神様をさがしに。  ~高尾山の巻~  どうか、神様! と、願いをかけるとき‥‥ 我々はいったい どこに呼びかけているのでしょう。 おやしろの中に? それとも、天に向かって? それとも、自分の中の奥の底? * 神様の居場所をさがしに、 おかしな一団が ぷらりと旅に出ることにしました。
最終回 豪雨。
ハタナカ では、どんどん
降りていきましょう。
オイカワ 寄り道は危険ですね。

ひとりも遅れをとらないようにしましょう。
── つるっ!
ワア、根っこって
すべりますね。
ソブエ そうねぇ、木の根っこって
すべるんだねぇ。
ころりころげた
きぃのぉねっこぉ~。
ね、ね、いま、やまびこが
返ってこなかった?
ハタナカ そう?
やっほー。

よく考えたらやまびこが返るような
場所ではなかったのですが。
ソブエ やっほっほー!
── すぐ下の階段を
降りてるみなさんが
ものすごくこちらを
見上げてらっしゃいますよ。
オイカワ 驚かせちゃいましたか。
ハタナカ もう、薬王院の境内まで
戻ってきましたね。
ソブエ ハタナカさん、
凶のハタナカさん!
あそこにおみくじを結ぶところが
ありますよ!
── 今日の凶を結びましょう。

ハタナカさんが
凶を結びましたらば。


全員が四天王門に
飛び込みました。


雨脚がふつうじゃなくなったのです。
ソブエ ひゃー。
これじゃあ、進めないねぇ。
山門で、
朝まで雨宿り‥‥
── いやです!
オイカワ そういえば、昨日
土砂崩れがあった、と
おっしゃってましたよね。
ハタナカ まずいですね。
── なにしろ、門の中には。
オイカワ 四天王様が。
だーん。 だーん。
だーん。 だーん。
ソブエ いろんな色の四天王様と
いっしょに雨宿り。
── みなさん、雨具は、
持ってますか。
ハタナカ ぼくは、傘が。
ソブエ ぼくは、あの
暑くてたまらないカッパが。
オイカワ ぼくは、さきほども言いましたが、
ありません。
── ぬれなさそうでぬれてしまう上着と
傘をひとつずつ持っていますので、
オイカワさんに傘をあげます。
折りたたみ傘で不安ですけども、
これで乗り切ってください。
オイカワ ありがとうございます。

雨が、大がかりに
ざあああ、といってます。
ハタナカ 予報では、
天気はもつってことだったんだけどなぁ。
オイカワ 頂上でアリを
捕まえたからじゃないんですか?
ハタナカ 山のものを盗ったから
神様がお怒りになったんじゃないでしょうか。

ののしりあう一団。
ソブエ 護摩祈祷のお札に入った神様も
持ってきちゃったから?
あ、神様は、分身だからいいのか。

大雨に視界を遮られながらも
各々の雨具を心の頼りにして
山を下ります。
ソブエ (雨がザーザーしてるので、大声で)
あ!
ここ、前にも来たよ!
── みんなもです!
単純に、帰り道なんで!
ソブエ あ!
ここ、天狗が座った杉だって!

「天狗の腰掛杉」と書いてあります。
オイカワ どこに座ったんでしょうねぇ?
── ‥‥‥‥。
(ザーザー)
ハタナカ ‥‥‥あそこ‥‥
じゃないかなあ、
ちょっと枝が出てるから。
全員 ‥‥‥‥‥‥。
(ザーザー)
── 行きましょう!

浄心門まで戻りました。
ソブエ ここ、前に来たことあるよ!
全員 みんなもです!
ハタナカ もう少しで、
屋根のあるところに着きますよ。
── そうだ、
ビアガーデンがありましたよね。
高尾山ビアマウント!
おなかがペコペコです!
全員 みんなもです!

正直、ビールはもういいです。
あたたかいスープをください。
ソブエ ねぇ、いま、何時?
── えーっと、6時半くらいです。
ソブエ 何だか、6時半じゃない気がする。
オイカワ はい。ぼくも。
ソブエ 9時くらいの気分です。
ハタナカ わかります。
ソブエ なんか、
たのしかったよねぇ。
オイカワ おもしろかったです。
ハタナカ 神様、いましたかね。
── いましたけども、
何かもう少し、
さがすべきなのかなぁ?
ハタナカ いまはそうとうずぶ濡れなので、
しゃべるのもしんどいし、
思考が働かないですね。
全員 ワハハハハハハ。
ソブエ 今後のことはあとで考えましょうね。
── これを、鉄砲雨というんですね。
オイカワ ゲリラ豪雨というやつですね。
ハタナカ みんなで山を登って、
おまいりして、
いまはただただ、
食べものをめざして歩いています。
ソブエ それでいいのではないでしょうか。
── 我々はまだ、
神様を探す旅の途中です。
ソブエ ああ、ビアマウントが
見えてきたよ。

遠くの明かりを
めざします。

── そうして我々は、
高尾山ビアマウントで
おいしい食事にありつきました。

ビアマウントにて。

特に、オイカワさんの
焼いてくれた特製たこ焼きが、
おいしくておいしくて、
熱くて熱くて。


ひとくちで食べると。


内部が灼熱。

ビュッフェ形式の
お料理を取りに行く途中、
豪雨の下を歩かなくてはならないという
屋根が途切れるポイントがあったので。


綿菓子をもらっても、
席に戻ったらこのとおり。


たこ焼きであたたまりつつ、
神様についてのいろんな話を
ハタナカリーダーから聞いて。


ビアマウントで雨があがるのを待ちましたが
その気配がないので諦めて。


ケーブルカーに飛び乗って
山を降りました。


昼間に集合した、高尾山口駅です。


あの地図の前で、
写真も取りました。


手さげかばんで迷い込んだ
トワイライトおじさんのズボンは、
色が変わっていました。


さいごはちょっぴり
雨でタイヘンでしたが、
カメラを向けたら↓


ソブエさんは、このとおり!
ああ、とっても、たのしかったです。

そして、携帯電話で
雨のようすを見てみたら。


みごとなスポット鉄砲雨でした。

青山の「ほぼ日」に電話したら、
「都内は、晴れてるよーっ。
 早く帰っておいで」
と言われました。

神様をさがす旅、
次はあるのでしょうか。
最後に、みんなで写真を撮りましょう。
オイカワ ぼくは、写真にうつるが苦手なので、
ぼくに撮らせてください。

また会う日まで。
撮影:及川賢治
それでは、今回の旅は、このへんで。
ご愛読、ありがとうございました!
2010-10-04-MON