが口にすると危ないので
とれないようにしなくてはならなくて。
山下 じゃあ、どうやって(モーちゃんを凝視)。
‥‥‥‥これ、もしかして、埋めている?
北村 そうなんです、成型した直後、
容器がまだやわらかいうちに、
この目玉を埋めこんでいるんです。
山下 そんなに細かいご苦労があったとは‥‥。
‥‥あの、北村さん。
北村さんは、この目玉がですね
「動眼」と呼ばれるものであること、
ご存知でしたでしょうか。
北村 動眼ですか‥‥いや知らなかったです。
山下 じつは僕、これが趣味のようなものでして、
たくさん持っているのです、このように。
北村 ‥‥すごいですね。普通に売ってるんですか。
山下 はい、手芸洋品屋さんに。
で、これをいろんな物に貼って遊ぶのです。
たとえば、この出していただいた
お茶に貼りますと‥‥(貼る)。
北村 お。
山下 途端に、ね。
北村 ‥‥愛着がわいてきます。
山下 ああ、よかったー‥‥。
北村さんならわかってくれると思ってました。
‥‥ん? でも、この湯のみに対して
この動眼はちょっと大きかったかな‥‥。
北村 目の大きさひとつで、
かわいさはぜんぜん変わりますからね。
山下 はい、目は微妙なものです。
北村 モーちゃんの目を変えたらどうなるでしょう。
山下 ‥‥‥‥え?
北村 ひとつ、試してみてはいかがですか。
山下 よ、よろしいのですか。
北村 ええ、どうぞ。私も興味があります。
山下 それでは(持参した動眼を貼る)。
‥‥‥‥‥‥あ。
‥‥‥‥‥‥こ、こんなことになりました!
北村 ‥‥‥‥‥キンメダイのようです。
山下 たしかに、キンメダイです、魚の。
‥‥キンメダイちゃん。
それから僕はわがままを言って、
牛乳工場を見学させていただくことに。
ガラス越しに作業場を見おろせる部屋へ
案内していただきました。

北村 ちょうどいまあそこで
モーちゃん牛乳の作業をやってますね。
山下 え、どちらで?
北村 ほら、あのいちばん奥です。
ちょっと遠いのですが、見えますでしょうか。
山下 あ、あちらですね。
山下 なるほど、あの人が手にしているのは
モーちゃん牛乳の容器のようです。
もうちょっと近くだといいのですが‥‥。
よし、このあまり高価ではないデジカメの
ズームを最大にしてですね、なんとか‥‥。
山下 みえた! おとめちゃんだ!
台にのったおとめちゃんが、
次から次に頭からいちご牛乳を
注入されています!
北村さん‥‥‥‥あれ?
気がつけば僕はひとりでした。
すこし心細くなりましたが、
北村さんはすぐに再登場。
両手に牛乳ケースを抱えてらっしゃいます。

北村 失礼しました。よいしょ(ケースを置く)。
‥‥いや、せっかくですのでね、
モーちゃん牛乳をたくさん並べて
写真を撮っていただこうと思いまして。
山下 そ、そうですか! うれしいです!
僕はたくさん並べるのが大好きなんです!
北村 では、このテーブルに並べましょう。
山下 手伝います。
北村 いやいやいや、私がやります(並べる)。
山下 いえいえ、たいへんですから(並べる)。
北村 いやいや、ほんとお気をつかわずに(並べる)。
山下 いえいえいえ(並べる)。
牛乳ケース、かたづけますね(かたづける)。
北村 すみません、恐縮です(並べ終わる)。
山下 ‥‥うわあ、これは壮観ですねえ。
では、撮らせていただきます。
北村 私、横にどかないと‥‥。
山下 あ、どうぞそのままで!
北村 そうですか。ではすこしポーズを‥‥。
山下 すばらしいポーズでした(笑)。
北村 いやあ、ははは‥‥。
山下 モーちゃんアップで、もう一枚。
山下 ああ、かわいい‥‥。ほんとかわいいです。
北村さん、ありがとうございました!



僕のストライクゾーンにまっすぐとびこむ
かわいさでありました。

「モーちゃん牛乳」は、
東北自動車道では佐野サービスエリア(上り線)
だけで買える限定商品。
1日平均で、大きなモーちゃんが200本、
スモールサイズは4〜500本売れているとか!
すごい人気者!!
佐野サービスエリア(上り線)のHPは
コチラからどうぞ!

2005-09-14-WED

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