いっぽう、八女家の妹弟には
やっぱりそれぞれ思うところがあって、
お姉ちゃんが選んだ人生を
重く感じる子もいるし。

義男。マツジュン。

そう、彼がずっと重く感じてるんだよね。

うん。

で、次男の佐藤隆太は全くへっちゃらで。
何かにつけてこの子はお父さん譲りの無邪気さが。

佐藤隆太さん

そう！　お父さんに似てる。

似てる、似てる。

それから２人の妹はそれぞれあるんだと思うけど、
まだね、彼女たちの物語、
僕ら、見てないんですよね。
半分しか見てないから。

堀北真希さん

榮倉奈々さん

これからっぽいね。

わたし、普通にドラマとして
びっくりするのが、
人物設定が完璧にできてるっていうことなんです。
三谷さんの‥‥。

脚本の中での──。

性格。脚本の中でこの子が、
どういう性格でどういうことを発言し、
どういう間で喋るみたいなとこが、
ものすごく緻密ですよね、三谷さんって。

緻密だと思います。
で、しかも役者に合ってる。

そうそうそう。
本物‥‥本人みたいでしたよね。
ほんとの本物の人みたいじゃ
なかったですか、みんな？

なるほど。
それぞれがそのセリフを言いそうだし。

頭の中に家族が、できちゃった感じがする。

フィクションなんだけど、
妙に嘘がないというか。

そう思う。

大げんかのシーンも別にないし。

ないないないないない。

お父さんがいいから、
大袈裟なこと、しないんだよね。

柴咲コウさんも、
普段、結構わりとキッていう、
強い感じの役が多い人だけど、
ここではちょっとぽわーんとしてて、
ものすごく可愛いですよね。
とっても魅力的。

この時代のいい女の
いいところをよく、
演じてるなーと思って。

そして、この、本妻ですよ。

天海祐希さん

そうですね、本妻、すごかった。

あたし、本妻、結構好き。

あたしも好き。

今回ね、天海さん、
かくべつ好きになったかも。

分かる、分かる。

美しいよねー。

天海さんて、
普通に演技してても
どっかちょっと面白くなりますよね。

そこがうまく出てるよね。
真面目にやるほど面白くなるっていうか。

正妻としてのプライドを
ちょっと１回、消しながら、
でも言いたいことは言うっていう、
押さえるところは押さえながら、
しかも嫌な感じにならないって、
天海さんてすごい人ですよね。
だって、あたしたち、見てて、
彼女を敵だって思わないじゃないですか。

思わない。

憎まないですよね、そこまでね。

柴咲コウさんのお妾さん側から見たら、
ほんとは憎まれ役なんですよね。
ドラマの本筋からいけば。

そうそうそう。

なのに、好きだもん。

鬼塚大造を選んだ女だから、
彼が選んだことは肯定するんだよね。
だから結果的に八女家をサポートしてた。

そう、してる。

窮地に陥ったときに、
はなばなしく登場するの。

かっこいいんだ、いちいち。
出ると必ずかっこいいことする。

スポットライトが当たる。

「（指を鳴らして）
　今夜は飲み放題でございます！」

モノマネ（笑）？

三谷さんの脚本て
全部そうなのかもしんないですけど、
全員に対して確かな愛情がありますね。

あるー。

めちゃめちゃある。
こんなにいっぱい出てるのに。

嫌いな役、ないんじゃないかな、
三谷さんにとって。

そう思った。
つるちゃんも大好きだし。

つるちゃん、大好き！

阿野三成も、面白いですよね。あの人。

山本耕史くんね。
ああ、これからどうなってくんだろうね。

あと、玉山鉄二さんの
大浦竜伍も切なかったしね。

戦後の帰還兵の辿った、
ある１つの典型的な姿なんでしょうね。
しみついたイデオロギーゆえに
敗戦を受け入れられない帰還兵。

切ないね。

柴咲コウちゃんと
印象的なやりとりがありましたね。
あそこ、よかったですよね。

よかった。

お金ね。

お金の話はリアリティあるね。
あの、この頃の話ってほんと、
山下さんちのお父さんじゃないけど、
潰しただの、夜逃げだの、よく聞いたよ。

やー、そうでしょうね。

あった、あった。

今より軽く、ある意味、軽々しく。

当時だって大変ですよ、
そりゃ大変だけど（笑）。

でもね、なんかね。

泣いた、泣いた（笑）。

ほんとー？

泣いた、泣いた。
大変ですよ（笑）。

ま、中には身投げをしてしまうぐらいまで
なる人だっていたんだけど、
にしてもなんかね、
なんとかなるかみたいなとこが
昭和には、あったんだよね。

だってほら、焼け野原から、
スタートしてるから。

結局、うちの場合も
熊本の親戚を頼るんですよ。
兄弟多いのが当たり前だったから。
急に転校していっちゃう子とかいたしね。
夜逃げと火事は同じぐらいあったかもしれない。

（つづきます！）