『屋根裏のポムネンカ』編


第4回 チェコっぽいところって。
ゆーないと
チェコのアニメーションって、
ヤン・シュヴァンクマイエルを
ちょっと観たことがあるくらいで、
他はあんまり知らなくて。
シュヴァンクマイエルは、
すごいんだけど、
ちょっと心が暗くなって、
どよーんてしちゃうんです。
でもそれが気持ちよくもあったりして
嫌いじゃないっていう
タイプだったんですね。
で、きっとその流れなんだろうなと
勝手に思い込んで観たら、全く違くて!
ほんとに、
それこそ『トイストーリー』的な、
でも、ちょっと暗いところだったり
気持ち悪いところがあるっていうのが、
すごく好きでした。
そういう、ちょっと変なところが。
シェフ
ちょっと変だよね。
ゆーないと
うん。でも好きそう、みんな。

山下
ちょっと変。
やえ
ちょっと変。
やまもと
ちょっと変な。
ゆーないと
ちょっと気持ち悪いとこが。
シェフ
それってすごくチェコ的じゃないですか?
よしくみ
そうですね。このクマももうちょっと
普通だったら甘ーい顔になりますよね。
でも甘くない。

ゆーないと
ちょっとロンパリ。
全部わざとですよね、何か。
シェフ
これって、こういう人形が
あったんじゃなくて
作ったんでしたっけ?
よしくみ
作ってますね。
お友達のズボンのスウェットを
研磨させて、貼り付けたって。
やまもと
プラハにはアンティーク屋が
多いんですってね。
そこでいろいろ監督が集めて
作ったっていうのは聞いてますね。
シェフ
その分野、得意です!
よしくみ
がらくた屋さんが多いんですってね。
shino
アンティークっていうか
バザールっていう、
古道具屋さん。
シェフ
ほんとに埃の中にものがあるようなとこ。
shino
そもそも人形とかも、
あんまり全体的に可愛くないんですよね。
だから、クマのムハなんて
可愛い方だと思います(笑)。
まず屋根裏部屋って、
たとえ一軒家でも
ひと世帯で住んでるってことは
ほとんど少なくて、だいたい一軒家でも
2世帯から3世帯で
フロアーごとに分かれて
住んでたりするんです。
そうすると地下室と屋根裏部屋は
共用なんですよ。
で、屋根裏部屋は、皆さんが共有で
洗濯物を干す場所なんですね。
ぐっさん
地下はどうですか?
shino
地下室は共有じゃなくて
ひと世帯ずつ鍵のかかる
スペースを貰ってて、
そこを物置にしてます。
屋根裏部屋は
主は洗濯物干し場なんだけど、
やっぱり物が溜まっていて・・・
だからほんとに
あそこに出て来るものって、
どこの家にも必ずあったけど、
今では屋根裏に
捨て去られて
忘れられちゃってるようなものばっかりで
構成されてるっていうのがすごく面白くて。
飛行機が出て来ますよね?
よしくみ
うん、うん。
shino
あの飛行機の本体はあれ、
掃除機なんですよ。
だから電気のコードが付いてるわけ。
シェフ
あ!
ぐっさん
だから、びよーんと切れちゃう。
やえ
切れちゃう。
shino
多分、今の子どもたちが観ても
何だか分からないようなものが
至る所にものすごく使われてて。
絶対どこの家にも必ず屋根裏部屋はあって、
使わない寝具が突っ込まれてたりとか、
埃まみれだったりとか。
シェフ
そこに干すんだもんなぁ。

ゆーないと
お日様の匂いみたいなのはないんですか?
shino
日照時間がすごく短いのと、
お日様がなくても
すごい空気が乾燥してるので、
家干しでもあっという間に
乾いちゃうんですよ。
匂いも気になる間もなく乾いちゃうの。
そもそも外に干すようなところがない。
あと、昔は
石炭使ってたっていうのもあるんで、
わりと汚れたんだって、洗濯物干すと。
シェフ
なるほどねえ。
ところで、みんな、誰が好きでした?
山下
シュブルト。
頑張り屋さん。
鼻がエンピツのちびたやつっていうのがね。

やえ
何か微妙にこの子、
おじさんなところが面白いんですよね。
頭もちょっと禿げてる。
山下
そして、
どんなにぺっちゃんこになっても大丈夫。
おなじおじさんとして、
勇気をいただきます。
ゆーないと
(笑)。ね、あの再生能力。
わたしは、やっぱり、ムハが。
寝るところとかが可愛かったー。

よしくみ
寝てばっかりですよね。
shino
ベッドに使ってたのはあれ、
靴なんですよ、
室内履きの。
やえ
私もムハが好きー。
シェフ
ムハ、人気ですね。
やえ
はい。
最初、可愛いクマかなと思ってたら、
声がすごい低音で、
そのギャップにちょっとやられました。
シェフ
僕も食べ物持って歩いたり、
必ず歯を磨いたりする
几帳面なところが好きです。

やまもと
鼻も、靴墨みたいなので
磨いたりするんです。
お洒落さんなんですよね、実は。
シェフ
クラソンは?
多分人気がないね。

やまもと
おっさんて呼ばれたりしますからね。
山下
ずっと闘い続けてるんでしょ、毎日。
やまもと
頑張ってるんですけどね。
山下
『どですかでん』みたいだったね。
よしくみ
あー、そうですね。
シェフ
また古いこと言うね。
よしくみ
『どですかでん』ですね。
山下
分かる人は分かると思うんですけど。
shino
このクラソンとムハは
すごいチェコ人ぽいなと思いました。
よしくみ
チェコっぽいんですか、
チェコ人ぽいんだ、へえ。
shino
一徹なところとか、
訳分かんないところとか(笑)、
1つのことしかやらないところとか。
とくにムハは何かゆっくりでしょ。
で、いつも食べ物持っていて‥‥
かつてのチェコでは、
お店も少なかったし、
お店自体にもものがなかったし、
だからちょっとどこか行く時に、
リンゴやパンを持っていくのは
当たり前だったのね。
で、こう、最後にちゃんとひと切れ、
ポムネンカに
ケーキ残しておいてあげようとかって
言ってるわりには結構しっかり
自分の分は確保してるみたいなところが
いちいちチェコっぽいなぁと。
クラソンはしっかり騎士道を貫いていて、
ポムネンカ(女性)に対する態度も
まさに騎士でしょう?
やえ
へえー。
shino
で、キュリーなんかは
あんまりチェコ人にはいないタイプです。
まず機転が利くなんていう言葉は
この国の人にはちょっとあり得ない。

よしくみ
面白い。
シェフ
ひどい言い方!(笑)
shino
私が言ったんじゃなくて、
チェコ人が言ったのよ〜。
次のことを考えて仕事ができる人なんて
チェコにはいないって。
シェフ
(笑)。
やえ
すごーい。言い切ってる。
シェフ
言い切ってますね。
ポムネンカはチェコのヒロイン像としては
ああいう感じなんですか?
shino
チェコ人女性の名誉のために
いっておきますが、
実物のチェコの女性は
とても美人です、ホントに。
なのに、
バービー人形のようにならないところが
いかにもチェコっぽい。
あの寝ぼけた感じとか。
シェフ
半目ですよね、いつもね。
でも意外と気が強いんですよね。
灰かぶり姫にされても、
ずーっと気丈でしたよね。
キー! みたいな。
囚われててもがーっとかやって、
よしくみ
そう、ああいうのもチェコの
女の人なんですかね。
shino
チェコ女性は気が強いですよ。
一度、知り合いのオジサンが目の回りに
痣を作ってきたので、
どうしたの? って他の人に訊いたら、
奥さんに殴られたんだって‥‥
若い子も、デートでBFが5分遅れたら
待たないっていいますもん。
よしくみ
あ、やっぱり強いんだ。
プロデューサーが、ポムネンカは
主人公なのに
可愛くないねみたいなことを
監督に言ったら、
「うん? 可愛いじゃない」
っつって、それでもう終わったらしいです。
やえ
何も言えなかった(笑)。
山下
しょうがないね。
shino
でも、ポムネンカがあまり可愛い過ぎると
やっぱりチェコっぽくなくなっちゃうんで。
あまり可愛くないポムネンカのために
これだけ、みんなが助けに行く、
そこがチェコっぽいかな?
(笑)。

よしくみ
チェコのこの映画のホームページ、
この子が出て来ないんですよ。
ビックリしたよね、あれ。
(つづきます!)
2009-08-13-THU

(c)BIO ILLUSION s.r.o.


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今回の感激団メンバー
シェフ 山下 やえ
ぐっさん ゆーないと shino
よしくみ やまもと  

感激団による
『屋根裏のポムネンカ』の
おおまかなあらすじ
くわしくは、こちら
『屋根裏のポムネンカ』
日本版公式サイト
8月1日よりユーロスペース、
シネマート心斎橋にてロードショー、
ほか全国順次公開

チェコ版公式サイト


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